法令上の制限 基礎編

道路法・都市緑地法・都市再開発法・文化財保護法に関する問題

正解・解説  


【正解】

× × ×

次のそれぞれの記述は、各法令の規定によれば○か、×か。

ただし、地方自治法に基づく指定都市の特例については考慮しないものとする。

1.「道路法によれば、道路の区域が決定された後、道路の供用が開始されるまで

の間に、当該区域内において、工作物の新築を行おうとする者は、道路管理者の

許可を受けなければならない。」  (H12-17-2) 類・昭和62-28-4

【正解:

◆道路法・(道路予定区域) 91条1項

 道路の区域が決定された後から道路の供用が開始されるまでの間に、当該区域内で

・土地の形質の変更、昭和62-28-4

・工作物の新築・改築・増築・大修繕 H12-17-2

・物件の付加増置

を行おうとする者は、原則として道路管理者の許可を受けなければいけません。

<道路管理者>

高速自動車国道、一般国道国土交通大臣

都道府県道都道府県知事

市町村道市町村長

 ⇒ 道路法 最終改正:平成15年7月24日法律第125号

●類題
道路法18条1項の規定により道路の区域が決定された後、道路の供用が開始されるまでの間は、当該区域内において土地の形質の変更を行おうとする者は、道路管理者の許可を受けなければならない。(昭和62-28-4)

【正解:

2.「都市緑地法によれば、特別緑地保全地区において、土地の形質の変更を

行おうとする者は、公園管理者の許可を受けなければならない。」法改正

【正解:×

◆都市緑地法12条 

 公園管理者 × → 都道府県知事等 ○

 特別緑地保全地区は、都市計画区域内の緑地で、以下に該当する土地に定められます。                                

1.無秩序な市街地化の防止、公害又は災害の防止等のため必要な遮断地帯、緩衝地帯又は避難地帯として適切な位置、規模及び形態を有するもの

2.神社、寺院などの建造物、遺跡などと一体となって、又は伝承若しくは風俗慣習と結びついて当該地域において伝統的又は文化的意義を有するもの

3.次のいずれかに該当し、かつ、当該地域の住民の健全な生活環境を確保するため必要なもの

 イ.風致又は景観が優れていること。
 ロ.動植物の生息地又は生育地として適正に保全する必要があること。

 (都市緑地法・12条1項) 

 ⇒ 都市緑地法 最終改正:平成23年12月14日法律第122号  

<生産緑地地区との違い>

 生産緑地地区は、市街化区域内の一定の農地等に都市計画で定められました。

農地等…現に農業の用に供されている農地・採草放牧地
      現に林業の用に供されている森林
      現に漁業の用に供されている池沼

 (これらに隣接し、かつこれらと一体となって農林漁業の用に供されている農業用道路その他の土地を含む)

<首都圏近郊緑地保全法>

 都市緑地保全法と似たものとして、「首都圏近郊緑地保全法」があります。

「近郊緑地保全区域」を、首都圏の近郊整備地帯(首都圏整備法により国土交通大臣が指定内)の緑地で、樹林地、水辺地などの近郊緑地に、国土交通大臣が指定し、一定の行為をしようとする者は、都県知事に届け出るものとされています。届け出る行為は、都市緑地法とほぼ同じです。

 都市緑地法→都道府県知事の許可

 首都圏近郊緑地保全法→都県知事への届出

 このほかに類似の法律としては下記のものがあります。

・近畿圏の保全区域の整備に関する法律

・古都における歴史的風土の保存に関する特別措置法

●類題
都市緑地法によれば,特別緑地保全地区内で建築物の新築,改築等の行為をしようとする者は,原則として都道府県知事等の許可を受けなければならない。(H14-25-3)

【正解:

●特別緑地保全地区で、知事等の許可を必要とする行為 (都市緑地法14条1項)
建築物その他の工作物の新築、改築又は増築

宅地の造成、土地の開墾、土石の採取、鉱物の堀採その他の土地の形質の変更

・木竹の伐採

・水面の埋立て又は干拓

・このほかのもので、当該緑地の保全に影響を及ぼす恐れのある行為で
政令で定めるもの
 → (都市緑地法施行令2条) 屋外における土石、廃棄物または再生資源の堆積

●各制限の許可権者
生産緑地地区
(生産緑地法)
この区域は、都市計画で定める
(市街化区域内の一定の農地等に定める)
市町村長の許可
特別緑地保全地区
(都市緑地法)
この区域は、都市計画で定める
(都市計画区域内の一定の緑地に定める)
都道府県知事等の許可

●許可と届出の区別
緑地保全地域
(都市緑地法)
この区域は、都市計画で定める
(都市計画区域または準都市計画区域内
の一定の緑地に定める)
都道府県知事等届出
特別緑地保全地区
(都市緑地法)
この区域は、都市計画で定める
(都市計画区域内の一定の緑地に定める)
都道府県知事等許可
●似たもの注意!!

