Brush Up! 権利の変動篇
正解・解説
遺言に関する問題3
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
○ | × | ○ | ○ |
被相続人A,相続人B及びC(いずれもAの子)として,Aが遺言をし,又はしようとする場合に関する次の記述のうち,民法の規定及び判例によれば,誤っているものはどれか。(平成12年・問10) |
1.「Aは,遺言をもって,第三者Dに遺言執行者の指定を委託することができる。」
【正解:○】 ◆遺言執行者の指定 遺言者は,遺言で1人又は数人の遺言執行者を指定し、またその指定を第三者に委託することができます。(1006条) |
2.「Aは,『Aの財産をすべてBに遣贈する。CはBに対して遺留分の減殺請求をして
はならない』旨の遺言をして,CをAの相続から排除することができる。」
【正解:×】 ◆遺留分の減殺請求の否定はできない 遺留分減殺請求権は、相続人の利益のための固有の権利です。(1031条)遺留分減殺請求権を否定する遺言をしても、その効力は生じません。 ▼問題文中の『排除』に「アレ?"廃除"じゃないの?」と思った人がいるかもしれません。試験中、試験後も、訂正は伝えられていないので誤植ではありません。なぜならば、遺言で廃除の意思表示をすることもできるので,"廃除"と思ってしまうとかえって混乱します。素直に「排除」としておきましょう。 → 平成7年・問11・肢1で「相続人Cに財産を相続させることに反対している相続人Dを,遺言で,相続人から廃除できるか」問う問題が出ていますが、これと対比させてみるとよくわかります。 |
●参考問題 | ||||
遺留分を侵害した遺言は,すべて無効である。(昭和63-8-3、関連・平成2-11-2) | ||||
【正解:×】
被相続人は,遺留分を侵害する遺言はできない(902条1項)が,遺留分を保全するに必要な限度で減殺請求の対象になるだけ(1031条)であって,遺留分を侵害した遺言のすべてが当然に無効になるわけではありません。(最高裁・昭和37.5.29) ▼遺留分の減殺請求権は、相続の開始及び減殺すべき贈与又は遺贈があったことを知った時から1年間行使しないと、時効によって消滅します。相続の開始から10年経過したときも消滅します。(1042条) ▼被相続人の兄弟姉妹には,遺留分が認められていないこともチェックしておきましょう。(1028条)→ 平成4年出題 ▼遺留分
▼相続欠格・廃除・相続放棄によって相続権を失った者は,遺留分の権利も失う。 |
3.「Aが,『Aの甲土地をBに相続させる』旨の遺言をした場合で,その後甲土地を
第三者Eに売却し,登記を移転したとき,その遺言は撤回したものとみなされる。」
【正解:○】 ◆遺言の撤回
遺言者は、いつでも遺言の方式に従って、遺言の全部又は一部を撤回することができます。(1022条) → 前の遺言と後の遺言で抵触するものがあるときは、抵触する部分については、後の遺言で前の遺言を撤回したものとみなします。(1023条1項) → 遺言をした後に、遺言と抵触する生前処分その他の法律行為をすると、抵触する部分についてはその行為をもって遺言を撤回したものとみなします。(1023条2項) → 遺言をした後に、故意に遺言書を破棄したときは、破棄した部分については遺言を撤回したものとみなします。(1024条) ▼対比しましょう 受遺者=遺贈の承認及び放棄は、原則として撤回することができません。(989条) |
4.「Aは,『Aの乙建物をCに相続させる』旨の遺言をした場合で,Bの遺留分を害し
ないとき,これをC単独の所有に帰属させることができる。」
【正解:○】 ◆遺留分を侵害しない遺言は効力がある 遺留分を侵害しない限り、遺言どおりの効力が認められ、Cは遺言により建物を単独相続することができます。 |