法令上の制限 基礎編
土地区画整理法に関する問題3
正解・解説
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
○ | × | × | ○ |
次のそれぞれの記述は、土地区画整理法の規定によれば○か、×か。 |
1.「個人施行者以外の施行者は、所有権以外の未登記の権利で申告のないもの
や、また未登記の権利の移転・変更・消滅の届出のないものは、これを存しない
ものとみなし、換地処分・換地計画の決定をすることができる。」
【正解:○】 未登記で申告がなければ知りようがなく、全体の利益が優先され、知り得ない者は無視して決定できます(土地区画整理法85条5項)。 |
●条文確認 |
(権利の申告) 第85条 施行地区(個人施行者の施行する土地区画整理事業に係るものを除く。)内の宅地についての所有権以外の権利で登記のないものを有し、又は有することとなつた者は、当該権利の存する宅地の所有者若しくは当該権利の目的である権利を有する者と連署し、又は当該権利を証する書類を添えて、国土交通省令で定めるところにより、書面をもつてその権利の種類及び内容を施行者に申告しなければならない。 2 第19条第3項(第39条第2項及び第51条の7第2項(第51条の10第2項において準用する場合を含む。)において準用する場合を含む。)の規定による申告のあつた未登記の借地権は、前項の規定による申告があつたものとみなす。 3 第1項の規定による申告に係る登記のない権利(前項の規定により第1項の規定による申告があつたものとみなされた借地権を含む。)の移転、変更又は消滅があつた場合においては、当該移転、変更又は消滅に係る当事者の双方又は一方は、連署し、又は当該移転、変更若しくは消滅があつたことを証する書類を添えて、国土交通省令で定めるところにより、書面をもつてその旨を施行者に届け出なければならない。 4 個人施行者以外の施行者は、議決権又は選挙権を行う者を確定するため必要がある場合においては借地権について、換地計画の決定又は仮換地の指定のため必要がある場合においては宅地についての所有権以外の権利について、その必要な限度において、第1項又は前項の規定にかかわらず、定款、規準又は施行規程で定めるところにより、一定期間第1項の申告又は前項の届出を受理しないこととすることができる。 5 個人施行者以外の施行者は、第1項の規定により申告しなければならない権利でその申告のないもの(第2項の規定により第1項の規定による申告があつたものとみなされた借地権を除く。)については、その申告がない限り、これを存しないものとみなして、次条第5項、第85条の3第4項、第85条の4第5項及び本章第2節から第6節までの規定による処分又は決定をすることができるものとし、第1項の規定による申告があつた施行地区内の宅地について存する登記のない権利(第2項の規定により第一項の規定による申告があつたものとみなされた借地権を含む。)で第3項の規定による届出のないものについては、その届出のない限り、その権利の移転、変更又は消滅がないものとみなして、次条第5項、第85条の3第4項、第85条の4第5項及び本章第2節から第6節までの規定による処分又は決定をすることができる。 6 組合が成立した後、最初の役員が選挙され、又は選任されるまでの間は、第1項又は第3項の規定により組合に対してされた申告又は届出は、第14条第1項又は第2項に規定する認可を受けた者が受理するものとする。 |
2.「A所有の宅地甲について、宅地乙が仮換地として指定された場合、Aは宅
地乙について抵当権の設定や所有権の処分をすることができる。」