緑地保全地域(都市緑地法5条1項,都市計画法8条1項12号),

都市計画区域内の緑地で次のいずれかに該当する相当規模の土地の区域について都市計画で定めることができる。

1 無秩序な市街地化の防止又は公害若しくは災害の防止のため適正に保全する必要があるもの

2 地域住民の健全な生活環境を確保するため適正に保全する必要があるもの

 緑地保全地域では,次の行為をしようとする者は,あらかじめ,都道府県知事等にその旨を届け出なければいけません(都市緑地法8条1項),

1 建築物その他の工作物の新築,改築,増築

2 宅地の造成,土地の開墾,土石の採取,鉱物の掘採その他の土地の形質の変更

3 木材の伐採

4 水面の埋立て又は干拓

5 当該緑地の保全に影響を及ぼす影響のある行為で政令で定めるもの

緑化地域(都市緑地法34条1項,都市計画法8条1項12号)

1 用途地域のうち,良好な都市環境の形成に必要な緑地が不足し,建築物の敷地内において緑化を推進する必要がある区域については,都市計画に,緑化地域を定めることができる。

2 緑化地域に関する都市計画では,都市計画法3条1号,3号に掲げる事項のほか,建築物の緑化施設〔植栽,花壇その他の緑化のための施設及び敷地内の保全された樹木並びにこれらに附属して設けられる園路,土留その他の施設〕の面積の敷地面積に対する割合〔緑化率〕最低限度を定めるものとする。

●生産緑地地区の問題
生産緑地地区内において宅地の造成を行おうとする者は、生産緑地法の規定に基づき、原則として、市町村長の許可を受けなければならない。(H11-25-1)

【正解:

 生産緑地内では,次の行為は市町村長の許可を受けなければいけません。(8条1項)

・建築物その他の工作物の新築,改築又は増築 (平成13年)
・宅地の造成 (昭和60年),土石の採取その他の土地の形質の変更 (昭和59年,平成11年)
・水面の埋立て又は干拓

 ⇒ 生産緑地法 

3.「重要文化財に関しその現状を変更しようとする者は、原則として都道府県知事

の許可を受けなければならない。」(昭和58-28-4、昭和56-29-3)

【正解:×史跡名勝地天然記念物・平成15年

◆文化財保護法

 × 都道府県知事→ ○ 文化庁長官

 史跡名勝天然記念物現状を変更または保存に影響を及ぼす行為(文化財保護法80条1項)重要文化財現状を変更または保存に影響を及ぼす行為(文化財保護法43条1項)は,文化庁長官の許可を受けなければいけません。

 ⇒ 文化財保護法 

 重要文化財に関しその現状を変更し、又はその保存に影響を及ぼす行為をしようとするときは、文化庁長官の許可を受けなければならない。ただし、現状の変更については維持の措置又は非常災害のために必要な応急措置を執る場合、保存に影響を及ぼす行為については影響の軽微である場合は、この限りでない。(43条1項)

 文化庁長官は、許可を与える場合において、その許可の条件として、現状の変更又は保存に影響を及ぼす行為に関し必要な指示をすることができます。(43条3項)

4.「都市再開発法によれば、市街地再開発促進区域内において、容易に移転または

除却することができる木造二階建ての建築物の建築を行おうとする者は、原則として

市町村長の許可を受けなければならない」昭和62-28-3、類・昭和58-28-3

【正解:×× 市町村長→ ○ 都道府県知事(市の区域内にあっては、当該市の長)

◆市街地再開発促進区域(都市再開発法7条の4第1項)

 市街地再開発促進区域内においては、

 主要構造部が木造、鉄骨造、コンクリートブロック造その他これに類する構造物で

 階数が2以下で、かつ地階を有しない建築物で、

 用意に移転し、又は除却することができるもの

の建築をしようとする者は、国土交通省令で定めるところにより、都道府県知事(市の区域内にあっては、当該市の長)の許可を受けなければなりません。 

 ただし、非常災害のため必要な応急措置として行う行為またはその他の法令で定める軽易な行為については適用されません。

この規定は、第一種市街地再開発事業に関する都市計画の決定・変更に係る告示又は国の機関による都市計画事業の公告があった後は、当該告示又は公告に係る土地の区域内においては、適用しない。(都市再開発法7条の4第3項)

5.「道路法によれば,道路に水管,下水道管,ガス管を設置し,継続して道路を

使用する者は,原則として道路管理者の許可を受けなければならない。」(H14-24-1)

【正解:

◆道路に配管を設置し、継続して使用(道路法32条)

  道路の占用(継続して道路を使用)については、道路法により「道路管理者の許可」を受ける必要があります。

第32条(道路の占用の許可)  道路に次の各号のいずれかに掲げる工作物、物件又は施設を設け、継続して道路を使用しようとする場合においては、道路管理者の許可を受けなければならない。

一  電柱、電線、変圧塔、郵便差出箱、公衆電話所、広告塔その他これらに類する工作物

二  水管、下水道管、ガス管その他これらに類する物件

三  鉄道、軌道その他これらに類する施設

四  歩廊、雪よけその他これらに類する施設

五  地下街、地下室、通路、浄化槽その他これらに類する施設

六  露店、商品置場その他これらに類する施設

七  前各号に掲げるものを除く外、道路の構造又は交通に支障を及ぼす虞のある工作物、物件又は施設で政令で定めるもの


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