Brush Up! 権利の変動篇 過去問のSummary
未出の論点 代理権の濫用−問題を解く視点とKEY
代理権の濫用の問題を解くポイントを整理してみましょう。 |
宅建試験では,毎年のように,これまで未出題だった問題が出題されています。ただ,全く予測がつかないわけではなく,本邦初出題というのはマレで,宅建の過去問と連接していてすでにほかの試験で出題されているケースが大半です。したがって,今年出題されるかどうかはわかりませんが,ほかの試験でも頻出の代理権の濫用について,今回はスポット的に見ていくことにします。 |
●参考問題 | ||||
Aの代理人Bが自己の利益を図るために権限内の行為をした場合において,相手方CがBの意図を知ることができたときは,Aは,Cに対してBの行為について無効の主張をすることができる。 | ||||
【正解:○】
A (本人) 判例では,代理人Bが私利を図るため,またはAでもCでもない第三者の利益を図るために,権限内の行為をして代理権を濫用したときは,相手方Cが代理人Bの意図を知っていたか〔悪意〕,または,知ることができた場合〔有過失〕に限り,本人Aは,代理人Bの行為について無効を主張することができるとしました。(最高裁・昭和42.4.20,93条但書の類推適用)
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●93条但書の類推適用とは?−心裡留保の復習 |
A (本人) | B (代理人)− C (相手方) └Bは,私利を図るため,権限内の行為をした。 この場合,Bの代理行為には,B自身の利益のためにする意思と本人Aのためにする旨の表示との不一致があり,心裡留保〔内心の真意≠表示〕に類似しています。 心裡留保では,相手方が表意者の真意を知っていた〔悪意〕,または,知ることができた〔有過失〕場合には,その意思表示は無効となっているので(93条但書),判例では,これを代理権の濫用に類推適用しました。 ┌相手方が表意者の真意について悪意or有過失 → その意思表示は無効 |