法令上の制限 基礎編

国土利用計画法に関する問題2

正解・解説


【正解】

× × × ×

次のそれぞれの記述は、国土利用計画法の規定によれば○か、×か。

ただし、地方自治法に基づく指定都市の特例については考慮しないものとする。

1.「市街化区域(注視区域及び監視区域外、かつ、規制区域外)に所在する

5,000平方メートルの土地をA・B・Cの3人が共有(持分均一)し、Aのみがその持分

を売却した場合、届出が必要である。」

【正解:×

◆共有物

 設問文を読んでまず頭に浮かべて欲しいのは、

ア.注視区域及び監視区域外、かつ、規制区域外事後届出制

イ.事後届出制における市街化区域内の土地の届出対象面積は?

  →2,000平方メートル以上

ウ.事後届出制における届出義務者は?→権利取得者

 上記を踏まえて考えてみましょう。

 5,000平方メートルの土地をA・B・Cの3人が持分均一で共有していれば

Aの持分は約1,666平方メートルとなります。届出対象面積を見るだけでもA

には届出をする必要はないことがわかります

 さらに、事後届出制における届出義務者は「権利取得者」ですから、Aが届

出対象面積となる土地を売却した場合であっても、権利取得者、つまり土地の

買い主(Aの相手方)に届出義務があり、いずれにしてもAには届出をする必

要はありません。

<注意!>

 面積は実測していれば、登記簿上のものではなく、実測のものを使います。

2.「監視・注視区域内における土地に関する権利の移転等の届出に関し、都道府県

の規制で定める面積以上の土地の所有権の移転を、都道府県の地方住宅供給公

社から受けようとする場合、届出が必要である。」

【正解:×

◆届出不要の当事者

 監視・注視区域内(事前届出制)の土地の権利移転等に係る届出義務者は

契約の両当事者」です。

 当事者の一方が、国、地方公共団体、その他政令で定める法人の場合、届出

は不要とされています。(これは、事後届出制でも届出不要です。)

本問の“公社”とは政令で定める法人に入ります。

3.「停止条件付きの土地売買等の契約については、その締結にあたり、届出

をするとともに、停止条件の成就後改めて届出をする必要がある。

なお、規制区域内ではないものとする。」

【正解:×

 停止条件付きであろうとも、当該契約設定の時(契約締結の日から起算して2週間

以内)に届出をすれば、その条件成就は「土地売買等の契約」には該当しない為、

後に改めて届出をする必要はありません。

4.「監視・注視区域に所在する土地についての土地売買等の届出に対し、勧告又は

勧告をしない旨の通知があった後でも、予定対価の額を変更するには、その額

にかかわらず、改めて届出をしなければならない。」

【正解:×

 変更でも、「増額」の場合は届出を要しますが、“減額”の場合は再度届出を

する必要はありません。

 <届出後の変更>

 予定対価の増額、または、土地の利用目的の変更をして契約をしようとするときは、

当事者は改めて届出をしなければなりません。

(国土利用計画法27条の4、27条の7の1項)

5.「監視・注視区域内に所在する土地について土地売買等の契約締結に係わる届出

をした者は、勧告をしない旨の通知を受けた場合、その通知を受けた時から当

該契約を締結することができる。」

【正解:

 設問文の記述の通りです。

 また、届出をした日から起算して6週間を経過した場合にも契約を締結する

ことができます。

<参考出題>

「届出をして国土利用計画法第24条第1項の規定による勧告を受けた者が、その

勧告に従わない場合は、罰金に処せられることがある。」(平成10年出題)

【正解:×

 事前届出・事後届出とも、勧告を受けてその勧告に従わない場合は、その旨および

勧告の内容を公表されることがあります。(国土利用計画法・26条)

 しかしながら、勧告に従わないことで罰則はありません。

<勧告により利用目的が変更になるときは・・・> ●事後届出

 知事は、24条1項の勧告により、当該土地の利用目的が変更になった場合は、

必要があると認めるときは、当該土地の関する権利の処分について、あっせん

その他の措置を講ずるように努めなければならない。(国土利用計画法・27条)

<勧告により土地売買などの契約の締結が中止> ●注視区域・監視区域

知事は、勧告により、当該土地売買等の契約の締結が中止された場合は、

必要があると認めるときは、当該土地の関する権利の処分について、あっせん

その他の措置を講ずるように努めなければならない。

(国土利用計画法・27条の5の4項 / 27条の8の2項)


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