Brush Up! 権利の変動編
正解・解説
代理に関する基本問題1
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
× | × | × | × |
1.「能力者でなければ,代理人となることができない。」
【正解:×】 ◆代理権授与のときに行為能力者でなくてもよい 代理人の行為はすべて本人に及ぶので、代理人の保護の必要はまったくなく、また本人もそれを承知で代理人にする以上、制限行為能力者でも代理人になることができます。 ただし、能力者を代理人にした後に、その代理人が後見開始の審判を受けたときは、本人の保護のため代理権は消滅することにご注意ください。つまり、この場合は、行為能力者であることを前提に任命したわけですから。 |
2.「権限の定められていない代理人の権限は,保存行為と利用行為に限られる。」
【正解:×】 ◆代理権の定められていない代理人の範囲 代理の目的物の性質を変えない範囲で、改良行為もできます。 ●代理権の範囲−権限の定めのない代理人 代理人は,任意代理で代理権の範囲が明らかでない場合や,法定代理で法律に代理権の範囲が定められていないときは,代理人の管理の対象になっている財産の現状を保存すること(修繕),現状を変更しない範囲で利用・改良することができます。(103条)
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3.「委任による代理人は,本人の許諾がなければ,復代理人を選任することができない。」
【正解:×】 ◆復代理人の選任−任意代理人 委任による代理人は、本人の許諾がなくても、病気等の「やむをえないとき」は、復代理人を選任することができます。(民法104条) 「本人の許諾」を得た場合と、または急迫の事情があってみずから代理行為ができず、本人の許諾を得る間もない場合に限り、復代理人を選任できる。
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●関連問題 |
法定代理人は,復代理人を選任することができない。(司法書士・昭和54年・問13・肢1) |
【正解:×】上の表参照。 |
4.「復代理人は,その権限内の行為につき代理人を代理する。」
【正解:×】 ◆復代理人 復代理人は、代理人の代理人ではなく、あくまでも「本人の代理人」です。 復代理人は本人の名で代理行為を行い,その効果は全て本人に帰属します。(107条1項) 復代理人は,代理人同様,本人に対して直接に義務を負います。(107条2項)
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●関連問題 |
復代理人は,代理行為をするに当たっては,本人のためにすることを示すほか,自己を選任した代理人の名を示すことを要する。(司法書士・昭和61年・問8・肢5) |
【正解:×】復代理人は代理人の代理人ではなく,本人の代理人です。復代理人が代理行為をする際には,『本人のためにすることを示せばよい』ので,『選任した代理人の名を示さなければいけない』ということはありません。
〔類〕復代理人が代理行為をするにあたっては,代理人のためにすることを示さなければ,代理行為としての効力を生じない。(司法書士・平成4年・問2・イ)【正解:×】 |
●復代理人の代理権の範囲
復代理人の代理権は,代理人の代理権を基礎に成立しているので,代理人の代理権の範囲をこえる権限をもつことはできません。 ▼代理人の代理権または復代理人への授権が消滅すると復代理人の代理権も消滅します。 ▼復代理人が,復代理人への授権で定められた範囲を超えて代理行為をすると,無権代理になります。 |
●関連問題 |
Aは,Bの任意代理人であるが,Bから受任した事務をCを利用して履行しようとしている。Aがやむを得ない事情によりBの許諾を得ることなくCを復代理人として選任した場合は,Cの復代理人としての権限は,保存行為又は代理の目的たる権利の性質を変更しない範囲における利用若しくは改良行為に限られる。(司法書士・平成14年・問13・肢4) |
【正解:×】
1) 復代理人の代理権の範囲は,選任する際に『代理人の代理権の範囲をこえない範囲で』定められます。 2) 本肢に出てくる『保存行為又は代理の目的たる権利の性質を変更しない範囲における利用若しくは改良行為』とは,権限の定めのない代理人が行うことができるものです。 1),2)により,『復代理人の代理権の範囲は,権限の定めのない代理人の範囲に限られる』とは言えないので,×になります。 |