法令上の制限 基礎編
国土利用計画法に関する問題4
正解・解説
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 | 5 |
× | × | ○ | ○ | ○ |
次のそれぞれの記述は、国土利用計画法の規定によれば○か、×か。 ただし、地方自治法に基づく指定都市の特例については考慮しないものとする。 また、各肢とも、規制区域内にはないものとする。 |
1.「注視区域及び監視区域以外に所在する一団の造成宅地を第一期、第二期
に分けて複数の者に分譲した場合において、それぞれの面積が届出対象面積に
達しなくても、その合計面積が届出対象面積に達する場合には、それぞれ届出
をしなければならない。」
【正解:×】
◆事後届出制での一団の土地 いわゆる「無指定区域(→事後届出)」に存在する土地については、権利取得 者を基準に判定されているのであり、それぞれの取得面積が対象面積に達して いなければ、届出は不要です。 |
一団の土地 |
◆事後届出制
個々の面積は小さくても、権利取得者(売買の場合,買主)が権利を取得する土地の合計が面積要件に該当する場合(業界用語で「買いの一団」)には届出が必要です。 (例1) 買う土地の全体が基準以上の面積 売主A→ 売主B→ 買主:X (合計が基準面積以上の場合) ・・・事後届出必要 売主C→ (例2) 売る全体の面積が基準以上の面積 → 買主X 売主A→ 買主Y X、Y、Zともそれぞれ基準に到達しない…事後届出不要 → 買主Z 注意 X、Y、Zの取得した土地が基準面積に達している場合は事後届出が必要です。 ●一団の土地の定義 一団の土地とは、 1.物理的一体性 土地利用上、現に一体の土地を構成し、又は一体としての利用に供することが可能なひとまとまりの土地。道路、水路などで分断されていて、所有者が異なっていても、一体として利用することが客観的に見て、合理的だと認められる場合。 2.計画の一貫性 所有者が異なる土地を、契約が同一時点でなく、間隔をおいて契約するにしても、最終的にまとめて一体として利用する一連の計画がある場合。(1回の売買契約では、基準面積に到達していなくても、最終的にまとめた土地が基準面積以上になる場合) この2つが要件であり、届出制で重要なのはさらに、 3.主体の同一性 当事者の一方又は双方が同一主体であること。 このような売買を行おうとする土地のことをいいます。 ◆事前届出制の場合 事前届出制では、届出をするのは、契約の両当事者である為、上の例1、例2では、 売主・買主双方とも、事前届出が必要です。 (事前確認の届出をして、都道府県知事-指定都市の長-の確認を受けた場合は、例2では、事前届出の必要はありません。)→ブラインド・ゾーン |
2.「国土利用計画法は、宅地等の価格を監視するのが一つの目的であり、農
地の売買等については、第23条の規定に基づく届出を要しない。」
【正解:×】
◆農地法との関連 農地法第3条の「農地を農地として売買する場合」は届出は不要ですが、第5 条の“農地を宅地等にするために売買する時”は届出(規制区域の場合は許可)を 要します。 |
3.「国土利用計画法第23条の届出について、虚偽の届出をした者は、6月以
下の懲役又は100万円以下の罰金に処せられる。」
【正解:○】
◆事後届出 第23条の届出について、虚偽の届出をした者は、無届者と同じく6月以下の 懲役又は100万円以下の罰金に処せられます。 ただし、当該契約が無効となるという規定はありませんので要注意(=契約 は有効)。 |
4.「土地の所有権を1年後に移転する旨の契約を締結し、所有権移転請求権
を取得して届出をした者が、その後当該請求権を第三者に売却した場合、改め
て届出が必要である。」
【正解:○】
◆所有権移転請求権の売却 取得して届出をした所有権移転請求権を、その後において第三者に売却したと きは、当事者も異なることになり、また売却価格の額及び利用目的も同一であ るとは限らないため、改めて届出をおこなう必要があります。 |
5.「Aの業務に関し、BがAの代理人として、国土利用計画法第23条の規定に
違反して、土地の売買契約について届出をしなかった場合、Bが6月以下の
懲役又は100万円以下の罰金に処せられることがあるほか、Aも100万円以下
の罰金に処せられることがある。」
【正解:○】代理人と本人、両方に罰則規定
◆両罰規定 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その 法人又は人の業務に関し、国土利用計画法に違反行為をしたときは、行為者を 罰するほか、その法人又は人に対して各本条(46条〜49条)の罰金刑を科する。 (国土利用計画法・50条) 23条違反の場合、6月以下の懲役又は100万円以下の罰金となっていますので、 Aは100万円以下の罰金に処せられることがあります。 この両罰規定は、規制区域・監視区域・注視区域の規定に違反した場合でも 変わりません。 <罰則のまとめ> ◆規制区域・・・許可を受けないで契約→3年以下の懲役又は200万円以下の罰金 契約は無効! ◆6月以下の懲役又は100万円の罰金 ※契約は有効 ・事後届出をしない場合 ・事前届出をしないで契約 ・事前届出で虚偽の届出 ◆50万円以下の罰金 ※契約は有効 ・事前届出をして6週間の期間内に勧告又は不勧告の通知を受けていない のに、契約した場合 ◆30万円以下の罰金 ※契約は有効 ・勧告を受け、勧告に基づいた措置について知事から報告を求められたときに、 報告をせず、又は虚偽の報告をした場合 ・知事の命による立入検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又は立入検査の規定 による質問に対して答弁をせず、若しくは虚偽の答弁をした場合 |