法令上の制限 基礎編
国土利用計画法に関する問題1
正解・解説
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 | 5 |
○ | × | × | × | ○ |
次のそれぞれの記述は、国土利用計画法の規定によれば○か、×か。 ただし、地方自治法に基づく指定都市の特例については考慮しないものとする。 |
1.「国土利用計画法第23条の届出においては、土地売買等の契約を締結しようとする
場合、権利取得者は、その契約を締結した日から起算して2週間以内に当該土地が
所在する市町村の長を経由して、一定事項を都道府県知事に届け出なければならない。」
【正解:○】
◆事後届出制 届け出るのは、「その土地の売買等の契約により土地に関する権利の移転又 は設定を受けることとなる者(“権利取得者”という)」であり、その契約を 締結したした日から起算して「2週間以内」に、その土地が所在する「市町村 長を経由」して「都道府県知事に届出」ることになります。 但し、下記の要件に当てはまる場合は、届出が不要です。 ア.届出対象面積(設問2参照)未満のもの イ.当事者の一方が国等(国、地方公共団体、〜公団、〜公社等)である場合 ウ.規制区域内の土地→但し、契約締結前に知事の“許可”が必要 エ.注視区域・監視区域内の土地→但し、契約締結“前”に届出が必要 オ.民事調停法による調停、民事訴訟法による和解、家事審判法による調停に 基づく場合 <家事審判法による調停> 人事に関する訴訟事件その他一般に家庭に関する事件について調停 (婚姻・遺産の相続・養子縁組・嫡出子の認知など) カ.商法、破産法、会社更生法、金融機関の再生の為の緊急措置に関する法律 または民事再生法に基づく特別清算手続などにおいて裁判所の許可を得て 行われる場合 キ.滞納処分、強制執行、担保権の実行として競売による場合 ク.農地法第3条1項の許可を受けることを要する場合 ケ・非常災害に際し、必要な応急措置を講じるために行われる場合 <少し頭の整理を…> ◆当該土地が“規制区域”にあるか? 「ある」→許可制 「ない」→届出制(事前・事後) ・注視区域、監視区域内…事前届出 ・上記以外の区域内………事後届出 本問は、上記の内「事後届出」に関する記述となっています。 |
2.「国土利用計画法第23条の届出においては、届出を要する面積は、市街化
区域内は1,000平方メートル以上、市街化調整区域内または未線引区域内は
3,000平方メートル以上、都市計画区域外のは5,000平方メートル以上である。」
【正解:×】
◆設問1で登場した「事後届出」での届出不要面積 (権利取得者を基準に考えましょう!) ア.市街化区域……………………… 2,000平方メートル未満 イ.市街化調整区域・未線引区域… 5,000平方メートル未満 ウ.都市計画区域外…………………10,000平方メートル未満 <注意>事後届出制での一団の土地 <一団の土地> 物理的一体性・計画的一体性を共に満たすまとまりの土地 個々の取引が上記の届出不要面積であっても、権利取得者が上記面積以上の 一団の土地について取引をした場合(個々の土地所有者から合計して上記面積を 超える土地を買収した場合)には、権利取得者は、事後届出をしなければいけません。 例えば、市街化区域内で A(売主)→ 1,000平方メートル B(売主)→ 500平方メートル X(買主) 合計して2,000平方メートル C(売主)→ 500平方メートル この場合は、「市街化区域内で2,000平方メートル以上」なので、 Xは事後届出をしなければいけません。 A、B、Cから時期をズラして買っても、事後届出が必要です。 <監視区域・注視区域での届出不要面積> きちんと区別してください! 注視区域の届出不要面積・・・事後届出制と同じ 監視区域の届出不要面積・・・知事(or指定都市の長)が規則で定めた面積未満 |
3.「土地売買等の契約を締結しようとする場合に、届出を要する事項に、土
地売買等の契約の当事者の氏名は必要であるが、その者の住所は必要事項では
ない。」
【正解:×】
