法令上の制限 基礎編
災害防止に関する法令に関する問題(砂防関係)
正解・解説
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
× | × | × | × |
次のそれぞれの記述は、各法令の規定によれば○か、×か。 ただし、地方自治法に基づく指定都市の特例については考慮しないものとする。 |
1.「建築基準法によれば、災害危険区域内における建築物の建築に関する制限
で災害防止上必要なものは、市町村の規則で定めなければならない。」(H10-25-2)
【正解:×】
◆災害危険区域での建築制限 建築基準法上の「災害危険区域」とは、 地方公共団体は、条例で、津波、高潮、出水等による危険の著しい区域を災害危険区域として指定することができる。(39条1項) となっています。 建築物の建築制限については、 災害危険区域内における住居の用に供する建築物の建築の禁止その他建築物の建築に関する制限で災害防止上必要なものは、前項の条例で定める。(39条2項) となっており、市町村の規則ではありません。 |
2.「土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律によれば、
土砂災害警戒区域において、住宅宅地分譲や災害弱者関連施設(社会福祉施設、
学校、医療施設)の建築のための開発行為(特定開発行為)を行おうとする者は、あら
かじめ、第9条1項の都道府県知事の許可を受けなければならない。また、これに
違反すると、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金が科される。」(新作問題)
【正解:×】
◆土砂災害防止法の「土砂災害特別警戒区域」 本設問の内容は、土砂災害特別警戒区域に関するものです。本設問文では「土砂災害警戒区」になっているため、×になります。 都道府県知事は、関係市長村長の意見を聴いて、 土砂災害により住民の生命等に危害が生じるおそれのあると認めた場合は、 土砂災害警戒区域を指定します。 土砂災害特別警戒区域とは、上の土砂災害警戒区域のうち、 土砂災害により建築物に損壊が生じ住民の生命等に著しい危害が生じるおそれがある と認めて、知事が、関係市長村長の意見を聴いて、指定した土地の区域のことを言います。 この区域では、 1.特定開発行為の許可 住宅宅地分譲や災害弱者関連施設(社会福祉施設、学校、医療施設)の建築のため 2.建築物の構造規制(建築主事を置く地方公共団体) 居室を有する建築物は作用すると想定される土砂災害の衝撃に対して 3.建築物の移転の勧告 知事は、著しい損壊が生じるおそれのある建築物の所有者等に対し、移転等の勧告 <参考になるWEBページ> http://www.pref.okayama.jp/doboku/sabo/sabo7.htm http://www.mlit.go.jp/river/sabo/
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●●関連する宅建業法の改正点 (2001年施行) |
★土砂災害特別警戒区域において、特定開発行為の許可があるまでは、当該宅地の 売買の広告・売買契約も禁止。(宅建業法施行令2条の4-22の2) ★土砂災害特別警戒区域(施行令3条1項23の2) 宅地又は建物の賃借の契約以外の契約について(賃借契約は除くということ) 重要事項の「法令に基づく制限で政令で定めるもの」に追加。 (宅建業法35条1項2号) ★土砂災害警戒区域(施行規則16条4の3第2号) 宅地若しくは建物の売買、交換、賃借の契約について 重要事項の「相手方の保護の必要性及び契約の内容の別を勘案して国土交通省令 で定めたもの」に追加。(宅建業法35条1項14号) |
●類題 |
土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律によれば,
土砂災害特別警戒区域内において都市計画法上の一定の開発行為をしようとする 者は,原則として市町村長の許可を受けなければならない。(H14-25-1) 【正解:×】 ×市町村長の許可→ ○都道府県知事の許可 |
3.「地すべり等防止法によれば、地すべり防止区域内において、地下水を誘致し、
又は停滞させる行為で地下水を増加させるものを行おうとする者は、河川管理者
の許可を受けなければならない。」(H12.17-4)
【正解:×】
◆地すべり防止区域←地下水のコントロール 地すべり防止区域内において、 1.地下水を誘致し、又は停滞させる行為で地下水を増加させるもの、 地下水の排水施設の機能を阻害する行為、その他地下水の排除を阻害する行為 2.地表水を放流し、又は停滞させる行為その他地表水の浸透を助長する行為 3.のり切り、又は切り土で政令で定めるもの 4.ため池、用排水路その他の地すべり防止施設以外の施設または工作物で 政令で定めるものの新築または改良 5.これらのほか、地すべりの防止を阻害し、又は地すべりを助長し、若しくは誘発する 行為で政令に定めるもの などを行おうとする者は、原則として都道府県知事の許可を受けなければなりません。 (地すべり等防止法・第18条) <参考>地すべり防止区域の指定←注意 主務大臣(国土交通大臣または農林水産大臣)は、関係都道府県知事の意見を聴いて、「地すべり区域」を指定。