Brush Up! 権利の変動篇
契約解除に関する基本問題2
正解・解説
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
○ | × | × | × |
契約の解除について,民法の規定によれば,次の記述のうち正しいものはどれか。(昭和57年・問11) |
1.「契約の相手方が数人いる場合には,解除の意思表示は,その全員に対してしな
ければならない。」
【正解:○】 ◆解除権の不可分性 当事者の一方が数人いる場合は、特約がなければ、契約の解除はその全員から、また全員に対してのみ、なすことができます。(544条1項) これは、当事者によっては知らない間に契約関係が消滅していたということがないようにするため、また、法律関係を複雑にしないために、規定されたものです。 この場合、当事者の一人に解除権が消滅したときは、他の者についても消滅します。(544条2項)これは、できるだけ契約を存続させるためです。 ▼賃貸の目的物が複数の者の共有になっていて、賃貸人(共有者)から解除する場合は、解除権の行使は「共有物の管理行為」になり、共有持分の価格の過半数で決するため (252条)、賃貸人(共有者)全員から解除する必要はなく、544条1項の適用はありません。(最高裁・昭和39.2.25) |
2.「契約の解除がされたときは,当事者は相手方を原状回復させる義務を負うが,
あわせて損害賠償を請求されることはない。」
【正解:×】 ◆解除による原状回復+損害賠償 −解除権の行使と損害賠償請求 契約の解除がされたときは,当事者は相手方を原状回復させる義務を負いますが(545条1項)、解除権の行使とともにあわせて損害賠償の請求をすることもできます。(545条3項) 損害賠償はこの原状回復義務とは別のもので、原状回復だけでは償われないものの救済をするのが制度趣旨になっています。 |
3.「当事者の一方がその債務の履行を遅滞したときは,相手方は直ちに契約を解除
することができる。」
【正解:×】 ◆履行の催告+解除の意思表示 当事者の一方が履行期を過ぎても債務を履行しない場合は、履行遅滞になり、相手方は、相当の期間を定めて引き渡すべき旨を催告し,その期間内になお履行がなされないときは,契約を解除することができます。(541条) |
4.「契約の解除の意思表示がなされても,相手方が承諾しないときは,解除の効果は
直ちには生じない。」
【正解:×】 ◆解除の意思表示が相手方に到達すると直ちに解除の効果が生じる 解除権を持った者が解除の意思表示をして相手方に到達すると直ちにその効果が生じます。(540条) |