◆届出の内容 「土地売買等の契約を締結“しようとする”場合」とありますから、「ハハ ン、これから届け出るのだから、事前届出だな!」と考えてもヨイのですが、 事前届出・事後届出の内容にはそれほど違いがありません。 ◆届出の内容 (事前・事後共通) ア.当事者の氏名または名称、住所、法人にあっては代表者の氏名 イ.土地の所在、面積 ウ.権利の種類、内容 エ.権利の移転又は設定後における土地の利用目的(変更の場合は再度届出) オ.(予定)対価の額 →事後届出の場合は「対価」、事前届出の場合は「予定対価」です。 契約締結の前後のことですから、対価が決定した場合と、これから決め る場合とで用語が異なるのは理解できますね。 ※「事前届出」の場合、予定対価が変更しても、“増額”の場合は再度届 出をする必要がありますが、“減額”した場合にはその必要はありません。 カ.その他国土交通省令で定める事項 (事後届出のみ) キ.契約を締結した年月日 <関連> ◆届出等の義務者 ・規制区域内→許可制……許可申請義務者は「契約の両当事者」 ・規制区域外→届出制 ア.注視区域、監視区域内…事前届出―届出義務者は「契約の両当事者」 イ.上記以外の区域内………事後届出―届出義務者は「権利取得者」 <注意> 条文での届出の義務者は、規制区域・注視区域・監視区域とも「当事者」になっています。したがって、試験で「当事者」と書いたものが問題文にあっても間違いではありません。 |
4.「都道府県知事は、当該都道府県の区域のうち、地価が一定の期間内に社
会経済的事情の変動に照らして相当な程度を超えて上昇し、又は上昇するおそ
れがあるものとして国土交通大臣が定める基準に該当し、これによって適正か
つ合理的な土地利用の確保に支障を生ずるおそれがあると認められる区域を、
期間を定めて、監視区域として指定することができる。」
【正解:×】
“監視区域”を「注視区域」に直せば、正しい記述となります。 <関連> ◆“監視区域” 都道府県知事は、当該都道府県の区域のうち、“地価が急激に上昇”し、又は 上昇するおそれがあり、これによって適正かつ合理的な土地利用の確保が困難 となるおそれがあると認められる区域を、期間を定めて、監視区域として指定 することができます。 ◆“注視区域” 都道府県知事は、当該都道府県の区域のうち、地価が一定の期間内に社会的経済的事情の変動に照らして相当な程度を超えて上昇し、又は上昇するおそれがあるものとして国土交通大臣が定める基準に該当し、これによつて適正かつ合理的な土地利用の確保に支障を生ずるおそれがあると認められる区域(第十二条第一項の規定により規制区域として指定された区域又は第二十七条の六第一項の規定により監視区域として指定された区域を除く。)を、期間を定めて、注視区域として指定することができます。 <指定の手続き>監視区域・注視区域共通 都道府県知事(指定都市にあっては指定都市の市長。以下、同じ)は、あらかじめ、土地利用審査会および関係市町村長の意見を聴いて指定する。 指定は5年以内の期間を定めて行う。 指定期間が満了する場合でも、知事は「指定の事由がなくなっていない」と認めるときは、再度区域の指定を行うことができる。 → 平成12年4月の全国の監視区域の指定数については、以下を参照して下さい。 http://www.tokagekyo.7777.net/tokei-data/sp_kanshi.html →また、監視区域の実例も、下記のページに出ています。 |
5.「監視・注視区域に所在する土地について土地売買等の契約を締結しようとする
場合に、その届出をした日から起算して6週間を経過する日までの間、その届出に
係る土地売買等の契約を締結してはならない。」
【正解:○】
◆契約締結の禁止 「監視区域」 「注視区域」に所在する土地の土地売買等の契約を締結しようと する者(売主・買主双方)は、「届出をした日から起算して6週間」は契約を締結せず、 ジッと待たなければなりません。 ただし、“勧告通知、又は不勧告通知を受けた場合”若しくは“届出をした日から起算して 6週間を経過した場合”は、契約を締結できます。 |