(51条1項)→農林水産大臣が主務大臣となるのは,(森林法)保安林・保安施設地区・(土地改良法)土地改良事業が施行されている地域又は土地改良事業計画の決定されている地域 また、これに隣接する地域のうち、地すべり区域の地すべりを助長・誘発し、 又は助長・誘発する恐れのきわめて大きいものであって、公共の利害に密接な 関連を有するものを「地すべり防止区域」として指定する事ができる。(第3条1項) <参考>地すべり区域の定義 「地すべりしている区域」又は「地すべりするおそれのきわめて大きい区域」をいう。 <参考>地すべりの定義 土地の一部が地下水などに起因してすべる現象、又はこれに伴って移動する現象 <参考>地すべりのイメージ http://www.pref.toyama.jp/sections/1505/jisuberi.html <参考>ぼた山崩壊防止区域の指定←注意 ■ぼた山崩壊防止区域の主務大臣(51条1項) 地すべり防止区域と同じ。 「ぼた山」とは、「石炭又は亜炭に係る捨石が集積されてできた山」であつて、この法律の施行の際現に存するものをいう。
■指定についての協議(51条2項) 地すべり防止区域又はぼた山崩壊防止区域の指定は、関係主務大臣が相互に協議してしなければならない。 |
4.「急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律によれば、急傾斜地崩壊
危険区域内において、工作物の設置を行おうとする者は、原則として市町村長の
許可を受けなければならない。」(H11.25-3)
【正解:×】
◆急傾斜地崩壊危険区域 急傾斜地崩壊危険区域内での工作物の設置は、原則として、都道府県知事の許可 を受けなければなりません。(7条1項) <参考>平成10年出題 ◆急傾斜地 「傾斜度が30度以上である土地」を言います。 ◆急傾斜地崩壊危険区域 崩壊する恐れのある急傾斜地で所定の要件に該当する土地の区域について、 関係市町村の意見を聴いて、都道府県知事が指定します。 <参考>急傾斜地崩壊のイメージ |
●類題 |
急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律によれば,急傾斜地崩壊危険区域内において水を放流し,又は停滞させる等の行為をしようとする者は,原則として,都道府県知事の許可を受けなければならない。(H14-25-4)
【正解:○】 第7条 (行為の制限) 急傾斜地崩壊危険区域内においては、次の各号に掲げる行為は、都道府県知事の許可を受けなければ、してはならない。ただし、非常災害のために必要な応急措置として行なう行為、当該急傾斜地崩壊危険区域の指定の際すでに着手している行為及び政令で定めるその他の行為については、この限りでない。 一 水を放流し、又は停滞させる行為その他水のしん透を助長する行為 二 ため池、用水路その他の急傾斜地崩壊防止施設以外の施設又は工作物の設置又は改造 三 のり切、切土、掘さく又は盛土 四 立木竹の伐採 五 木竹の滑下又は地引による搬出 六 土石の採取又は集積 七 前各号に掲げるもののほか、急傾斜地の崩壊を助長し、又は誘発するおそれのある行為で政令で定めるもの |
災害防止関係法令の過去問の出題状況 | ||||||
平成10年 | 平成11年 | 平成12年 | 平成13年 | 平成14年 | 平成15年 | |
災害危険区域 | ○ | |||||
急傾斜地崩壊危険区域 | ○ | ○ | ○ | |||
地すべり防止区域内 | ○ | |||||
ぼた山崩壊防止区域 | ○ | |||||
土砂災害特別警戒区域 | *** | *** | *** | 施行 | ○ |
●災害防止関係の区域指定権者と許可権者
区域の指定 | 制限について | |
砂防指定地
(砂防法) |
国土交通大臣 | 都道府県知事が禁止・制限し, 都道府県の条例で定める (以下の場合は,国土交通大臣が知事の職権を施行, ・他の都道府県の利益の保全のために必要なとき |
災害危険区域
(建築基準法) |
地方公共団体 | 建築物の建築についての制限は 地方公共団体の条例で定める |
区域の指定は誰がするか | 許可権者 | |
土砂災害特別警戒区域
(土砂災害防止法) |
都道府県知事 | 都道府県知事 |
急傾斜地崩壊防止区域 (急傾斜地の崩壊災害防止法) |
都道府県知事 | 都道府県知事 |
地すべり防止区域内
(地すべり等防止法) |
主務大臣 (国土交通大臣 or 農林水産大臣) |
都道府県知事 |
ぼた山崩壊防止区域
(地すべり等防止法) |
主務大臣 (国土交通大臣 or 農林水産大臣) |
都道府県知事 |
●砂防指定地 |
砂防設備を必要とする土地又は一定行為を禁止制限する必要のある土地を国土交通大臣が指定します(法第2条) 砂防指定地内においては、禁止もしくは制限すべき行為は都道府県の規則によって定められます。(又は、国土交通省令)具体的には土地の形状の変更、工作物の新築、改築又は除去等の行為を行おうとする者は、都道府県知事の許可を受けなければならないとされています。 ●砂防法 制定 明治30年 3月30日 法律第29号 (河川法、森林法、砂防法の3つを合わせて、治水3法と言っています。) <砂防法4条> 1.国土交通大臣ノ指定シタル土地ニ於テハ都道府県知事ハ治水上砂防ノ為一定ノ行為ヲ禁止若ハ制限スルコトヲ得。 2.前項ノ禁止若ハ制限ニシテ他の都道府県ノ利益ヲ保全スル為必要ナルカ又ハ其ノ利害関係一ノ都道府県ニ止マラサルトキハ国土交通大臣ハ前項ノ職権ヲ施行スルコトヲ得。 <施行規程3条> 砂防法第4条ニ依リ禁止若ハ制限スヘキ行為ハ同条第1項ノ場合ニ於テハ都道府県ノ規則ヲ以テ第2項ノ場合ニ於テハ国土交通省令ヲ以テ之ヲ定ム |