法令上の制限 基礎編
国土利用計画法に関する問題3
正解・解説
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 | 5 |
○ | ○ | ○ | × | ○ |
次のそれぞれの記述は、国土利用計画法の規定によれば○か、×か。 ただし、地方自治法に基づく指定都市の特例については考慮しないものとする。 |
1.「規制区域内において土地の売買等の契約をするには、その面積にかかわ
らず、都道府県知事の許可を受けなければならない。」
【正解:○】
◆規制区域 「規制区域内」の売買は、すべて許可を要します。 ◆許可のいる権利の移転等 →(届出制も同じ) ・売買契約・予約 ・代物弁済・予約 ・交換 ・譲渡担保 ・営業譲渡 ・地上権(設定の対価のあるもの) ・賃借権(設定の対価のあるもの) ・共有持分の譲渡 ・保留地処分(区画整理) ・形成権(予約完結権・民事調停・和解・買戻権)の“譲渡” ・所有権移転請求権の譲渡 ・以上のものの停止条件付契約、解除条件付き契約 ◆許可のいらない権利の移転等の主なもの→ (届出制も同じ) ・抵当権の設定 ・贈与 ・相続 ・信託契約 ・換地処分 ・遺産分割 ・形成権の“行使” ・時効 ・土地収用 <規制区域での審査での許可・不許可の後> 許可→ 許可申請した契約ができる。 不許可→土地に関する権利を有している者は、知事に対して、 当該土地に関する権利を買取請求ができる。 ◆規制区域の許可申請の例 |
●関連問題 |
1.「規制区域に所在する土地について,都道府県知事の許可を受けずに売買契約を締結した場合,刑罰を課されることはあるが,当該契約は効力を有する。」(平成3年) |
【正解:×】許可を受けないで締結した契約は無効で,3年以下の懲役または200万円以下の罰金に処せられる。(46条) |
2.「都道府県知事が,国土利用計画法に定める規制区域に所在する土地に関する権利の移転の許可申請に対して,6週間以内に許可又は不許可の処分をしなかった場合には,その翌日において不許可の処分があったものとみなす。」(昭和53年) |
【正解:×】 6週間が経過しても処分がなかった場合には,6週間の期間満了の翌日において<許可の処分があったものとみなすものとみなす>。(17条2項)
「不許可の処分があったものとみなす」のではない。 |
2.「民事調停法による調停、民事訴訟法による和解などにより権利が移転さ
れるとき、対価が授受されても届出の必要はない。」
【正解:○】シツコイ?
◆届出のいる権利の移転等 ア.土地に関する権利(所有権・地上権・賃借権)の移転・設定であること (交換も含む) イ.対価をもって行われること ウ.契約(予約を含む)であること 本問の場合、対価の授受があるために上記の要件“イ”はクリアしています。 しかし、私的な紛争が、裁判所の関与により円満に解決した結果移動される 権利を“契約”と呼ぶにはふさわしくありません。よって要件“ウ”を満たし ていないので、届出は不要です。 |
3.「市街化区域内の2,500平方メートルの土地を贈与する場合には、国土利
用計画法の届出を必要としない。」
【正解:○】
「対価の生じない贈与契約」は、国土法の届出を要しません。 ◆届出を要しない権利の移転等(設問1の解説も参照して下さい) ・非常災害の応急措置として行われる場合 ・国・地方公共団体などが当事者の一方である場合 ・永小作権の設定(農地法では許可が必要) ・形成権(予約完結権・買戻し権の行使よ(行使は契約ではない) ・抵当権の設定 ・抵当権消滅請求・代価弁済(代物弁済は届出義務) ・設定の対価のない(権利金の授受のない)地上権・賃借権の設定 ←平成6年出題 (一時金相当額の支払いがあれば、対価性を満たすので届出義務) ・地役権の設定、使用貸借権の設定、 ・合意解除 ・贈与・負担付贈与、財産分与 ・相続 ・共有持分の放棄 ・信託契約(信託の引受け・終了) ・土地収用・時効(これは原始取得であり、対価性・契約性を持っていません) ・換地処分 ・農地を農地として売買(農地法3条1項の許可) ・競売による場合 ・(監視区域・注視区域) 事前確認を受けた場合 |
4.「都道府県知事は、注視区域に所在する土地について、土地売買等の届出
があった場合、当該土地を含む周辺の地域の適正かつ合理的な土地利用を図る
ために著しい支障あるを認めるとき、当該土地が所在する市町村長の意見を聴
いてその届出をした者に対して勧告をすることができる。」
【正解:×】
◆土地利用審議会 “当該土地が所在する市町村長”ではなく、「土地利用審議会」の意見を聴いて勧告することになっています。 ⇒ <監視区域・注視区域の指定をしようとする場合に,あらかじめ土地利用審査会及び関係市町村の意見を聴かなければならない。>という規定はありますがこれと混同しないようにしましょう。 ◆勧告の内容 知事は、「土地利用審議会」の意見を聴いて、届出者に対して、 ・当該契約の中止 ・予定対価の引き下げ ・利用目的の変更 などを必要な措置を講じるべきことを勧告できます。 ◆「著しい支障」とは… ア.「予定対価の額」が、相当な価格に照らして著しく適正を欠くこと イ.「利用目的」が、土地利用基本計画その他の土地利用に関する計画に適合 しないこと ウ.「利用目的」が、公共施設・公益的施設の整備の予定、周辺の自然環境の 保全上明らかに不適当であること <監視区域の特例> 監視区域では、 利用目的・予定対価の額以外に、 権利移転の内容についても審査され、 上記の「著しい支障」のほか、以下の場合にも勧告がなされます。(法27条の8の1項2号) 周辺の地域の適正な地価の形成を図る上で著しい支障を及ぼすおそれがあること ←平成4年出題 |
5.「都道府県知事は、国土利用計画法23条1項による届出があった場合において、
その届出をした者に対し、その届出に係る土地に関する権利の移転又は設定後に
おける土地の利用目的について、当該土地を含む周辺の地域の適正かつ合理的
な土地利用を図るために必要な助言をすることができる。」
【正解:○】
◆事後届出制での助言 都道府県知事は、設問文の記述のように「勧告」の他に「助言」もできます。 (国土利用計画法27条の2) 助言を受けた者がこれに従わない場合でも、勧告をした時と異なり、 従わない旨・及びその内容を公表することはできません。(平成12年出題) <事後届出制の流れ> 審査(利用目的のみ) 届出から三週間以内に不勧告・変更勧告 (調査の結果、勧告できない合理的な理由があるときは、3週間延長できる) ←平成12年出題 助言 <変更勧告後の流れ> 変更勧告に従う→利用目的が変更されたとき、必要があると認めたときは、知事は、 土地に関する処分についてのあっせんなどの措置を講じるように 努めなければならない。 変更勧告に従わない→従わない旨、および勧告内容を公表できる。 契約は有効。 |
<参考出題>
監視区域に所在する土地について土地に関する権利を有している者は、届出した場合において、契約の中止の勧告を受けたときは、都道府県知事に対し、当該土地に関する権利を買い取るべきことを請求することができる。 |
【正解 : ×】
規制区域では、不許可になったときに、買取請求ができますが、 監視区域・注視区域で契約の中止の勧告を受けたときは、買取請求はできません。 中止の勧告に従うときは、知事が必要と認めた場合、土地の権利の処分について、 知事の斡旋などを受けられます。 (条文では、必要な場合は斡旋の措置を講じるように努めなければならない→努力目標) 中止の勧告、変更の勧告に従わない時は、従わない旨および勧告の内容を 知事は公表できます。 契約は有効。 |