法令上の制限 基礎編
都市計画法(概容)に関する問題7
地区計画・1
正解・解説
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 | 5 |
× | ○ | ○ | × | ○ |
次のそれぞれの記述は、都市計画法の規定によれば○か、×か。 |
1.「地区計画は、一体としてそれぞれの区域の特性にふさわしい態様を備えた
良好な環境の各街区を整備・開発・保全する計画のため、用途地域が定められて
いる区域においてのみ定めるものであり、すべて市町村が定めることと
されている。」★(H8-19-3改)
【正解:×】 ◆地区計画の定義と適用区域
地区計画等は、都市計画区域の都市計画で必要なものを定めるとされています。 (都市計画法12条の4の第1項) 市街化調整区域や非線引き都市計画区域内の用途地域が定められていない区域であっても、下記の区域であれば地区計画を定めることができます。(都市計画法12条の5の第1項2号) ア.市街地開発事業等が行われる、または行われた土地の区域 イ.公共施設の整備の状況、土地利用の動向等からみて ウ.良好な住宅環境等が形成されている土地の区域 また、地区計画等に関する都市計画は、すべて市町村が定めることとされています。 <豆知識> “地区計画等”とは、既存の他の都市計画を前提に、まとまりをもった「地 区」をきめ細かく規制するミニ開発であり、以下の五つの計画のことをいいます。 (出題歴あり) (都市計画法12条の4の第1項) ア.地区計画 イ.防災街区整備地区計画 (密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律第32条第1項の規定) ウ.歴史的風致維持向上地区計画 (地域における歴史的風致の維持及び向上に関する法律第31条第1項の規定) エ.沿道地区計画(幹線道路の沿道の整備に関する法律第9条第1項の規定) オ.集落地区計画(集落地域整備法 第5条第1項の規定) ▼地区計画の都市計画は、平成11年3月31日現在では、全国658都市において2,740地区(77,550 ha)が指定されています。平成13年3月1日現在では、3,460地区。 |
地区計画を策定できる区域要件
【注意】 準都市計画区域では、地区計画は策定できません。 <参考> 都市計画法 12条の5 条文では、次のようになっていますが、マル暗記する必要はありません。 要点としては、用途地域が定められていない区域では 一定の区域要件を満たすものしか、地区計画等を策定できないということです。 ・用途地域が定められている区域は、どこでも策定OK ・用途地域が定められていない区域は、区域要件として以下のものがあります。 イ 住宅市街地の開発その他建築物若しくはその敷地の整備に関する事業が ロ 建築物の建築又はその敷地の造成が無秩序に行われ、 ハ 健全な住宅市街地における良好な居住環境その他優れた街区の環境が |
●ミニ改正法―地区計画等に対する住民参加手続の充実 |
都市計画法には、以下の規定があります。 第16条 2 都市計画に定める地区計画等の案は、意見の提出方法その他の政令で定める事項について条例で定めるところにより、その案に係る区域内の土地の所有者その他政令で定める利害関係を有する者の意見を求めて作成するものとする。 2001年5月18日施行の改正では、以下の項が追加されました。 3 市町村は、前項の条例において、住民又は利害関係人から地区計画等に関する都市計画の決定若しくは変更又は地区計画等の案の内容となるべき事項を申し出る方法を定めることができる。 |
●類題 |
1.「地区計画は、建築物の建築形態、公共施設その他の施設の配置等からみて、一体としてそれぞれの区域の特性にふさわしい態様を備えた良好な環境の各街区を整備し、開発し、及び保全するための計画である。」(H6-17-4)(H1-19-1) |
【正解:○】条文ソノママの出題です。都市計画法12条の5第1項 |
2.「地区計画については、当該地区計画の目標、当該地域の整備、開発及び保全に関する方針、地区整備計画 (地区施設及び建築物等の整備並びに土地の利用に関する計画) を都市計画に定めなければならない。」(昭和57-20-2改) |
【正解:○】ほぼ条文ソノママの出題です。都市計画法12条の5第2項 |
2.「地区計画は、当該地区の各街区における防災、安全、衛生等に関する機能が確保
され、かつ、その良好な環境の形成又は保持のためその区域の特性に応じて合理的な
