02/02/24 17:30 配信総数 30部
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1000本ノック・モニター・レポート
No.3 エンジン始動!! (月2回刊行予定)
― 『1000本ノック』の専用メルマガです。―
@@@@@@@@@@@@@@@@@ 平成14年02月24日(日)発行@@@@@@@@@@@@@@
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▼CONTENTS
1 民法について
2 宅建合格作戦―過去問集から基本書への繰り返し
3 1000本ノックの更新状況
4 学習スケジュール例
5 あとがき
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1 民法について
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2/17に、民法クローズアップの「意思表示の研究」の残りをアップしました。
http://tokagekyo.7777.net/will/index.html
これは昨年メルマガに掲載したものを編集したもので、私が宅建学習時に疑問
だったものをまとめたものです。
基本書は、もともと、宅建試験の過去問が読んでそのまま解けるような構成に
なっていません。民法では、附属の過去問集で補足するようになっているため、
基本書=大まかな全体像
過去問集=ディテールの補足
という構成になっており、過去問集でも全ての過去問をまとめてはいません。
学習効率という点で考え抜かれたものと思いますが、この意思表示の部分は、
いわば、<宅地建物の取引の基本>であり、「意思表示の研究」でまとめたものは
ほぼ過去問のみを再構成したものです。判例と通説のみでまとめましたが、
このようなものが市販の基本書にないことを悲しみます。過去問集を解いて自力で
まとめるにしても膨大な時間がかかるからです。
民法が難しいといわれている原因は次のような事にあります。この一つ一つを
外していけば、民法攻略は決して難しいものではないと思います。要は、短期で
終わらせようとしないことだと思います。少しずつ、確かなものにしていく作業
が必要と思われます。
▼民法の位置付けが学習者に伝わっていない。
このため、<基本書のマル覚え>に走ってしまいがちです。
(簡単な民法の入門書などが必要ではないかと思われます。
例・岩波新書・赤536「民法のすすめ」星野英一 (\660+税)など。
民法の詳しい本までは読む必要はありませんが、興味をもって学習するには
読んでおくと参考にはなると思います。民法のベースなしに、条文や公式の
マル覚えという作業ではつらいものがあり、きちんとした方向性をもって
学習するには必要かもしれません。ただし、時間的に余裕のないときには、
ムリすることはないと思います。
また,民法の入門書ですが、我妻さんなどの世代的に古い方よりも、最近、
民法界で活躍されている方のものをお薦めします。問題関心が共有できる
世代の方の本のほうが、アップ・ツウ・デイトですし、学説などの問題も
あります。古い世代ですと基本的な骨格には問題がないとしても、学説的に
問題のある記述もあります。)
▼条文や基本書に掲載されていない民法の原則・準則が相当ある。
(このため、過去問集で、<民法の原則に拠れば>、などという
知らないものがイキナリ出てきて、学習者を戸惑わせることに
なります。)
▼判例や通説などが基本書では掲載不十分であり、学習者はもともと
問題を解くのに必要なものが与えられていない為、全く武器を持たずに、
いわば、「戦車にたいして丸腰で」立ち向かうことになる。
(民法の思考力や制度趣旨を知っていれば、思いつきや普段の心掛けで
何とかなるので判例や通説は知らなくてもよい、と言うのは暴論です。
なぜならば、民法の思考力や制度趣旨を完全にマスターするには、判例
や通説を相当数こなす必要があり矛盾しています。民法の思考力や制度趣旨
の一部を知っていたからといって,どうなるものでもないからです。
判例や通説を全てみておく必要はないと思いますが、過去問程度のものや、
出題されたものについては見ておく必要はあると思います。どのレベルまで
出題者が要求しているのか、理解しないで受験するのは危険です。
私たちが受けるのは宅建であり、試験対策としても必要であると考えます。)
▼基本書の掲載は重要頻出事項のみになっている。つまり、インプットが
不十分なまま、過去問を解くことになるので、学習者は挫折感をもつ
