Brush Up! 権利の変動篇
担保責任の過去問アーカイブス
他人物(全部・一部)・数量不足・用益物権 昭和52年
売主Aと買主Bとの間に土地300平方メートルを1平方メートル当たり5万円として売買契約が成立した。売主の担保責任に関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。(昭和52年) |
1.「その土地がAのものではなくCのものであった場合で,Aがこれを取得してBに移転できなかったときは,Bは,善意悪意を問わず契約を解除することができる。」 |
2.「その土地の一部100平方メートルがAのものではなくCのものであった場合で,Aがこれを取得してBに移転できなかったときは,Bは,善意のときに限り代金の減額を請求することができる。」 |
3.「その土地を実測したところ200平方メートルしかなかった場合には,Bは,善意のときにかぎり代金の減額を請求することができる。」 |
4.「その土地にCが登記済の地上権を有していた場合でもBが善意でない限り,Aは,担保責任を負うことはない。」 |
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
○ | × | ○ | ○ |
1.「その土地がAのものではなくCのものであった場合で,Aがこれを取得してBに移転できなかったときは,Bは,善意悪意を問わず契約を解除することができる。」 |
【正解:○】 ◆他人物売買 他人物売買では,売主は,他人から取得して買主に移転する義務(560条)があり,売主が買主に移転できないときは,買主は善意悪意を問わず契約を解除することができ,善意であれば損害賠償請求をすることもできます。(561条) |
買主 | 解除 | 損害賠償 | 除斥期間 | |
全部他人物売買 | 善意 | ○ | ○ | なし |
悪意 | ○ | × | なし |
2.「その土地の一部100平方メートルがAのものではなくCのものであった場合で,Aがこれを取得してBに移転できなかったときは,Bは,善意のときに限り代金の減額を請求することができる。」 |
【正解:×】 ◆一部他人物 売買の目的の一部が他人に属しているため売主がこれを買主に移転することができないときは,買主は,善意・悪意にかかわらず,代金減額請求をすることができ,損害賠償も合わせて請求することができます。 残ったものでは買わなかったという事情があれば,善意の買主は,契約を解除し損害賠償を請求することができます。(563条) 本肢は,『善意のときに限り代金の減額を請求することができる』とあるので×です。 |
買主 | 代金減額 | 解除 | 損害賠償 | 除斥期間 | |
一部他人物売買 | 善意 | ○ | ○ | ○ | 知ったときから1年 |
悪意 | ○ | × | × | 契約時から1年 |
3.「その土地を実測したところ200平方メートルしかなかった場合には,Bは,善意のときにかぎり代金の減額を請求することができる。」 |
【正解:○】 ◆数量不足 売主が一定の数量を指示して売買したものが不足していた場合や目的物の一部が契約締結前に滅失していた場合は,買主が善意ならば,代金の減額を請求することができ,残ったものでは買わなかったという事情があれば,善意の買主は,契約を解除し損害賠償を請求することができます。(565条) |
買主 | 代金減額 | 解除 | 損害賠償 | 除斥期間 | |
数量不足・一部滅失 | 善意 | ○ | ○ | ○ | 知ったときから1年 |
悪意 | Φ | Φ | Φ | Φ |
4.「その土地にCが登記済の地上権を有していた場合でもBが善意でない限り,Aは,担保責任を負うことはない。」 |
【正解:○】 ◆買主が悪意のときには,売主が担保責任を負わなくてもよいもの 買主が善意でない限り,売主が担保責任を負わなくてもよいのは,次の三つです。 ・数量不足・一部滅失 ・用益権の付着 ・隠れた瑕疵〔ただし,善意無過失〕 |
買主 | 損害賠償 | 解除 | 除斥期間 | |
用益権などの設定 | 善意 | ○ | ○ | 知ったときから1年 |
悪意 | Φ | Φ | Φ |