Brush Up! 権利の変動編
債務不履行の基礎知識1 遅滞責任の発生時
正解・解説
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
× | ○ | × | ○ |
履行遅滞に基づく債務不履行責任が発生するためには、履行期を徒過したことが必要であるが、この履行期に関する次の記述は民法の規定および判例によれば、○か×か。 |
1.「確定期限のある債務は、期限が到来したことを債務者が知った時が履行期となる。」
【正解:×】 ◆確定期限のある債務
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2.「不確定期限のある債務は、期限が到来したことを債務者が知った時が履行期となる。」
【正解:○】 ◆不確定期限のある債務
▼期限の到来した事実が発生した後に、債務者がそのことを知らなくても、債権者が催告したときは、催告の時から履行遅滞になります。(通説) |
●参考問題 |
債務の履行期が不確定期限の場合,債権者の催告がなければ,遅滞とはならない。 |
【正解:×】
不確定期限の場合は、債務者が期限の到来を知ったときから遅滞となります。したがって、債権者の催告がなくても、債務者が期限の到来を知った時点で遅滞になります。(民法412条2項) |
3.「期限の定めのない債務は、原則として、債務が成立すると同時に履行遅滞となる。」
【正解:×】 ◆期限の定めのない債務
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4.「不法行為に基づく損害賠償義務は、不法行為の成立と同時に履行遅滞となる。」
(類・H4-9-2)
【正解:○】 ◆不法行為の損害賠償の履行遅滞の起点は、不法行為成立時 不法行為に基づく損害賠償債務は、判例によれば、被害者救済の観点から、被害者からの催告を待つまでもなく、不法行為による“損害の発生と同時”に、履行の遅滞となります。 <参考> 不法行為による損害賠償請求権は、被害者(または法定代理人)がその事実(損害及び加害者)を ア.“知ったとき”から「3年後」に時効消滅する。 イ.知らなかった場合でも“不法行為のとき”より「20年経過」で消滅する。(除斥期間)(724条) |
履行期 (遅滞責任の発生時) | 消滅時効の起算点 | |
確定期限 | 期限が到来した時 | 期限が到来した時 |
不確定期限 | 期限が到来し、かつ
債務者がそのことを知ったとき |
期限が到来した時 |
期限の定めなし | 原則として、
履行の請求を受けたとき |
債権が発生した時 |
■遅滞責任の発生時と消滅時効の起算点が一致していないのは、制度趣旨が異なるため。 履行期−債務者に履行遅滞の責任を負わせるのはいつから可能か 消滅時効の起算点−債権者の債権の行使はいつから可能か |