法令上の制限 基礎編
国土利用計画法に関する基礎チェック
事前届出制
正解・解説
【正解】○は4.5.9.のみ。
1 | 2 | 3 | 4 | 5 |
× | × | × | ○ | ○ |
6 | 7 | 8 | 9 | 10 |
× | × | × | ○ | × |
次のそれぞれの記述は、国土利用計画法の規定によれば○か、×か。 ただし、地方自治法に基づく指定都市の特例については考慮しないものとする。 |
1.「国土利用計画法第27条の7の1項、第27条の4の1項の届出(以下、本問において、
「事前届出」という)は,原則として契約の当事者が行うべきであるが,譲受人が定まって
いない場合は,譲渡人が単独で行うことができる。」
【正解:×】
◆届出を必要とする「土地売買等の契約」 第27条の7の1項→監視区域の届出 第27条の4の1項→注視区域の届出 事前届出では、契約の当事者、すなわち売主・買主と両当事者が届けます。 譲受人が定まっていない場合は、届出できません。 |
2.「AとBが事前届出をし、勧告をしない旨の通知を受けたが、事情により契約を
締結できなくなった後、その届出に係る土地について、同一の対価及び利用目的で、
AがCと権利移転の契約を締結する場合、改めて届出を行う必要はない。」
【正解:×】
◆再度の届出 当事者、予定対価の増額、利用目的の変更は、改めて届出が必要です。(減額する場合は届出の必要はありません。) 本設問では当事者が変わっているため〔AとB→AとC〕事前届出が必要です。 |
3.「事前届出をし、勧告しない旨の通知を受けた後、利用目的のみを変更して
契約を締結しようとする場合、価額を変更していない為、改めて届出をする必要
はない。」
【正解:×】
◆再度の届出 前問の解説のように、価額を変更していなくても、利用目的の変更は再度の届出を必要とします。 |
4.「監視区域に所在する土地の売買の事前届出については、価額及び取引後の
利用目的の審査とあわせて、その取引が投機的取引に該当するか否かの観点から
も、審査される。」
【正解:○】
◆監視区域での事前届出の審査 監視区域では、注視区域の審査の基準(価格・取引後の土地利用目的)に加えて、 権利移転の内容(投機的な取引かどうか) も審査します。 (条文上は、当該土地の周辺の地域の適正な地価の形成を図る上で著しい支障を及ぼす恐れがあること、となっています。)←この規定は注視区域の審査基準と文言が異なっているので注意してください。 この基準に該当する時は、土地利用審査会の意見を聞いて、知事は契約の中止の勧告その他の必要な措置〔予定対価の引き下げ・利用目的の変更など〕を勧告できます。 ▼注視区域での対価についての勧告 ・予定対価の額が近傍類地の取引価格等を考慮して政令で定めるところにより算定した土地に関する権利の相当な価額に照らして著しく適正を欠くこと(27条の5第1項第1号) 註 近傍類地の取引価格等とは具体的には地価公示の公示地価を基準にして算定した所有権の価額 |
5.「AとBが、Aの所有する600平方メートルの甲地と、これに隣接してBの所有する
400平方メートルの乙地を交換しようとする場合、事前届出が必要である。なお、双方
の土地は監視区域内にあり、届出対象面積は500平方メートルになっている。」
【正解:○】
◆対価 交換は、土地という対価を伴うものですから、国土法の「土地売買等」に該当し、一方が届出対象面積を超えていれば、当然、事前届出を両当事者とも、する必要があります。 |
6.「AがBに対して有する金銭債権の担保として、B所有の市街化区域(注視区域)
の2,000平方メートルの土地の所有権をAに移転する契約を締結しようとする場合
(いわゆる譲渡担保の場合)、届出をする必要はない。
【正解:×】
◆譲渡担保 譲渡担保契約は、国土法の「土地売買等」に該当し、当該土地面積も、注視区域の市街化区域の2,000平方メートル以上になっており、届出対象面積です。 |
7.「監視区域内において、都道府県の規則で定める面積以上の土地の所有権
の移転を都道府県の住宅供給公社から受けようとする場合、事前届出が必要で
ある。」
【正解:×】
◆一方、又は双方の当事者が国、地方公共団体、政令で定める法人(都市基盤整備公団、日本道路公団など)の場合は、届出不要 売主、買主どちらでも、契約の一方の当事者が、国、地方公共団体、政令で定める法人等の場合、 事後届出、事前届出を問わず、届出は不要です。 <規制区域の場合> 当事者の一方、又は双方が、国、地方公共団体、政令で定める法人である場合は、都道府県知事との協議の成立をもって許可があったものとみなします。 |
8.「監視区域の指定を解除する旨の公告があった場合において、当該解除に係る
区域内の土地について土地売買等の契約を締結しようとするときは、一切届出を
行う必要はない。」
【正解:×】
◆監視区域の解除 監視区域の解除があっても、 ア.注視区域または規制区域に指定される場合 イ.事後届出制となる場合 の2つがありますが、面積要件を満たしている「土地売買等の契約」であれば、当然、事前届出・事後届出のどちらかをしなければいけません。 |
●関連問題 |
「監視区域の指定を解除する旨の公告があった場合においては,当該解除に係る区域内の土地の売買等の契約について解除前に事前届出をして勧告を受けなかった者が,当該解除後に土地の利用目的の変更をして土地売買等の契約を締結したときでも,事後届出をする必要はない。なお,監視区域の解除に伴い,規制区域や注視区域の指定はなされていないものとする。」 |
【正解:×】 新作問題
監視区域が解除されて無指定区域〔事後届出が必要な区域〕になり,解除前に事前届出をして勧告を受けなかったとしても,解除後に土地の利用目的を変更して契約を締結したときは,改めて事後届出をしなければいけません。 事後届出の趣旨は土地の価格よりも土地の利用目的をチェックするということですから,この原則で考えれば難しいことではないでしょう。 したがって,利用目的を変更しないで契約を締結する場合は事後届出をする必要はありません。(施行令・17条8項) |
9.「監視区域に所在する土地について、売買契約を締結した者は、その土地が
届出対象面積未満のものであっても、当該契約の対価、利用目的について、
都道府県知事から報告を求められることがある。」
【正解:○】
◆報告の聴取 監視区域では、当該土地が届出対象面積未満のものであっても、当該契約内容、利用目的について、都道府県知事から報告を求められることがあります。 (国土利用計画法・第27条の9) |
10.「国土利用計画法・第27条の7の1の規定に違反して、事前届出をしないで
土地売買等の契約を締結した場合は、その契約が無効になるだけでなく、
契約の当事者が懲役に処せられることがある。」
【正解:×】
◆無届の場合→契約は有効 無届出で、土地売買等の契約を締結した場合は、6月以下の懲役又は100万円以下の罰金に処せられます。 しかし、契約の効力には影響はありません。 ▼注視区域・監視区域とも,事前届出をした日から起算して6週間が経過するまでは契約を締結することができません。〔勧告または不勧告の通知を受けたときは6週間以内であっても契約を締結することができます。〕 この規定に違反した場合,契約の効力に影響はありませんが,50万円以下の罰金に処せられます。 |