法令上の制限 基礎編
国土利用計画法のアウトライン
出題歴とアウトラインをまとめました。問題を解く前に、ご覧下さい。
国土法は、短期攻略が可能なところです。
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・国土利用計画法 最終改正:平成12.5.19
・国土利用計画法・施行令 最終改正:平成13.3.30 ・国土利用計画法・施行規則 最終改正:平成12.8.14 |
各制度の創設年度 |
規制区域 昭和49年創設 監視区域 昭和62年創設 平成元年、監視区域の勧告要件の拡大。 短期転売による投機的土地取引を抑制する改正。 注視区域 平成10年創設 事後届出制への移行 平成10年 (註 : 平成10年の移行前の23条1項は、監視区域とは別の事前届出制でした。) |
【国土利用計画法の出題歴】
・・ | 元 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 |
国土利用計画 | - | - | - | - | - | - | - | - | - | - | - | - | |||
土地利用基本計画 | - | - | - | - | - | - | - | - | - | - | - | - | |||
規制区域の許可(14条) | - | - | ○ | - | - | - | - | - | - | - | - | - | |||
買取請求 | ○ | - | - | - | - | - | - | - | - | - | - | - | |||
事後届出(23条) | - | ○ | - | ○ | - | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | |
事後届出の勧告 | - | - | - | - | - | - | - | - | - | - | ○ | ○ | |||
勧告の公表 | - | - | - | - | - | - | - | - | - | ○ | - | ○ | ○ | ||
斡旋・助言 | - | - | - | - | - | - | - | - | - | - | - | ○ | |||
注視区域の届出(27条の4) | # | # | # | # | # | # | # | # | # | # | - | ○ | - | ||
注視区域の勧告など | # | #○ | # | # | # | # | # | # | # | # | - | - | |||
監視区域の届出(27条の7) | ○ | - | ○ | - | - | ○ | ○ | - | ○ | - | - | ○ | ○ | - | |
再度の届出 | ○ | - | - | - | - | - | - | - | - | - | - | - | |||
監視区域の勧告 | - | - | ○ | - | - | ○ | ○ | - | - | - | - | ○ | - | ||
報告の徴収 | - | - | - | - | - | ○ | - | - | - | - | - | - | |||
審議会・土地利用審査会 | - | - | - | - | - | - | - | - | - | - | - | - | |||
農地法と国土法 | - | ○ | - | - | - | - | ○ | - | - | - | - | - | |||
立入検査・土地調査員 | - | - | - | - | - | - | - | - | - | - | - | - | |||
罰則 | - | ○ | - | - | - | - | - | ○ | - | - | ○ | ○ | ○ | - | |
両罰規定 | - | ○ | - | - | - | - | - | - | - | - | - | - |
<ご注意> この表は、まだ未完成です。
国土利用計画法の沿革 |
