Brush Up! 権利の変動篇
代理の過去問アーカイブス
未成年者の代理人・復代理人の選任・自己契約・代理権の消滅 (平成12年・問1)
Aが,Bに代理権を授与してA所有の土地を売却する場合に関する次の記述のうち,民法の規定及び判例によれば,正しいものはどれか。(平成12年・問1) |
1.「Bが未成年者であるとき,Bは,Aの代理人になることができない。」 |
2.「Bは,自己の責任により,自由に復代理人を選任することができる。」 |
3.「Bは,Aの同意がなければ,この土地の買主になることができない。」 |
4.「Bは,Aが死亡した後でも,Aの代理人としてこの土地を売却できる。」 |
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
× | × | ○ | × |
1.「Bが未成年者であるとき,Bは,Aの代理人になることができない。」 |
【正解:×】 ◆未成年の代理人 A (依頼者本人) 代理人は,意思能力さえあればよく,行為能力者でなくてもよいので(102条),代理権を授与するときに制限行為能力者であっても代理人にすることができます。(任意代理では,代理権授与のとき,代理人は能力者でなくてもよい。法定代理人では,行為能力が要求されることがある。833条,847条,867条など。) したがって,Aは,BをAの代理人にすることができます。 |
2.「Bは,自己の責任により,自由に復代理人を選任することができる。」 |
【正解:×】 ◆復代理人の選任−任意代理人 Bは,Aから代理権を授与された『任意代理人』なので,本人の許諾がある場合・やむを得ない事由がある場合を除き,原則として,復代理人を選任することはできません。 本肢は,『自己の責任により,自由に復代理人を選任することができる。』となっていますが,これは法定代理人の場合です。
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3.「Bは,Aの同意がなければ,この土地の買主になることができない。」(類・昭61,平3) |
【正解:○】 ◆自己契約 A(本人) 自己契約は原則として禁止されていますが,本人が事前に同意したり,本人から事後の追認があれば,本人に対して効果が生じます。 ▼自己契約や双方代理は,本人の利益が不当に害される恐れがあり,無権代理行為とされ,原則として禁止されています。(任意規定,108条) ただし,以下の場合は,有効な代理行為として,本人に効果が帰属します。
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4.「Bは,Aが死亡した後でも,Aの代理人としてこの土地を売却できる。」 |
【正解:×】 ◆代理権の消滅−本人の死亡 本人Aが死亡すると代理人Bの代理権は消滅するので,本人の死亡後に代理行為をすることはできません。(111条) 註 : 表中の×は,代理権が消滅しないことを意味します。
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