Brush Up! 権利の変動篇

正解・解説

委任の基本問題3


【正解】

× × ×

委任に関する次のそれぞれの記述は、民法の規定によれば、○か、×か。
(昭和63年・問4)

1.「受任者は、原則として委任者に対し定期的に委任事務処理の状況を報告しなけ

ればならない。」

【正解:×

◆受任者の報告義務 

 受任者は、委任者の請求があるときはいつでも、委任事務処理の状況を報告しなければいけません。(委任者の利益のために必要ならば委任者の請求がなくても報告すべきと解されています。)

 また、委任終了後は、遅滞なくその顛末を報告する義務を負います。(民法645条)

本設問では、「定期的に」となっているため、×になります。

2.「受任者は、報酬を受ける特約のないときは、自己の事務処理におけると同程度

の注意義務で足り、善良な管理者としての注意義務までは負わない。」(昭和59,平成9,14)

【正解:×

◆善管注意義務違反

 受任者は、有償・無償契約を問わず、善良なる管理者の注意をもって委任義務を処理する義務を負っています。(民法644条)

 この義務違反により損害が生じた場合、委任者は、受任者に損害賠償を請求できます。 

3.「委任は、原則として各当事者がいつでもこれを解除することができる。」

(昭和59,平成9,14)

【正解:

◆各当事者の解除権

 委任契約は、解除権放棄の特約がなければ、当事者のどちらからでも、またいつでも何ら特別の理由がなくても、解約できます。(民法651条)

 しかし、当事者の一方が相手方にとって不利な時期に委任契約を解除したときは、原則としてその損害を賠償しなければなりません。(651条2項) 

4.「委任は、当事者の死亡または破産手続開始の決定による場合に限り当然に終了する。」

(昭和55,59,平成9,13) 【関連:平成7年】

【正解:×

◆委任契約の終了 

 当事者(委任者・受任者)の死亡・破産手続開始の決定により委任契約は終了しますが、このほかに、受任者が後見開始の審判を受けることによっても終了します。このため、本設問では、「当事者の死亡または破産による場合に限り」となっているので、×になります。

 委任者が後見開始の審判を受けても委任契約は終了しません。(民法653条)

●委任契約の終了事由
 死亡  破産手続開始の決定  後見開始の審判
 委任者  終了  終了  終了しない
 受任者  終了  終了  終了

委任による登記申請の代理権は,本人(委任者の死亡によっても消滅しません。遺本人が死亡したときに遺族が登記申請に協力してくれないなどのトラブルを避けるためです。(不動産登記法・第26条3項)←平成14年・問15出題

●参考問題
  民法上、委任関係が終了しないのは、次のうちどれか。

 1.委任者が死亡したとき

 2.受任者が死亡したとき

 3.委任者が後見開始の審判を受けたとき

 4.受任者が後見開始の審判を受けたとき          (昭和55年・問10)

【正解:

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