法令上の制限 基礎編

建築基準法・道路規制の問題3 道路内と建築物

正解・解説


【正解】

× ×

都市計画法の改正により創設された準都市計画区域の区域内でも都市計画区域と同じ規制が適用されます。

次のそれぞれの記述は、建築基準法の規定によれば○か、×か。

1.「建築物は、地下に設けるものであっても、道路に突き出して建築してはならない。」

H6-22-2

【正解:×

◆地盤面下に設ける建築物

 建築物又は敷地を造成するための擁壁は、道路内に、又は道路に突き出して建築することはできません。

 しかし、地盤面下に設ける建築物については、例外として、道路内に建築することができます。(道路の地下のアーケード街などを思い浮かべてください) (法44条1項1号)

<参考>

 たとえば、前面道路の幅員が4m未満のとき、いわゆるセット・バックした

みなし道路(=私道)」である場合、その地盤面下であれば、災害時におい

て避難するにつき障害のおそれがないため、その土地の持主は所有権に基づき

建築することができます。

【類題】

 「地盤面下に設ける建築物については、道路内に建築することができる。」

 H12-24-4

【正解:

2.「公衆便所、巡査派出所その他これらに類する公益上必要な建築物で通行上

支障がないものについても、常に道路に突き出して建築してはならない。」H8-25-3

【正解:×

◆公益上必要な建築物、特定行政庁が建築審査会の同意を得て許可したもの

 建築物又は敷地を造成するための擁壁は、道路内に、又は道路に突き出して建築することはできません。

 しかし、公衆便所、巡査派出所その他これらに類する公益上必要な建築物で、

特定行政庁が通行上支障がないと認めて建築審査会の同意を得て許可したもの

については、道路に突き出して建築できます。

3.「横断歩道橋など公共用歩廊であっても、特定行政庁の許可なしに、道路

内または道路に突き出して建築・築造することはできない。」

【正解:

◆公共用歩廊

 このようなものであっても、特定行政庁の許可が必要です。

 公共用歩廊その他政令で定める建築物特定行政庁が安全上、防火上

及び衛生上他の建築物の利便を妨げ、その他周囲の環境を害するおそれがない

と認めて、あらかじめ、建築審査会の同意を得た上で許可しなければなりません。

<参照条文>

◆建築基準法第44条(道路内の建築制限)

 建築物又は敷地を造成するための擁壁は、道路内に、又は道路に突き出して

建築し、又は築造してはならない。ただし、次の各号の一に該当する建築物に

ついては、この限りでない。

 一  地盤面下に設ける建築物

 二  公衆便所、巡査派出所その他これらに類する公益上必要な建築物で特定行政庁が通行上支障がないと認めて建築審査会の同意を得て許可したもの

 三  地区計画の区域内の自動車のみの交通の用に供する道路又は特定高架道路等の上空又は路面下に設ける建築物のうち、当該地区計画の内容に適合し、かつ、政令で定める基準に適合するものであつて特定行政庁が安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めるもの

 四  公共用歩廊その他政令で定める建築物特定行政庁が安全上、防火上及び衛生上他の建築物の利便を妨げ、その他周囲の環境を害するおそれがないと認めて許可したもの

2  特定行政庁は、前項第四号の規定による許可をする場合においては、

あらかじめ、建築審査会の同意を得なければならない。

4.「都市計画区域及び準都市計画区域内においては、自動車のみの交通の用に

供する道路についても、原則として、道路内の建築制限が適用される。」(改・昭和59-22-4)

【正解:

◆道路内の建築制限

 自動車のみの交通の用に供する道路には、建築物の敷地に接道義務の規定はない(接道義務の対象外:43条1項)ですが、道路内の建築制限は適用されます。

 ただし、例外として、「地区計画の区域内の自動車のみの交通の用に供する道路又は特定高架道路等の上空又は路面下に設ける建築物のうち、当該地区計画の内容に適合し、かつ、政令で定める基準に適合するものであつて特定行政庁が安全上、防火上及び衛生上支障がないと認めるもの」の場合は、道路内の建築制限は適用されません。(44条1項3号)

▼条文の言葉の違い 道路 (43条1項と44条1項) 重要です!

 建築基準法で使われている道路には、二つの定義があります。42条1項の一般的な定義と、43条1項の局所的な定義(42条1項の定義での道路の一部)す。条文を読むときには、そのどちらを使っているのか見分ける必要があります。

 建築物の敷地は、道路(次に掲げるものを除く。次条第一項を除き、以下同じ。)に二メートル以上接しなければならない。

一  自動車のみの交通の用に供する道路

二  高架の道路その他の道路であつて自動車の沿道への出入りができない構造のものとして政令で定める基準に該当するもの(次条第一項において「特定高架道路等」という。)で、地区計画の区域(地区整備計画が定められている区域のうち都市計画法第12条の11 の規定により建築物その他の工作物の敷地として併せて利用すべき区域として定められている区域に限る。次条第一項において同じ。)内のもの

(43条1項)

 43条1項で言っている道路は、上の一・二を除いたものを「道路」と定義しています。
また、この定義は、44条1項を除いて、建築基準法のこれ以降の条文に出ている道路という言葉にも、原則としてあてはまると言っています。

 しかし、次条第一項を除き、とあることから、44条1項で言っている道路は、42条1項の道路の定義そのままであることを示しています。

 建築物又は敷地を造成するための擁壁は、道路内に、又は道路に突き出して建築し、又は築造してはならない。(44条1項)

 つまり、建築基準法での「道路」には、大きく分ければ二つあることになります。建築基準法の条文では、そのどちらの定義を使っているのか注意する必要があります。

42条1項の定義 44条1項でも使われている広義の道路

43条1項の定義 自動車のみの交通に供する道路や特定高架道路等を除いたもの


引き続き、道路規制の問題4を解く

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