Brush Up! 権利の変動篇
契約解除の過去問アーカイブス
解除の撤回・定期行為の解除・原状回復義務・約定解除 (昭和45年)
契約の解除に関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。(昭和45年) |
1.「いったんなした契約解除の意思表示は,これを取消すことはできない。」 |
2.「相手方の履行遅滞による解除は,特約がある場合でも,相手方に相当の期間を定めてその履行を催告した後でないとすることができない。」 |
3.「契約が解除された場合,当事者は,それぞれ相手方に対し原状回復義務を負うことになる。」 |
4.「契約の解除は,法律の規定により解除権を有する場合のほか,当事者間のとりきめにより解除権を有する場合にも,することができる。」 |
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
○ | × | ○ | ○ |
1.「いったんなした契約解除の意思表示は,これを取消すことはできない。」 |
【正解:○】 ◆解除の撤回は許されない 一度解除しておいて,さらにそれを取り消せるというのでは相手方の地位を不安定にさせ,また相手方の信頼が保護されないことになります。 相手方の承諾がなければ,解除の意思表示の取消はできません。(540条2項) |
2.「相手方の履行遅滞による解除は,特約がある場合でも,相手方に相当の期間を定めてその履行を催告した後でないとすることができない。」 |
【正解:×】 ◆定期行為の解除 相手方が履行遅滞になったときは,原則として,相手方に相当の期間を定めてその履行を催告し,その期間内に履行がないときに,契約を解除することができます。(541条) しかし,契約の性質や当事者の意思表示により一定の日時に履行されるべき場合では,当事者の一方が履行しないまま時期を経過したときは,催告をしなくても直ちに解除することができます。(542条)〔定期行為の解除権〕 履行の日時が当事者の特約で決まっている定期行為では,その日時に遅れて履行されても全く意味がなく,その上相当の期間を定めて催告しなければならないとしたのではさらにまた無意味なことになります。 したがって,本肢は「特約がある場合でも,〜その履行を催告した後でないとすることができない」としているので×です。 |
3.「契約が解除された場合,当事者は,それぞれ相手方に対し原状回復義務を負うことになる。」 |
【正解:○】 ◆原状回復義務 当事者の一方が解除権を行使したときは,各当事者はその相手方を原状に回復させる義務を負います。〔ただし,第三者の権利を害することはできない。〕(545条) 解除により契約はなかったことになるので,当事者は,契約がなかったのと同じ状態に戻さなければいけません。 |
4.「契約の解除は,法律の規定により解除権を有する場合のほか,当事者間のとりきめにより解除権を有する場合にも,することができる。」 |
【正解:○】 ◆約定解除 法律の規定〔法定解除権の行使〕のほかに,当事者間の契約によって解除事由を定めることは,『契約自由の原則』により認められています。〔約定解除〕(540条) 例 解約手付,買戻し特約など。 |