Brush Up! 権利の変動篇

正解・解説

遺言に関する問題2 平成6年・問13


【正解】

× × ×

次のそれぞれの記述は、民法の規定及び判例によれば○か、×か。(平成6年・問13)

1.「遺言に停止条件が付けられた場合、その条件が遺言者の死亡後に成就しても、遺言

の効力は生じない。」

【正解:×

 停止条件が、たとえ遺言者の死亡後に成就したものであっても、特段の事情がない限り、遺言者の法律行為(遺言)の効果意思に影響を与えるとは考えられず、その遺言者の死亡の時期に関係なく、その停止条件が成就したときより、その効力を生じます(第985条2項)。

2.「遺言は、家庭裁判所の検認の手続を経なければ、効力を生じない。」

【正解:×やや難

遺言の効力は、「遺言者の死亡のとき」から、その効力を生じます(第985条)

 判例によれば、「検認(第1004条)は、遺言の方式に関する一切の事実を調査して、遺言書の状態を確定してその現状を明確にするものであって、遺言書の実態上の効果を判断するものではない」とされています。

<参考>〔民法第1004条〕

[1]ある人Aの遺言書を保管している者は、Aが死亡したことを知った後、すみやかに、これを家庭裁判所に提出してその検認(検査)を受けておかなければならない。遺言書を保管している者がいない場合に、相続人が遺言書を発見した後も、また同様に検認を受けておかなければならない。

[2]公正証書による遺言の場合には、右の検認を受けなくてもよい

[3]封印のある遺言書は、家庭裁判所で相続人かその代理人が立ち会った上でなければ、これを開封することができない。 

3.「遺言の証人には、遺言者の長女の夫もなることもできる。」

【正解:×

 遺言の“証人”または“立会人”になることができない者は、相続人等の利害関係人保護の観点から、

未成年者

推定相続人(相続権のある者)及びその配偶者並びにその直系親族

・遺言を公正証書によって作成する公証人の親族その書記 等

とされており、遺言者の長女は「推定相続人」であり、その配偶者も遺言の証人にはなれません(第974条)。

4.「Aが公正証書で土地をBに遺贈すると遺言した場合であっても、後に自筆証書でこれ

をCに遺贈すると遺言したときは、Bは、Aが死亡しても、当該土地の所有権を取得しない。」

【正解:

 前の遺言と後の遺言と抵触(バッティング)するときは、その“抵触する部分”については後の遺言で前の遺言を撤回したものとみなされます(第1023条1項)。

 また、遺言の方式にかなっていれば(第967項)、公正証書によるか自筆証書(他に「秘密証書」と「特別の方式」があり)によるかなどその遺言の方式にも関係ないため、したがってこの場合は、後の自筆証書でなされたCが取得します。


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