ことになる。「こんなのは勉強した事がないゾ」、というのが学習する上で
ネックになっている。これは予想されている以上に、学習者には負担です。
(対処の方法としては、早めに基本書を切り上げて、過去問集や問題集を
繰り返し読む事しかありません。そのようにしてはじめて理解の幅と深さを
広げる事ができます。被害者意識のままでは、アタマにはいりません。)
▼民法の学習時間が短い。
(難しいといわれながらも,実は学習時間をかけないため、問題が解けない、
ということもあると思います。)
宅建の民法問題を考える上でこの事実を知っておくことは必要です。
民法は学習時間の大小によって相当な得点差を生みます。ここで言いたいのは、
基本書にないのは「禁断の果実」と称して、試験に実際に出題された事項でも
教えようとしない向きが受験界の一部にあることです。予備校等では
<基本書はあくまで、重要頻出事項をまとめたものに過ぎない>
という位置付けで指導していますが、なかには基本書にないものは学ぶ必要が
ないと誇張している教材などもあります。このように学習者の不案内につけこみ、
情報量は少ないのに高額な教材を販売する業者もこの世の中には存在します。
あたかも、必要な学習項目の選定に高額な指導料がかかるのだと言わんばかりの
態度ですが、市販の安価なもので十分ではないかとも考えます。
もともと宅建試験の民法出題レベルは、難しいものではありません。
例えば、司法書士や鑑定士、1種公務員などのものと比べると雲泥の違いが
あります。各試験の対策書をご覧になれば一目瞭然ですが、民法クローズアップ
にまとめたものでもそれらの対策書から見れば、やさしすぎるものです。
他の試験では、判例・通説のほかに学説も理解しておく必要があります。
それから見れば宅建の試験は、判例・通説を1歩も出るものではなく、<知って
いれば解けてしまう問題>です。
したがって、最近の宅建の民法は難問になったといっても、要するに受験者が
教えられていないものが出たというに過ぎません。この意味で、学習者は、
「宅建民法難問説」には,眉につばをつけて考える必要があります。
「難問だから知らないのが出て当然」、「難問だから民法に時間をかけるのは
バカらしい」、「難問だから、上っ面を軽くこなすので十分だ」
このような主張は、もともと宅建で難問は出題されていないことをみれば、
一挙に崩壊します。それなりの準備をしておけば、十分対処できるものだから
です。民法は、もともと学習には時間がかかり、10日間やそこらでどうなるもの
ではありません。学習に必要なのは、あくまでも、アクティブな姿勢と考えます。
私たちは<宅建試験をギリギリ合格する>のが人生最大の目標ではありません。
民法もたんに宅建試験合格と言うものではなく、実務やこれからの人生を乗りきる
ために学習しています。志が低ければ、また消極的な受身に回った学習では、
得点力も大幅にダウンします。
宅建試験は一過的なモノですが、宅建の学習をする上で学んだものは一生モノ
です。宅建学習をきっかけに民法を学んでいる、という長期展望的な姿勢が
一番ラクであり,効果的ではないかと思います。
このように「宅建民法難問説」は学習者をいつまでもボーダー周辺に漂わせ、
必要な情報量も与えずに、学習疎外のアリ地獄の中に放置するに等しいと思います。
(通常の基本書はシリーズの本で、また、予備校では補足教材や質問で補っています。
この点を誤解のないようにお願いします。)
最後に、民法クローズアップの最後に述べたコメントを申し上げます。
▼これまでの連載は、いかがだったでしょうか。
<宅建の過去問の全貌>を知ることによって、いわば、「入門編」である「基本書
の知識の次元」から、本当の意味で「問題が解ける次元」までの橋渡しをするのが、
本連載の目的でした。
実務に携われば、これまで扱ってきたような、言わば<プレーン>の世界から、
もっと複雑なケースに遭遇すると思います。
本連載により、「民法は難しくてできないのではなく、知らないからできなかった
だけだ」ということをお伝えできれば、何よりの幸せだと思います。
また、<基本書は入門編に過ぎない>ということも何度も申し上げてきました。
<基本書が問題解決の指南書>だと捉えると、どうしても<受身の姿勢>に
回ってしまい、この種の試験対策の学習では絶対に必要な<アグレッシヴな姿勢>
がとれなくなり、泥沼にハマリこむことになります。
<受身になったら、何よりも大切な、自分らしさ、思考の自由を失ってしまう>
ことを最後に申し上げて、この連載をひとまず終わらせていただきます。
…人生でも、受身の姿勢では対応が難しかった、とつくづく思います。