土地利用が行われることを目処として定める。」(H3-18-3)
【正解:○】 ◆地区計画の都市計画基準 (都市計画法13条1項14号) 地区計画は、都市計画法12条の5第1項で定義され、どの区域に定めるか規定していますが、このほかに同法13条1項14号では都市計画基準として規定しています。 本設問は、条文の根幹となる部分が抜書きされています。 ▼都市計画法13条1項14号 地区計画は、公共設備の整備、建築物の建築その他の土地利用の現状及び将来の見通しを勘案し、当該地区の各街区における防災、安全、衛生等に関する機能が確保され、かつ、その良好な環境の形成又は保持のためその区域の特性に応じて合理的な土地利用が行われることを目処として、当該計画に従って秩序ある開発行為、建築又は施設の整備が行われることとなるように定めること。 |
3.「地区計画は、良好な環境の街区の整備等を図るための都市計画であるが、市街化
調整区域における相当規模の建築物又はその敷地の整備に関する事業が行われた
土地の区域についても行うことができる。」(H10-17-1)
【正解:○】 ◆用途地域のない区域での地区計画 (都市計画法12条の5の第1項2号) 「地区計画」は、いわば“小さな街づくり計画”。 用途地域が定められている区域(市街化区域、非線引き区域で用途地域が定められている区域)又は用途地域が定められていない区域の一部の地区だけを特に重視して、 ▼用途地域が定められていない区域は、区域要件として以下のものがあります。 イ 住宅市街地の開発その他建築物若しくはその敷地の整備に関する事業が ロ 建築物の建築又はその敷地の造成が無秩序に行われ、 ハ 健全な住宅市街地における良好な居住環境その他優れた街区の環境が
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●類題 |
1.「地区計画に関する都市計画は、市街化調整区域内においては定めることができない。」(昭和57-20-1) |
【正解:×】 |
2.「地区計画に関する都市計画は、市街化調整区域内の一定の区域においても定めることができる。」(H1-19-3) |
【正解:○】 |
4.「地区計画等とは、一定のまとまりのある地区を対象にその地区の実情にあった
きめ細かい規制等を行うことを内容とするもので、地区計画、住宅地高度利用地区
計画、再開発地区計画、防災街区整備地区計画、沿道整備計画及び集落地区計画
をいう。」(H7-18-4)
【正解:×】 ◆地区計画等は五つしかない 『地区計画等』という用語では、次の五つを指します。 地区計画、防災街区整備地区計画、歴史的風致維持向上地区計画、沿道整備計画及び集落地区計画 ▼本設問中の「住宅地高度利用地区計画、再開発地区計画」の二つは、平成14年7月の改正で廃止されました。 ▼建設省・都市局長通達(昭和56.10.6) 「地区計画制度は、それぞれの地区の特性に応じたきめ細かな街作りの手段として有効に機能することを意図して創設された制度」 地区計画制度は、昭和55年の法改正により創設されたものです。 |
5.「建築基準法では、地区整備計画が定められている区域内における建築物の制限
に関する事項を、地区整備計画の内容に基づいて市町村の条例で定めることができる。」
【正解:○】 ◆市町村の条例による建築物の制限 建築基準法では、地区整備計画等が定められている区域内における建築物の制限に関する事項を、地区整備計画の内容に基づいて市町村の条例で定めることができます。(建築基準法・68条の2・第1項) この建築物の制限は、「建築物の敷地、構造、建築設備又は用途に関する事項」とされており(建築基準法・68条の2・第1項)、建築物の利用上の必要性、当該区域内における土地利用の状況等を考慮し、適正な都市機能と健全な都市環境を確保するため、合理的に必要と認められる限度において、特に重要な事項につき、政令で定める基準に従い、定めるものとされています。(建築基準法・68条の2・第2項) |
●地区整備計画での容積率を用いた街作りの誘導 |
以下は、容積率を用いて、街作りを誘導していく例です。 ・区域の最終的な容積率と公共施設の整備状況に応じて段階的に変わる容積率の二つに数値を区分して容積率を定めることができる。(都市計画法・12条の6) ・地区整備計画の区域内では、区域を区分してブロックごとに容積率を変えることができる。(都市計画法・12条の7) ・住居と住居以外の用途とを適正に配分し、容積率も用途に応じて数値を区分して定めることができる。(都市計画法・12条の8) |