Brush Up! 権利の変動編
債務不履行の基礎知識2 債務不履行
正解・解説
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
× | × | × | ○ |
債務不履行に関する次の記述は民法の規定および判例によれば、○か×か。 |
1.「債務者が同時履行の抗弁権を理由に履行期を経過した場合であっても,債務
不履行になる。」*
【正解:×】 ◆同時履行の抗弁権がある場合は履行遅滞にはならない 債務者に留置権や同時履行の抗弁権があると、履行期を経過しても履行遅滞の責任は生じません。 |
2.「履行期に履行しなかったことが不可抗力によるもので債務者に帰責事由が
なかった場合,常に履行遅滞とはならない。」*
【正解:×】 ◆金銭債務では不可抗力であっても履行遅滞になる 金銭債務の不履行では、債務者は不可抗力でも抗弁することはできないとされていて、金銭債務では不可抗力であっても免責されません。(419条2項後段) したがって、「常に履行遅滞とはならない」となっているので×になります。 |
3.「債務不履行となるためには,債務者の責に帰すべき事由がなければならない
のが原則であるが,ここに責に帰すべき事由とは,債務者自身の故意・過失をいい,
債務者の履行補助者の故意・過失は含まれない。」*
【正解:×】 ◆履行補助者の故意・過失も債務者の帰責事由になる 債務者の責に帰すべき事由とは、債務者自身の故意・過失だけでなく、債務者の履行補助者の故意・過失も含まれます。(大審院・昭和4.3.30) 履行補助者とは、債務者が債務の履行のために使用する者をいい、判例では、たとえ履行補助者の選任及び監督について、債務者に、故意または過失がなかったとしても、債務者は、履行補助者の故意・過失について一切の責任を負うとされています。 |
4.「債務者が履行遅滞にあるとき,債権者は,契約を解除しないで,契約の履行を
請求するとともに,遅延のため損害が発生していれば,損害賠償を請求することが
できる。」(関連・平成14年・問8・肢1)
【正解:○】 ◆履行遅滞による債権の内容の拡大 債務者が履行遅滞にある場合、債権者は、契約による履行を請求するとともに、遅延のため発生した損害の賠償を、債務者に請求できます。債務の履行(本来の給付)とともに、履行遅滞に起因する損害の賠償を行わなければ、債務の本旨に従った履行の提供をしたことにはならず、履行遅滞によって、債権の内容が拡大しています。
▼債務者が履行遅滞にある場合、債権者は、債務者に対して、次の二つのうち、
どちらも選択できます。(どちらでも損害賠償請求をすることも可能) |
●履行遅滞と言える要件 |
・履行期が到来していること。
・債務者が弁済していないこと。〔正確には,弁済の提供をしていないこと。〕 ・債務者に同時履行の抗弁権がないこと。 |