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2 宅建合格作戦―過去問集から基本書への繰り返し
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長期学習の利点は、時間に余裕のあることです。もともと、宅建試験のための
勉強をするといっても1日に1時間半以上とるのは難しいと思います。
<少しずつで、無理なく,効果的に>
これを長期学習ではめざすべきと思います。ここで大事なのは、基本書をお読みに
なったあと、すぐに、過去問や問題集を解くことです。そして理解不十分なら、
重複をいとわずに,基本書に立ち戻り、問題を解くことで初めて知った事項も、
整理することが必要だと思います。基本書に抜書きすることでも十分だと思います。
また、基本書や問題集にいつ学習したのかチェックしておくことも必要です。
このようなことは、試験間際になって勉強を始めるときにはできません。
これも、長期間学習のメリットだと思います。
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3 1000本ノックの改訂
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平成14年4月1日現在の法令改正についての改訂は、随時、お知らせいたします。
改訂・更新状況については、この「1000本ノック・モニター・レポート」で
お知らせいたします。
現在,医師により絶対安静を命じられているため、1000本ノックの更新が滞って
います。
現在までの調査では、宅建業法、都市計画法・建築基準法以外の法令制限につき
ましては、出題予想範囲では大幅な骨格の変化はありません。
そのため、今後の1000本ノックの改訂は、税法その他・権利の変動篇を除き、
主に追加の記述になります。
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4 学習スケジュール例
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7月までにマスターすることを前提にして、毎月提案させていただきます。
ゆっくり過ぎるとお思いかもしれませんが、これぐらいのゆとりがないとアタマに
入るものではないと思います。お使いの過去問集のほかに、1000本ノックの該当
箇所を参照されると効果的です。
■3月の民法
物権変動
■3月の法令上の制限
建築基準法・1回目(1ヶ月あればラクラク、マスター)
■3月の宅建業法
業務上の規制
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5 あとがき
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今月は寝たきりの生活が続いています。
ご心配をかけるといけないと思い、伏せていましたが、何とか回復に向かっており、
ここでご報告させていただきます。
2月始めにインフルエンザにかかり、治癒したと思ったら、今度は胃潰瘍の出血
で極度の貧血になりました。(赤血球が通常値の半分以下でした)
始めはパソコンの画面も視界がグルグル回っている状態であり、また、階段の
上り下りも一苦労で、医師からは入院を勧められましたが、いったん入院すると
「管理業務主任者」の実務講習に出席はできなくなるため、自宅治療ということ
にさせてもらいました。
何とか快方に向かっており、「管理業務主任者」の実務講習も2/20-21と無事
出席しましたが、疲れました。都内の交通機関では階段が多く、階段の途中で
一休みしながらやっと進むという状態でした。
このため、更新などでご迷惑をおかけしましたが、今週からは少しずつ、更新
もできると思います。
この間、閲覧者の方やモニターの方からたくさんの励ましのメールをいただき
ました。大変、感謝しております。ありがとうございました。
皆様も、くれぐれもご健康にはご注意を。
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1000本ノック・モニター・レポート No.3
ご意見、ご感想などは、以下までどうぞ。
webmaster@tokagekyo.7777.net
http://www.tokagekyo.7777.net/msgpro310/
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