Brush Up! 権利の変動篇  過去問のSummary

代金支払拒絶権の過去問セレクション


1.「売買の目的物について,第三者が権利を主張し,買主が目的物の権利の全部または一部を失うおそれがあるときは,特約のない限り,買主は,売主が相当の担保を提供した場合を除き,その危険の限度に応じて,代金の全部または一部の支払を拒否できる。」

2.「その土地に権利を主張する者がいて,買主が買い受けた土地の所有権の一部を失うおそれがあるときは,買主は,売主が相当の担保を提供しない限り,その危険の限度に応じて代金の一部の支払いを拒むことができる。」(平成元年・問4)

3.「は,から所有地を2,000万円で買い受けたが,当該土地には,に対する1,000万円の債権を担保するため,の抵当権が設定され,その登記もされていた。は,抵当権を抵当権消滅請求することができ,その手続きが終わるまで,に対し,代金の支払いを拒むことができる。」(平成2年・問6)

4.「その土地に抵当権の登記がなされている場合は,売主から代金の支払い又は供託の請求があっても,買主は,その登記が抹消されるまで請求に応じる義務はない。」(昭和63年・問10)

【正解】

×

■代金支払拒絶権

1.「売買の目的物について,第三者が権利を主張し,買主が目的物の権利の全部または一部を失うおそれがあるときは,特約のない限り,買主は,売主が相当の担保を提供した場合を除き,その危険の限度に応じて,代金の全部または一部の支払を拒否できる。」

【正解:

◆権利を失うおそれがあるときの代金支払拒絶権

 他人物の売買で主有権が移転できるかどうか不確定であったり〔まだ担保責任を問えない状態〕,用益権が付着しているときに,売主から代金の支払請求があっても買主が抗弁できる保護規定です。

売買の目的物について,第三者が権利を主張し,買主が目的物の権利の全部または一部をを失うおそれがあるとき  他人物売買〔全部〕(561条)一部他人物(563条)用益権などの設定(566条)

      『危険の限度』に応じの意味

      代金減額請求したいときはその減額を限度に

      損害があるときはその損害を限度に

      解除するときはその代金を限度に

2.「その土地に権利を主張する者がいて,買主が買い受けた土地の所有権の一部を失うおそれがあるときは,買主は,売主が相当の担保を提供しない限り,その危険の限度に応じて代金の一部の支払いを拒むことができる。」(平成元年・問4)

【正解:

◆代金支払い拒絶権が認められない場合

 (全部または一部の権利を失うおそれがあるとき)

 以下の場合は代金支払拒絶権が認められません。

・売主が相当の担保を提供した場合。

・売主から「供託せよ」と請求されたにもかかわらず,供託しなかったとき

3.「は,から所有地を2,000万円で買い受けたが,当該土地には,に対する1,000万円の債権を担保するため,の抵当権が設定され,その登記もされていたは,抵当権を抵当権消滅請求することができ,その手続きが終わるまで,に対し,代金の支払いを拒むことができる。」(平成2年・問6)

【正解:

◆抵当権が設定されているときの代金支払拒絶権

                  (債務者)
               /
 (債権者,抵当権者)
               \
                 (物上保証人,売主)(買主)

  抵当権の登記がなされている場合,買主は抵当権消滅請求の手続きが終わるまで代金の支払いを拒絶できます。これにより,買主は,抵当権消滅請求で出捐した金額を差し引いて代金を支払うことができるようになるからです。〔登記がされていないと行使できないことに注意。〕

 買受けた不動産に先取特権,質権,または抵当権の登記があるときは買主は抵当権消滅請求の手続きが終わるまでその代金の支払を拒むことができる

但し,売主は買主に対して遅滞なく抵当権消滅請求を為すべき旨を請求することができる。(577条)

 売主は,買主に対して代金の供託を請求することができる。(578条)

●類題

1.「買い受けた不動産について抵当権の登記があるときは、買主は、抵当権消滅請求の手続きを終わるまで、その代金の支払を拒絶することができる。」(昭和59-10-4)

【正解:

4.「その土地に抵当権の登記がなされている場合は,売主から代金の支払い又は供託の請求があっても,買主は,その登記が抹消されるまで請求に応じる義務はない。」(昭和63年・問10)

【正解:×

◆代金支払拒絶権が認められないとき

 抵当権者
  |
 (売主,抵当権設定者) ―― (買主)

 以下の場合は代金支払拒絶権が認められません。

・売主から「遅滞なく抵当権消滅請求をせよ」と請求されたにもかかわらず,抵当権消滅請求しなかったとき

・売主から「供託せよ」と請求されたにもかかわらず,供託しなかったとき

・売主と買主の間で,予め担保物権が設定されていることを考慮しその分を差し引いて代金を決めていたとき

 本肢では,『供託の請求があっても,は,その登記が抹消されるまで請求に応じる義務はない』とあるので×になります。

●類題

1.「売買の目的物である不動産に抵当権の登記がなされている場合,特約のない限り,買主は,売主から抵当権消滅請求の手続きを請求されたときは,遅滞なくその手続をしなければ,その代金の支払を拒否できない。」(行政書士・平成9年)

【正解:


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