Brush Up! 権利の変動篇
正解・解説
委任の基本問題1
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
× | × | ○ | × |
委任に関する次の記述は、民法の規定によれば、○か、×か。(昭和61年・問8) |
1.「委任とは、当事者の一方が法律行為をなすことを相手方に委託する契約であって、
法律行為でない事務の委託をする契約には、委任の規定は準用されない。」
【関連:平成7,9】
【正解:×】 ◆委任契約 委任は、当事者の一方が法律行為をなすことを相手方に委託し、相手方がこれを承諾することによって効力が発生します。〔諾成契約〕(民法643条) 委任の規定は、法律行為でない事務の委託に準用されます。(民法656条)
▼『事務管理』とは、どう違うか? 人から頼まれているわけでもなく、また契約を締結しているわけでもないのに、自らの意思によらずに、他人の事務 (人の生活に必要な一切の仕事) を管理することを『事務管理』といいます。(民法697条〜702条) |
2.「受任者は、委任者の代理人であるから、委任事務の処理は、委任者の名に
よってなされ、受任者の名によってなされることはない。」
【正解:×】 ◆委任事務の処理 委任契約で、受任者に対して代理権を授与することがありますが、そうでない場合もあり、代理と委任は、法律上の構成としては明確に区別されています。したがって、「受任者は、委任者の代理人である」とは限りません。 また、委任事務を受任者が処理する上で、委任者の名を伏せて、受任者の名をもって処理しその結果を改めて委任者に移転する場合もあります。(民法646条2項) したがって、「委任事務の処理は、委任者の名によってなされ、受任者の名によってなされることはない」というのは明らかに×になります。 |
3.「委任は原則として無償契約だから、報酬についての特約がない限り、受任者は
委任者に対し報酬を請求することはできない。」(平成7年)
【正解:○】 ◆委任は特約がなければ、原則として、無償契約 委任は原則として無償契約です。当事者間の特約で報酬の定めがない限り、受任者は委任者に対し報酬を請求することはできません。(民法648条1項) |
4.「委任事務の処理のため、費用の支出が必要なときでも、受任者は、委任事務
履行後でなければ、費用の支払を委任者に対し請求できない。」【関連:平成14】
【正解:×】 ◆費用前払い請求権 委任が信頼関係に基づくといっても、委任事務を処理する上で費用の支出が必要な場合は委任者にその負担を請求するのは当然なことです。 受任者は、委任事務を処理する上で費用の支出が必要な場合は、委任者に費用の前払いを請求できます。(民法649条) また、委任者から費用の前払いがないために、受任者が事務の処理に着手できない場合は履行遅滞にもなりません。 |