【正解:×】 Aの権利は、仮換地“乙”ではなく従前の宅地「甲」にあります。 「使用収益権」「処分権」の移動を、基本書等でキッチリを把握しておきましょう。 <念の為> 仮換地が指定された場合は、従前の宅地については、使用・収益する事は できなくなります。 仮換地が指定されると、従前の宅地について権原に基づいて使用し、または 収益することができる者(所有権者・借地権者)は、仮換地の指定の効力発生 の日から、換地処分に係る公告の日まで、仮換地につき、従前の宅地と 同じ内容の使用または収益をすることができます。 <仮換地の所有者に対する損失補償> 仮換地の所有者等に対する補償の規定です。本設問で言えば、宅地乙の 所有者等への規定です。Aが宅地乙を使うことにより、宅地乙の所有者等は、 使用収益できなくなるわけですから、補償を考える必要があります。 仮換地について権原に基づき使用収益をすることができる者(所有者、地上権・ 賃借権・永小作権を有している者)が仮換地を使用し、または収益できなくなったこと により損失を受けたときは、施行者は通常生じるはずの損失を補償しなければ なりません。(101条2項) (仮換地の効力の発生の日(仮換地を指定された者が使用収益をはじめる日を別に定められた時はその日)から換地処分の公告の日まで 、使用収益できなくなることへの損失補償になります。) <仮換地の指定の効力発生の日≠仮換地の使用・収益をはじめる日> 仮換地となる土地に除去しなければならないものがあるときに、 「仮換地の指定の効力発生の日」とは別に「仮換地の使用・収益をはじめる日」が 定められることがあります。 この場合は、仮換地を指定された者は、「仮換地の使用・収益をはじめる日」の前は、 「従前の土地」、「仮換地」双方共に、使用収益できません。 これによって損失を受けた者に対して、施行者は、損失補償をしなければ いけません。(101条1項) |
3.「清算金は、換地処分による不均衡を清算する金銭であり、その清算金は換
地処分の公告があった翌日に定められ、清算が行われる。」
【正解:×】 清算金は換地計画においてすでに定められています。 これが換地処分によって、「予定」から「確定」に変わるのです。 <まとめ> ◆換地処分 ・換地処分の意義 換地処分とは、土地区画整理事業を終了させるための法的手続です。 この換地処分の後には、登記簿の書換え、清算金の徴収・交付の事務 が残りますが、事業は換地処分によって実質的には完了することになります。 ・換地処分の時期 換地処分の時期は、原則としてその地区内の工事がすべて完了した後に、 遅滞なく行なうことになっています。 定款や施行規定で規定している時は工事のごく一部(道路の舗装等)が未完 了でも換地処分を行なうことができます。 ・換地処分を行うための通知 換地計画の内容の換地設計、各筆換地明細、各筆各権利別清算金明細等 を土地所有者や関係権利者に通知します。 この通知はもれなく到達させないとなりません。そのため事前に権利者の住 所を綿密に調査します。 ・換地処分の公告 換地処分通知を郵送し権利者のところに届いていることが明らかになった 時点以後、個人、組合、市町村等の施行者は、換地処分をした旨を都道府県 知事に届け出ます。知事は、届出があった場合に換地処分があったことを公告 します。 都道府県が施行者の場合は知事が換地処分をしたことを公告します。 ・換地処分の効力の発生 換地処分の公告の日の翌日から、換地は従前の宅地とみなされることに なります。 つまり、それまで仮換地として指定され使用収益していた区域が、その所有 者の本来の土地になるという意味です。 そして従前の宅地上にあった種々の権利は、換地に移行して存続します。 ・新町名への変更 換地処分の結果、各筆の地番が新たに変更されるだけでなく、 旧町名から新町名への変更も同時に行なうようにします。 この手続は土地区画整理法ではなく地方自治法により市町村議会の議決を 経て行なわれます。 |
4.「地方公共団体施行の土地区画整理事業の場合、施行者は、縦覧に供すべき
換地計画を作成しようとするとき、及び縦覧に供した換地計画に対する意見書の
内容を審査するときは、土地区画整理審議会の意見を聴かなければならない。」
【正解:○】 本問の記述の通りです。 個人施行者以外の土地区画整理事業の場合は、換地計画を定めようとするとき は、その換地計画を2週間公衆の縦覧に供しなければなりません。 縦覧に供されている換地計画に意見のある者は、 縦覧期間の満了の翌日から起算して2週間を経過する日までに 施行者に意見書を提出することができます。 |