法令上の制限 基礎編

建築制限に関する問題7

その他の法令による制限

(後出の諸法令による制限でも扱います)

正解・解説 


【正解】

5
× ×

次のそれぞれの記述は、○か、×か。

1.「集落地域整備法によれば、集落地区計画の区域(集落地区整備計画が定め

られている区域に限る。内において土地の区画形質の変更を行おうとする者は、

原則として市町村長に届け出なければならない。」

【正解 :

 土地の区画形質の変更

 建築物等の新築・改築・増築

 その他政令で定める行為

 当該行為に着手する30日前までに一定の事項を市町村長に届け出なければ

なりません。(集落地域整備法6条1項)

2.「都市緑地法によれば、特別緑地保全地区内において土地の形質の変更を

行おうとする者は、原則として都道府県知事等の許可を受けなければならない。」法改正

【正解 :

 特別緑地保全地区内においては、次に掲げる行為は知事等の許可を受けなければ

してはいけません。

・建築物のその他の工作物の新築・改築又は増築

宅地の造成,土地の開墾、土砂の採取、鉱物の掘採その他の土地の形質の変更

木竹の伐採

・水面の埋立て、又は干拓

・当該緑地の保全に影響を及ぼすおそれのある行為で政令で定めるもの

 (都市緑地法14条1項)

この政令で定めるものに、

・屋外における土石、廃棄物または再生資源の堆積平成13年の改正により追加

が追加されました。(都市緑地保全法・施行令2条)

●各制限の許可権者
生産緑地地区
(生産緑地法)
この区域は、都市計画で定める
(市街化区域内の一定の農地等に定める)
市町村長の許可
特別緑地保全地区
(都市緑地法)
この区域は、都市計画で定める
(都市計画区域内の一定の緑地に定める)
都道府県知事等の許可

●許可と届出の区別
緑地保全地域
(都市緑地法)
この区域は、都市計画で定める
(都市計画区域または準都市計画区域内
の一定の緑地に定める)
都道府県知事届出
特別緑地保全地区
(都市緑地法)
この区域は、都市計画で定める
(都市計画区域内の一定の緑地に定める)
都道府県知事等許可

≪参考問題≫

 生産緑地地区内において土地の形質の変更をしようとする者は、原則として、都道府県知事の許可を受けなければならない。

【正解 : ×

 × 都道府県知事→ ○ 市町村長

原則として市町村長の許可を受けるものとしては、(生産緑地法8条1項)

・建築物のその他の工作物の新築・改築又は増築

宅地の造成,土砂の採取その他の土地の形質の変更

水面の埋立て又は干拓

3.「風致地区内においては、地方公共団体の条例で、都市の風致を維持するため

必要な規制をすることができるが、規制の対象は建築物の建築に限られる。」

【正解 : ×】 

 風致地区内では、

建築物の建築宅地の造成木竹の伐採その他 (都市計画法58条1項)

について地方公共団体の条例で都市の風致を維持するため必要な規制をすることができます。

 これらの行為については,あらかじめ,10 ha以上で二以上の市町村の区域にわたる風致地区内では都道府県知事,それ以外の風致地区内では市町村長の許可が必要です。(風致地区内における建築等の規制に係る条例の制定に関する基準を定める政令3条1項)

4.「景観地区とは、市街地の良好な景観の形成を図るために必要なものとして、

都道府県の条例により建築物の形態意匠の制限・建築物の高さの最高限度又は

最低限度・壁面の位置の制限・建築物の敷地面積の最低限度を定めるものと

する。」

【正解:×

都道府県の条例ではなく、都市計画で定めます。(景観法61条)

<関連>

ア.風致地区自然美を維持)

  都市の風致を維持するために必要な内容について「地方公共団体の条例

  で“建築物の建築宅地の造成木竹の伐採・その他”に関する規制を定

  める。

イ.景観地区

  市町村は、都市計画区域又は準都市計画区域内の土地の区域については、

市街地の良好な景観の形成を図るため、都市計画に、景観地区を定めることができる。

(景観法61条)

 旧・美観地区 皇居周辺、大阪御堂筋、京都(御所周辺など)、伊勢神宮周辺

景観地区に関する都市計画には、都市計画法第八条第三項第一号(位置・区域)及び第三号に掲げる事項のほか、第一号に掲げる事項を定めるとともに、第二号から第四号までに掲げる事項のうち必要なものを定めるものとする。この場合において、これらに相当する事項が定められた景観計画に係る景観計画区域内においては、当該都市計画は、当該景観計画による良好な景観の形成に支障がないように定めるものとする。

 一 建築物の形態意匠の制限

 二 建築物の高さの最高限度又は最低限度

 三 壁面の位置の制限

 四 建築物の敷地面積の最低限度

 (建築物の形態意匠の制限)

第62条 景観地区内の建築物の形態意匠は、都市計画に定められた建築物の形態意匠の制限に適合するものでなければならない。ただし、政令で定める他の法令の規定により義務付けられた建築物又はその部分の形態意匠にあっては、この限りでない。

改正前に定められた美観地区改正後の景観地区とみなす。(景観法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律・附則・2条)

5.「大都市地域における住宅及び住宅地の供給の促進に関する特別措置法

によれば、土地区画整理促進区域内において建築物の新築をしようとする者は、

原則として都府県知事(市の区域内にあっては、当該市の長)の許可を

受けなければならない。」昭和59-28-3、H1-28-3

【正解 :

土地区画整理促進区域内

 土地の形質の変更

 建築物の新築・改築・増築

をしようとする者は、原則として都府県知事(市の区域内にあっては、当該市の長)の許可を受けなければなりません。(大都市地域における住宅及び住宅地の供給の促進に関する特別措置法・7条1項)

 これには、例外として、三つあります。

・通常の管理行為、軽易な行為その他の行為で政令で定めるもの

・非情災害のため緊急な応急措置として行う行為

・都市計画事業の施行として行う行為またはこれに準じる行為としての

 政令で定める行為

6.「都市再開発法によれば、市街地再開発促進区域内において、容易に移転または

除却することができる木造二階建ての地階を有しない建築物の建築をしようとする者は、

原則として都道府県知事(市の区域内にあっては、当該市の長)の許可を

受けなければならない。」昭和58-28-3改、類・昭和62

【正解:

◆市街地再開発促進区域(都市再開発法7条の4第1項)

 市街地再開発促進区域内においては、

 主要構造部が木造、鉄骨造、コンクリートブロック造その他これに類する構造物で

 階数が2以下で、かつ地階を有しない建築物で、

 用意に移転し、又は除却することができるもの

の建築をしようとする者は、国土交通省令で定めるところにより、都道府県知事(市の区域内にあっては、当該市の長)の許可を受けなければなりません。 

 ただし、非常災害のため必要な応急措置として行う行為またはその他の法令で定める軽易な行為については適用されません。

この規定は、第一種市街地再開発事業に関する都市計画の決定・変更に係る告示又は国の機関による都市計画事業の公告があった後は、当該告示又は公告に係る土地の区域内においては、適用しない。(都市再開発法7条の4第3項)


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