Brush Up! 権利の変動篇

代理の過去問アーカイブス 

復代理人 (昭和53年) 


複代理人について次の記述のうち,誤っているものはどれか。(昭和53年)

1.「未成年者の父母のような法定代理人は,いつでもその責任のもとに復代理人を選任できる。」

2.「委任契約等による任意代理人は,本人の許諾があるか,あるいは,やむをえない事情があるときでなければ復代理人を選任することができない。」

3.「復代理人は代理人により選任されるのであるから,代理人の代理権の範囲をこえる権限をもつことはできない。」

4.「復代理人は代理人の名のもとに行動し,直接本人とは代理関係に立たない。」

【正解】

×
1.「未成年者の父母のような法定代理人は,いつでもその責任のもとに復代理人を選任できる。」

【正解:

◆復代理人の選任−法定代理人

 法定代理人は,本人の許可や特別の理由がなくても,いつでもその責任のもとに自由に復代理人を選任できます。しかし,原則として,復代理人に過失があるときは法定代理人に過失がなくてもその責任を負います。(ただし,病気などでやむを得ない事由で選任したときは,復代理人の選任・監督についてのみ 責任を負います。)

●復代理人の選任
 法定代理人  法定代理人の責任で,自由に選任できる。(106条)
任意の代理人  原則として復任権はないが,以下のときは選任できる。(104条)

・本人の許諾があるとき

・やむを得ない事由があるとき。(急迫の事情があって代理行為が
できない・切迫していて本人に承諾を得る時間がない・本人の
所在が不明など)

2.「委任契約等による任意代理人は,本人の許諾があるか,あるいは,やむをえない事情があるときでなければ復代理人を選任することができない。」

【正解:

◆復代理人の選任−任意代理人

 委任等により代理権を授与された『任意代理人』は,本人の許諾がある場合・やむを得ない事由がある場合を除き原則として,復代理人を選任することはできません

●復代理人の選任
 法定代理人  法定代理人の責任で,自由に選任できる。(106条)
任意の代理人  原則として復任権はないが,以下のときは選任できる。(104条)

・本人の許諾があるとき

・やむを得ない事由があるとき。(急迫の事情があって代理行為が
できない・切迫していて本人に承諾を得る時間がない・本人の
所在が不明など)

3.「復代理人は代理人により選任されるのであるから,代理人の代理権の範囲をこえる権限をもつことはできない。」

【正解:

◆復代理人の代理権の範囲

 復代理人の代理権は,代理人の代理権を基礎に成立しているので,代理人の代理権の範囲をこえる権限をもつことはできません。

復代理人は,本人及び第三者に対して代理人と同一の権利義務を有す。(107条2項)

▼代理人の代理権または復代理人への授権が消滅すると復代理人の代理権も消滅します。 

復代理人が,代理人の代理権や復代理人への授権で定められた範囲を超えて代理行為をすると,無権代理になります

●参考問題
1.「復代理人が復代理人の権限を超えて代理行為をした場合であっても,それが代理人の代理権の範囲内の行為であれば,無権代理とはならない。」
【正解:×

 復代理人とは,代理人が,自らの名で選任して,その権限内の行為を行わせる『本人の代理人』です。

 復代理人が本人を代理できるのは,複代理人に授与された権限の範囲内においてのみです。

2.「復代理人が代理人の代理権の範囲を越えた場合,本人はそれを追認することができる。」(司法試験・択一・昭和51年)
【正解:

 復代理人が,その権限内の行為を超えて代理行為をすれば無権代理になりますが,本人は追認することでその無権代理行為を有効なものにすることができます。(116条)

●参考問題
 復代理人の代理権は,代理人の代理権が消滅しても消滅しない。(司法書士・平成4年・問2)
【正解:×

 代理人の代理権または復代理人への授権が消滅すると復代理人の代理権も消滅します。 

4.「復代理人は代理人の名のもとに行動し,直接本人とは代理関係に立たない。」

【正解:×

◆復代理人と本人との関係

 復代理人は本人の代理人です。復代理人は本人の名で代理行為を行い,その効果は全て本人に帰属します。(107条1項)

 復代理人は,代理人同様,本人に対して直接に義務を負います。(107条2項)

●参考問題
 復代理人は,代理人を代理するものであって,本人を代理するものではない。(司法書士・平成5年・問13)
【正解:×

 復代理人は,本人の代理人となります。復代理人は本人の名で代理行為を行い,その効果は全て本人に帰属します。 (107条1項)


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