宅建過去問 法令上の制限
国土利用計画法の過去問アーカイブス 平成20年・問17 事後届出
国土利用計画法第23条に基づく都道府県知事への届出 (以下この問において 「事後届出」 という。) に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。 (平成20年・問17) |
1 宅地建物取引業者Aが所有する市街化区域内の1,500平方メートルの土地について、宅地建物取引業者Bが購入する契約を締結した場合、Bは、その契約を締結した日から起算して2週間以内に事後届出を行わなければならない。 |
2 甲市が所有する市街化調整区域内の12,000平方メートルの土地について、宅地建物取引業者Cが購入する契約を締結した場合、Cは、その契約を締結した日から起算して2週間以内に事後届出を行わなければならない。 |
3 個人Dが所有する市街化調整区域内の6,000平方メートルの土地について、宅地建物取引業者Eが購入する契約を締結した場合、Eは、その契約を締結した日から起算して2週間以内に事後届出を行わなければならない。 |
4 個人Fが所有する都市計画区域外の30,000平方メートルの土地について、その子Gが相続した場合、Gは、相続した日から起算して2週間以内に事後届出を行わなければならない。 |
<コメント> |
国土利用計画法では,届出の要不要の出題が頻出です。
事前・事後届出とも不要となるのは,以下の三つです。 1) 届出対象の面積規模に達していない ⇒ 肢1 |
●出題論点● |
(肢1) 市街化区域内での届出対象規模は2,000平方メートル以上。 (肢2) 取引の当事者の一方または双方が国・地方公共団体等の場合は,届出不要。 (肢3) 市街化調整区域内での届出対象規模は5,000平方メートル以上。 (肢4) 相続により土地を取得した場合は,届出不要。 |
【正解】3
1 | 2 | 3 | 4 |
× | × | ○ | × |
正答率 | 81.6% |
都市計画区域内 | 市街化区域 | 2,000平方メートル以上 |
市街化調整区域 非線引き都市計画区域 |
5,000平方メートル以上 | |
都市計画区域外 | 準都市計画区域 | 10,000平方メートル以上 〔1ha以上〕 |
両区域外 |
1 宅地建物取引業者Aが所有する市街化区域内の1,500平方メートルの土地について、宅地建物取引業者Bが購入する契約を締結した場合、Bは、その契約を締結した日から起算して2週間以内に事後届出を行わなければならない。 |
【正解:×】 ◆市街化区域内 市街化区域内での届出対象規模は2,000平方メートル以上です(国土利用計画法23条2項1号イ)が,本肢では1,500平方メートルなので,届出対象面積には達していないので,届出義務はありません(届け出る必要はない。以下同じ)。 |
2 甲市が所有する市街化調整区域内の12,000平方メートルの土地について、宅地建物取引業者Cが購入する契約を締結した場合、Cは、その契約を締結した日から起算して2週間以内に事後届出を行わなければならない。 |
【正解:×】平成10年・問16・肢3,平成15年・問16・問4,平成17年・問17・肢3, ◆当事者の一方または双方が国・地方公共団体のときは適用除外−届出不要 市街化調整区域内の届出対象規模は5,000平方メートル以上です(国土利用計画法23条2項ロ)が, 取引の当事者の一方または双方が国・地方公共団体等の場合は,取引規模に関係なく,届出義務はありません(国土利用計画法23条2項3号)。 したがって,本肢では甲市が売主なので,届出義務はありません。 |
●類題 |
「市町村が,市街化区域に所在する面積2,000平方メートルの土地を売買契約により取得した場合,当該土地の譲渡人が国又は地方公共団体である場合に限り,事後届出は不要である。」(不動産鑑定士・行政法規・平成18年) |
【正解:×】 当事者の一方または双方が国・地方公共団体等の場合は取引規模に関係なく,届出義務はありません(国土利用計画法23条2項3号)。 当事者の双方が国・地方公共団体等にのみ届出不要ということではないので,誤りです。 |
3 個人Dが所有する市街化調整区域内の6,000平方メートルの土地について、宅地建物取引業者Eが購入する契約を締結した場合、Eは、その契約を締結した日から起算して2週間以内に事後届出を行わなければならない。 |
【正解:○】 ◆市街化調整区域 市街化調整区域内の届出対象規模は5,000平方メートル以上です(国土利用計画法23条2項1号ロ)。本肢では6,000平方メートルなので,届出対象規模に該当し,契約を締結した日から起算して2週間以内に事後届出をしなければなりません。 |
4 個人Fが所有する都市計画区域外の30,000平方メートルの土地について、その子Gが相続した場合、Gは、相続した日から起算して2週間以内に事後届出を行わなければならない。 |
【正解:×】昭和62年・問18・肢2, ◆相続による権利の移転は届出対象外 都市計画区域外の届出対象規模は10,000平方メートル以上(1 ha以上)です(国土利用計画法23条2項1号ハ)。しかし,本肢では,その土地の取得が届出対象となる土地売買等の契約による取得であるかどうか,判断しなければなりません。土地売買等の契約による取得に該当しなければ届け出る必要はないからです。 相続〔法人の合併,遺産分割,遺贈,財産分与の場合も同じ。 〕により土地を取得した場合には,「対価性がないこと」,「契約により取得したものではないこと」により,土地売買等の契約による取得には該当しません(国土利用計画法14条1項)。 相続により土地を取得した場合には,事前届出・事後届出とも,面積規模に関係なく,届出対象とはならず,届け出る義務はありません。 |
●類題 |
「市街化調整区域に所在する面積8,000平方メートルの土地の所有権を相続により取得した場合,事後届出を要する。」(不動産鑑定士・行政法規・平成15年) |
【正解:×】 相続により土地を取得した場合は,届出が必要な土地売買等の契約による取引には該当しないので,届出不要。 |
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