Brush Up! 権利の変動編
債務不履行 履行遅滞
正解・解説
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
× | ○ | ○ | ○ |
AはBに建物を売却する契約を締結した。この場合の民法の規定に基づく履行遅滞に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。(昭和62年・問6) |
1.「契約締結時にBはAに対し手附金を交付した。しかし、当該建物は契約締結日
の前日にAの帰すべからざる事由により滅失していたことが判明した。この場合、
Aは受領した手附金の返還義務に関し、BがAに対し手附金の交付をした時から
遅滞の責任を負う。」
【正解:×】 ◆原始的不能 目的物の滅失 契約締結 ――――●――――――●――――→
原始的不能により、当該契約は無効となり、AがBから得た手附金は法律上の原因なく給付を受けたことになるので不当利得になります。Bには不当利得返還請求権が認められ、Aは不当利得返還義務を負います。 この返還義務の履行遅滞責任の発生時は、A(受益者)の善意・悪意によって異なります。本設問では、Aの善意・悪意のどちらかハッキリしませんが、Aが善意なら、不当利得返還請求の時からになります。Aが悪意ならば、受益のとき、つまり手附金を受領した時からになります。 本設問では、Aの善意・悪意は明示されていないのに、「Aは受領した手附金の返還義務に関し、BがAに対し手附金の交付をした時から遅滞の責任を負う」と言い切っているので×になります。 |
●参考問題 |
善意の不当利得者の返還義務は、催告により遅滞を生じる。(司法試験昭和48年・問51) |
【正解:○】
別段の定めのない限り、不当利得を返還する債務のような、法律の規定から生じる債務は「期限の定めのない債務」として成立し、履行の催告のときから履行遅滞になります。 ◇昭和62年・問6・肢1は、昭和51年の原始的不能の問題をベースに、この司法試験択一の問題を加えて合成するとできあがります。 |
2.「昭和62年10月1日に、BはAに対し代金全額を支払った。当該建物の引渡し期日
が昭和62年10月18日と定められている場合は、Aはその期限の到来した時から遅滞
の責任を負う。」
【正解:○】 ◆確定期限 412条1項
|
3.「Aの父の死亡後三ヵ月後に当該建物を引き渡す旨定めた場合は、AはAの父の死亡
した日から3ヵ月を経過したことを知った時から遅滞の責任を負う。」
【正解:○】 ◆不確定期限 412条2項 Aの父の死亡後三ヵ月後に当該建物を引き渡す → 期限はAの父の死亡後三ヵ月以内 → 履行遅滞は、その期限が到来したことをAが知ったときから
|
4.「当該建物の引渡し期日につき特段の定めをしなかった場合は、Aは、BがAに対し
引渡しの請求をした時から遅滞の責任を負う。」
【正解:○】 ◆期限の定めなし 412条3項
|