Brush Up! 権利の変動篇
正解・解説
担保責任に関する問題 隠れた瑕疵・担保責任免除の特約
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
× | ○ | × | × |
Aは,B所有の土地建物をBから買い受け,その際Bは「瑕疵担保責任を負わない」旨の特約を結んだ。しかし,その土地建物に隠れた瑕疵が存在して,契約をした目的を達することができなくなった。なお,Bは,その瑕疵の存在を知っていた。 この場合,次のそれぞれの記述は民法の規定によれば,○か×か。(平成4年・問5) |
1.「特約を結んだ以上,Aは,Bに対し,契約の解除をすることができない。」
【正解:×】 売主Bが瑕疵担保責任を負わない旨の特約を結んでも、Bがその事実を知っていて告げなかったとき、Bは責任を免れることができません。 また、その瑕疵のためAが契約の目的を達成できなかったとき、Aは“契約の解除”をすることができます(民法第570条により第566条の規定を準用)。 |
買主 | 損害賠償 | 解除 | 除斥期間 | |
隠れた瑕疵 | 善意無過失 | ○ | ○ | 知ったときから1年 |
悪意 | Φ | Φ | Φ |
2.「特約があっても,Aは,瑕疵の存在を知ったときから1年間は,Bに対し,契約の解除をすることができる。」 |
【正解:○】 “契約の解除”または“損害賠償の請求”は、引渡しから10年以内ならば、その瑕疵を「知ってから」1年以内は解除等ができます(第566条3項,最高裁・昭和13.11.27)。 |
〔判例要旨〕 平成13.11.27 買主の売主に対する『瑕疵担保による損害賠償請求権』は,売買契約に基づいて法律上生ずる金銭支払請求権であるから,消滅時効の規定の適用(167条1項)があり,この消滅時効は、買主が売買の目的物の引渡しを受けた時から進行する。 したがって,買主が引渡しより10年以上経過してから瑕疵に気がついても,損害賠償請求はできない。〔ただし,住宅品確法などで当事者間に10年を超える担保責任の定めがある場合を除く。〕 |
3.「特約があっても,Aは,瑕疵の存在を知ったときから2年間は,Bに対し,契約の解除をすることができる。」 |
【正解:×】 上の設問2と下の設問4に引っ掛けた問題。何とか落とし穴に入れようと血のにじむような出題者の工夫がしのばれますね。もっともきちんとわかっていればどうということはないのですが。 |
4.「特約があっても,Aは,土地建物の引渡しを受けたときから2年間は,Bに対し,契約の解除をすることができる。」 |
【正解:×】 宅地建物取引業法の規定によれば、このような特約をすることもできます(宅地建物取引業法・第40条)が、一番上の問題文が指示する「民法の規定によれば」、設問2の記述の通りとなりますので、ウッカリこれを“○” としないように気をつけましょう。 ちょっとイジワルな設問でした。 |