Brush Up! 権利の変動篇

契約総合の過去問アーカイブス 期間の計算方法 昭和53年


平成15日午後30分に,は友人から3ヵ月の約束で,現金10万円を借りた。は,次のどの期限までに返還すればよいか。(昭和53年)

1.「平成15年10月4日午後1時30分まで」

2.「平成15年10月4日午後12時まで」

3.「平成15年10月5日午後1時30分まで」

4.「平成15年10月5日午後12時まで」

【正解】

× × ×

【正解:

◆期間の計算方法

 午前零時から始まらない場合の定理

 条件 日が 月末,月末の前日,1/29, でないとき

 日からヵ月 → 起算点  月(+1)日 午前零時

                 起算日に応答する日  ()月(+1)日

                期間の満了点 ()月日午後12時

 日が 月末,月末の前日,1/29,のときは,このやり方では期間の満了点が正確に求められないことがあるので,注意してください。

 時間の長さを期間といいます。期間の計算方法については,『法令,裁判上の命令又は法律行為に別段の定めがある場合を除いて』,民法139条〜143条の規定が適用されます。(138条)

●起算点 月(+1)日 午前零時

 期間の単位が日・週・月・年のときは,午前零時から始まらない限り,初日は不参入なので,本問題の日午後30分から3ヵ月を計算するには,7月6日午前零時が起算点になります。〔起算日は7月6日〕  

●期間の満了日

 応答日 ()月(+1)

 その週・月・年の始めの日の午前零時から起算しないときは,最後の週・月・年の起算日に応答する日の前日で満了します。

 したがって,起算日が7月6日ならば3ヵ月に応答する日は10月6日で存在するので,その前日の10月5日午後12時が,期間の満了点になります。

 応答日の有無  期間の満了時
 起算日に応答する日がある  応答日の前日の午後12時
 起算日に応答する日がない  その期間最後の月の末日の午後12時

応答日がないケースとは,起算日に応答する日が計算上で,例えば,2/29,2/30,2/31,4/31,6/31,9/31,11/31になってしまい存在しない場合です。

●期間の満了点を求めるフローチャート (□ヵ月の場合)
日…時…分からヵ月

  | (午前零時スタートならそのまま起算日になる。)
  ↓ 午前零時にスタートでなければ,起算日は日に+1日加算したものになる。

1) 起算日が求まった。+1日(午前零時スタートなら起算日は日。)

  ↓ +ヵ月

2) 応答日が求まった。+1日(午前零時スタートなら応答日は日。)

  その応答日は存在するか?  No ―――→期間はその月の末日の午後12時まで
  |YES
  ↓ 
 期間は,その応答日の前日の午後12時まで

※起算日と応答日を求めれば,上記で一応,期間満了時は出せますが,奥は深いです。

  過去に遡る場合にも類推適用されます。

  http://www.h3.dion.ne.jp/~sakatsu/period_topic.htm

■条文での考え方 (下の例のだけ見ておけば十分です。)

 日・週・月・年を単位とするとき → 暦法的計算法 (一月=30日等と計算しない。)

 時・分・秒が単位のとき → 自然的計算法

◆起算点

 時・分・秒が単位のとき  即時より計算  139条
 日・週・月・年を単位とするとき  1日の途中から  初日不算入  140条本文
 午前零時から  初日参入  140条但書

◆期間の満了点

日を単位  通常  期間の末日の午後12時  141条
 期間の末日が日曜・祝日で
 その日に取引しない慣習がある
 期間の末日の翌日午後12時  142条

週・月・年を単位  週・月・年の途中から  最後の週・月・年の応答日の前日の
 午後12時

 (最後の年・月に応答日がない時は
  その月の末日の午後12時)

 143条
 週・月・年の始めから

 〔初日の午前零時〜〕

 最後の週・月・年の末日の午後12時  143条

応答日がないケースとは,起算日に応答する日が計算上で2/29,2/30,4/31,6/31,9/31,11/31になってしまい存在しない場合です。

 応答日の有無  期間の満了時
 起算日に応答する日がある  応答日の前日の午後12時
 起算日に応答する日がない  その期間最後の月の末日の午後12時

(例)

・時・分・秒が単位 : 今から24時間後というときは,その瞬間からカウントします。

・日が単位 : 『7月5日午前9時から3日以内』(一日の途中で始まる)★初日不算入

          → 起算点は,7月6日午前零時,期間の満了点は7月8日午後12時

・日が単位 : 『7月5日午前零時から3日間』(午前零時から始まる)

          → 起算点は,7月5日午前零時,期間の満了点は7月7日午後12時

・週・月・年を単位 : 『7月5日午後1時30分から3ヵ月』★初日不算入

          → 起算点は,7月6日午前零時,期間の満了点は10月5日午後12時
            (応答日は10月6日)

・週・月・年を単位 : 『7月5日午前零時から3ヵ月』

          → 起算点は,7月5日午前零時,期間の満了点は10月4日午後12時
            (応答日は10月5日)

・週・月・年を単位 : 『7月1日午前零時から3ヵ月』

          → 起算点は,7月1日午前零時,期間の満了点は9月30日午後12時

・週・月・年を単位 : 『7月1日午前9時から3ヵ月』初日不算入

          → 起算点は,7月2日午前零時,期間の満了点は10月1日午後12時
            (応答日は10月2日)

・週・月・年を単位 : 『1月30日午前9時から1ヵ月』初日不算入

          → 起算点は,1月31日午前零時,期間の満了点は2月末日午後12時
            (応答日は2月31日になるが存在しない)

・週・月・年を単位 : 『1月29日午前9時から1ヵ月』初日不算入

          → 起算点は,1月30日午前零時,期間の満了点は2月末日午後12時
            (応答日は2月30日になるが存在しない)

・週・月・年を単位 : 『3月30日午前9時から1ヵ月』初日不算入

          → 起算点は,3月31日午前零時,期間の満了点は4月30日午後12時
            (応答日は4月31日になるが存在しない)

・週・月・年を単位 : 『3月31日午前9時から1ヵ月』初日不算入

          → 起算点は,4月1日午前零時,期間の満了点は4月30日午後12時
            (応答日は5月1日)

▼民法の例外

・年齢計算ニ関スル法律=年齢は出生の日より之を起算する。

 民法の期間計算とは異なり、初日を参入します。
 その結果、誕生日の前日の午後12時に1歳年齢が上がります。


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