◆制定の背景 1973年10月の第一次オイルショックに端を発する狂乱物価(命名・福田赳夫・元首相)、 高速道路の建設、新幹線鉄道網の拡大等、高度経済成長に伴う開発が環境悪化、地価の高騰、大都市への人口集中等を招き、地価は、取引が拡大・過熱して高騰していました。 政府は、このときすでに「国土総合開発法案」を準備していましたが、当時、土地政策に対する世論の批判が高まったため、これに代わる「国土利用計画法」が衆議院建設委員会の提案により、議員立法として、成立しました。(国土利用計画法の制定により、国土庁も発足しています。) 国土利用計画法の全貌については ↓参照 http://www.pref.yamanashi.jp/kikaku/seikatu/tochi-tantou/kokudo/ ◆趣旨 「国土の利用は、国土が現在及び将来における国民のための限られた資源であるとともに、生活及び生産を通ずる諸活動の共通の基盤であることにかんがみ、公共の福祉を優先させ、自然環境の保全を図りつつ、地域の自然的、社会的、経済的及び文化的条件に配意して、健康で文化的な生活環境の確保と国土の均衡ある発展を図ることを基本理念として行う」 このため、国土利用計画法は、以下の三つを柱にしています。 1.国土全体にわたる国土利用計画と土地利用基本計画を定めて 土地利用の計画的調整を図る 土地利用基本計画については ↓参照 http://www.pref.shimane.jp/section/land_ene/kihonkei.html 国土利用計画については ↓参照 http://www.pref.shimane.jp/section/land_ene/kokudo.html http://www.pref.okinawa.jp/96/tochi/kokudo-ga.html http://www.pref.miyagi.jp/totai/keikaku/kokudo_keikaku.htm 2.土地取引に行政が直接に介入して 取引価格の安定を図る 3. 遊休土地に関する措置(届出制・許可制の事後チェックの一つ) 届出制・許可制の適用を受けて土地取引が行われた後2年以上遊休状態にある土地について、都道府県知事が遊休土地の認定をすると、所有者は6週間以内に利用または処分の計画を提出することを義務づけられます。 土地の所有者は、当該土地の所在する市町村の長を経由して、遊休土地の利用又は処分に関する計画を都道府県知事に届けます。 知事は、この届出をしたものに対して、その届出に係る遊休土地の有効かつ適切な利用の促進に関し、必要な助言をすることができます。 知事は、この届出に係る計画に従って当該遊休土地を利用し、又は処分することが当該土地の有効かつ適切な利用の促進を図る上で支障があると認めるときは、土地利用審査会の意見を聴いて、届け出をした者に対し、相当の期限を決めて、計画を変更すべきことその他必要な措置を構ずべきことを勧告できます。 知事が当該計画の変更を勧告しても従わないときは、その土地の取得を希望する地方自治体等との買取りの協議が義務づけられます。 4.土地利用審査会 国土利用計画法での土地利用審査会の例は、以下のWEBページをご覧下さい。 |
許可・届出の全体像 |
1.許可・届出を要する一定の土地取引とは何か?
権利性 ・土地に関する使用収益権、またはこれらの権利取得を目的とする権利の移転 または設定 ・所有権・地上権(対価のあるもの)・賃借権の(対価のあるもの)移転または設定 対価 ・土地に関する権利の移転または設定が「対価」を得て行われること 契約 ・土地に関する権利の移転または設定が「契約」(予約を含む)によること 2.誰が届出・許可申請するか 規制区域・・一定の土地取引をする両当事者 注視区域・・一定の土地取引をする契約の両当事者 監視区域・・一定の土地取引をする契約の両当事者 事後届出・・権利取得者が届ける 3.面積要件の違い 注視区域・・事後届出制と同じ 監視区域・・知事が都道府県の規則で定める 規制区域・・面積要件なし(面積にかかわらず許可必要) 4.無届・無許可の契約の効力は? 規制区域・・無効。3年以下の懲役または200万円以下の罰金 監視区域・・有効。6ヶ月以下の懲役または100万円以下の罰金 注視区域・・有効。6ヶ月以下の懲役または100万円以下の罰金 事後届出制度・・有効。6ヶ月以下の懲役または100万円以下の罰金 →規制区域を除いて、届出をしなくても契約の効力には影響なし。 罰則(代理人と本人の両罰規定があります)と、勧告に従わない時の公表を 混同しないようにしてください。勧告を無視しても、罰則はありません。 5.届出後の変更 当事者・予定対価の増額・利用目的の変更は改めて届けなければなりません。 6.農地法との関連 農地法3条の許可を要する権利移動は、事前届出、事後届出とも不要です。 しかし、農地法5条の許可を要する権利移動は、事前届出、事後届出とも必要です。 |
監視区域と注視区域の違い |
