Brush Up! 権利の変動篇

正解・解説

遺言に関する問題5


【正解】

×

相続に関する次の記述のうち,誤りはどれか。(昭和54年・問3)

1.「胎児は,受遺者となることができる。」

【正解:

◆胎児

 胎児は、相続と受遺者について、すでに生まれたものとみなします(886条1項)。したがって、相続権を持つことや受遺者となることが認められています。

胎児が死体で生まれてきたときには適用されません。(886条2項)

●参考問題
父親は,胎児を受遺者としてその財産を遺贈することができる。(司法試験・平成9年・問31)
【正解:

2.「被保佐人は,保佐人の同意を得ずに遺言することができる。」(類・昭和49年)

【正解:

制限行為能力者の遺言

 遺言者は、遺言をするときに遺言能力を有しなければなりません。(963条)
遺言能力は、行為能力とは別のもので、意思能力を必要とします

1) 満15才に達した者は遺言をすることができます。(961条)
  → 満15才未満の者の遺言は無効。

2) 遺言には、制限行為能力者制度の適用がありません。(962条) 
→ 5条(未成年)、9条(成年被後見人)、13条(被保佐人),17条(被補助人)は,遺言には適用しない。つまり,制限能力者が遺言をするのに保護者の同意は不要です。

 したがって、本肢の被保佐人も遺言をすることができます。

●参考問題
1.「成年被後見人が遺言をする場合,成年後見人の同意を必要とする。」
【正解:×

 制限行為能力者が遺言をするのに保護者の同意は不要です。

 成年被後見人であっても、遺言婚姻・協議上の離婚、養子縁組・協議上の離縁、は意思能力さえあれば、単独ですることができます

 成年被後見人は、事理を弁識する能力を一時回復したとき2人以上の医師の立会いのもとに単独で遺言することができます。(973条)2人以上の医師の立会いを必要とするのは、「事理を弁識する能力を一時回復した」ことを証明するためで、事理を弁識する能力を一時回復していたとしても、2人以上の医師の立会いがなく作成された遺書は無効になるとされています。(通説)

 したがって、「成年被後見人が遺言をする場合,成年後見人の同意を必要とする」とは言えません。

成年被後見人の遺言

 事理を弁識する能力を回復していない (意思能力がない)  遺言は無効 
 事理を弁識する能力を一時回復  +2人以上の医師の立会いがない
 事理を弁識する能力を一時回復  +2人以上の医師の立会いがある  遺言は有効

3.「遺贈の承認及び放棄を自由に取り消すことはできない。」

【正解:

受遺者の『遺贈の承認及び放棄』は撤回することができない

 受遺者による遺贈の承認及び放棄は、原則として撤回することができません。一度承認したり放棄した後でこれを撤回してもよいとすると、利害関係人の立場を著しく不安定にさせ、不測の損害を与えることにもなりかねず、そのような事態を回避するためにこの規定が設けられています。(989条1項)

▼制限行為能力や、詐欺・強迫による『遺贈の承認及び放棄の取り消し』は認められます(家庭裁判所に申述しなければいけません。)し、追認をすることができるときから6ヵ月以内にに行わないと時効により消滅します。また、承認及び放棄の時から10年経過したときも消滅します。(989条2項,919条2項)

詐欺による相続放棄の取り消し平成10年・問10・肢4で出題されています。

4.「相続人は,自己のために相続の開始があった時から3ヵ月以内に,単純若しくは

限定の承認又は放棄をしなければならない。」(類・平成10-10-1、関連・平成14-12-3)

【正解:×

相続の承認と放棄

 相続は、被相続人の死亡によって開始されますが(882条)相続人は,自己のために相続の開始があったことを知った時から3ヵ月以内に,単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければなりません。『知ったときから』となっているので、相続人によって、相続の承認又は放棄をする3ヵ月の始期が異なることがあります。

 本肢では、「相続の開始があった時から3ヵ月以内」となっているので、×になります。


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