Brush Up! 権利の変動篇

代理の過去問アーカイブス 

復代理人・復代理人の選任・権限の定めのない代理人 (昭和59年・問4) 


代理に関する次の記述のうち,民法の規定によれば,誤っているものはどれか。(昭和59年・問4)

1.「復代理人は,代理人を代理するのではなく,直接に本人を代理する。」

2.「法定代理人は,本人の許可や特別の許可がなくても,自らの責任をもって復代理人を選任することができる。」

3.「代理人は,復代理人を選任しても自らの代理権を失わない。」

4.「権限の定めのない代理人は,保存行為しか行うことができない。」

【正解】

×

1.「復代理人は,代理人を代理するのではなく,直接に本人を代理する。」

【正解:

◆復代理人と本人との関係

 復代理人は本人の代理人です。復代理人は本人の名で代理行為を行い,その効果は全て本人に帰属します。(107条1項)

 復代理人は,代理人同様,本人に対して直接に義務を負います。(107条2項)

2.「法定代理人は,本人の許可や特別の許可がなくても,自らの責任をもって復代理人を選任することができる。」

【正解:

◆復代理人の選任−法定代理人

 法定代理人は,本人の許可や特別の理由がなくても,いつでもその責任のもとに自由に復代理人を選任できます。しかし,原則として,復代理人に過失があるときは法定代理人に過失がなくてもその責任を負います。(ただし,病気などでやむを得ない事由で選任したときは,復代理人の選任・監督についてのみ責任を負います。)

●復代理人の選任
 法定代理人  法定代理人の責任で,自由に選任できる。(106条)
任意の代理人  原則として復任権はないが,以下のときは選任できる。(104条)

・本人の許諾があるとき

・やむを得ない事由があるとき。(急迫の事情があって代理行為が
できない・切迫していて本人に承諾を得る時間がない・本人の
所在が不明など)

3.「代理人は,復代理人を選任しても自らの代理権を失わない。」

【正解:

◆復代理人選任後の代理人

 復代理人の代理権は,代理人の代理権を基礎に成立しているので,代理人が復代理人を選任しても,代理人は代理権を失いません。(大審院・大正10.12.6)

代理人の代理権または復代理人への授権が消滅すると復代理人の代理権も消滅します。

4.「権限の定めのない代理人は,保存行為しか行うことができない。」(類・昭和63)

【正解:×

◆代理権の範囲−権限の定めのない代理人

 代理人は,任意代理で代理権の範囲が明らかでない場合や,法定代理で法律に代理権の範囲が定められていないときは,代理人の管理の対象になっている財産の現状を保存すること(修繕,し現状を変更しない範囲で利用・改良することができます。(103条)

 したがって,『保存行為しか行うことができない』となっているので,×になります。

●権限の定めのない時の代理権の範囲
 保存行為  財産の現状を維持する行為。(103条1項)
 利用行為  目的物または権利の性質を変えない範囲で
 それを利用して収益を図る行為。(103条2項)
 改良行為  目的物または権利の性質を変えない範囲で
 使用価値または交換価値を高める行為。(103条2項)

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