監視区域と注視区域は、 指定要件と面積要件、審査、勧告内容、報告の徴収 に違いがある他は、以下のものに大きな違いはありません。 ・事前確認制度 ・届出を要する土地売買の契約 ・手続、届出のやり直し ・斡旋などの措置 ・勧告に従わなかった時の公表 ・違反・罰則 <監視区域での審査> ・利用目的 ・予定対価の額 ・権利移転の内容(これは注視区域にはない) <監視区域での勧告の特例> 監視区域では、勧告の要件として ・予定対価の額が公示価格を基準として算定した価額に照らし、 著しく適正を欠く ・土地の利用目的が「土地利用基本計画」に適合しない ・土地の利用目的が、 公共・公益施設の整備予定 周辺の自然環境の保全上 明らかに不適切である 上記のほか、以下の場合にも勧告がなされます。 「 周辺の地域の適正な地価の形成を図る上で著しい支障を及ぼすおそれがあること 」 (簡単に言えば、投機的な土地取引…) ●投機的土地取引とは何か? 投機的土地取引とは、将来の地価上昇の期待に基づく取引をいいます。 国土利用計画法施行令第18条の3では、 「土地の利用を目的とするのではなく、 転売利益を得ることを目的とした土地取引のうち、保有期間1年以内のもの」 を 投機的土地取引であるとしています。 <報告の徴収> 監視区域では、都道府県の規則で定めた面積未満であっても、 知事が、当該土地売買等の契約及び当該契約にかかる土地の利用について 報告を求めることができます。←平成3年出題 ◆注視区域の創設前の状況との比較については↓参照。 http://www.vill.tomigusuku.okinawa.jp/kikaku/cyosei/land.htm ◆監視区域の実例 |
注視区域、監視区域の指定市町村数 |
・規制区域 平成16.4.1現在 指定ゼロ
・注視区域 平成16.4.1現在 指定ゼロ ・監視区域 平成16.4.1現在 8都府県・44市町村 福島(10),岐阜(7),愛知(5),三重(12),滋賀(6),京都(1),奈良(2),東京都(1), ( )内は、指定市町村の数 平成11.12.20に、首都機能移転先候補として 栃木・福島地区(→栃木(5)は平成15年に解除)、岐阜・愛知地区が指定、 三重・畿央地区も、次候補になったため、監視区域になっています。 東京都の小笠原村は空港建設予定地のためです。 |
最近、出題のないもの(デッド・ゾーン) |
・事前届出制での事前確認
・規制区域 ・遊休土地(28条〜32条) ・買取請求 ・立入検査、土地調査員 |
国土法以外の土地取引の規制 |
国土利用計画法のほかにも、土地取引を規制しているのは、いろいろあります。
例えば、事後届出のケースで、事前(契約前)に公有地の拡大の推進に関する法律に基づく届出が必要な場合があります。 (事前届出を行う場合は、重複してこの届出を行う必要はありません) <概容> 平成10年の国土法の改正施行に伴い、法第23条第1項の届出が事前届出制から契約後の事後届出制になったため、都市計画施設の区域内、都市計画区域内などで一定の面積以上の土地を譲渡する場合は契約前に公有地の拡大の推進に関する法律第4条の届出が必要となります。面積要件は都市によって異なります。 都市計画区域で、一定の面積の土地の有償譲渡 都市計画施設の区域で道路、河川、都市公園などの一定の予定地等の有償譲渡 (政令で定める規模は、200平方メートル。 特に必要があると認められるときは 都道府県(指定都市又は中核市)は、条例で、区域を限り、 100平方メートル以上200平方メートル未満の範囲内で、その規模を別に定めることができる。 密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律第3条第1項に規定する防災再開発促進地区の区域内にあつては、50平方メートル以上200平方メートル未満の範囲内で、その規模を別に定めることができる。) 4条の規定による届出後3週間経過するか、または知事から届出に係る土地の買取を希望しない旨の通知があるまでは売買契約を締結できません。また、公有地として必要と判断されると、この期間内に地方公共団体などから買取の協議を行う旨の通知(買取価格=地価公示法に定められた公示価格を基準)があり、通知の日から最長3週間は協議期間とされるため、この間も売買契約は締結できません。 ●ご注意 なお、最近では、公有地の拡大の推進に関する法律は、出題されておりません。 詳細に付いては、下記のページ参照。 ●公有地の拡大の推進に関する法律に基づく届出 http://www.pref.aichi.jp/tochimizu/koukaku/index6.htm http://www2.ohotuku26.or.jp/abasiri/tosikai/keikaku/sittemas/siite8.htm#a ●公有地の拡大の推進に関する法律 http://www.city.asahikawa.hokkaido.jp/files/tosikeikaku/data/hou/h_s4766.htm |