Brush Up! 権利の変動編

正解・解説

時効の基本問題1


【正解】

×

1.「時効の効力はその起算日に遡り、時効の利益はあらかじめ放棄することはできない。」

【正解:

法的安全性のために、時効の効力はその起算日に遡らせ、また時効完成前に、債権者がその強い立場を利用して「時効が完成したら時効を主張したら金は貸さない」など時効制度の趣旨に反する権利の濫用の防止をする意味もあります。

 なお、時効進行中の時効の利益の放棄は、相手方の権利を承認(=自己の債務の承認)したことになるため、時効が中断します。

2.「時効は、仮処分によっても中断する。」

【正解:

設問文のとおりです。仮処分のほか、請求・仮差押え・承認によっても時効は中断

します。

 しかし、裁判外で単に請求(催告)をしただけのときは、その間に承認等がない

場合は、6カ月以内に裁判上の請求をしなければ、中断の効力は発生しません。

「コ○ヨ」の請求書を葵のご紋よろしく「さあ、これで完全に時効中断だ!」などと

ユメユメ思わないように。

3.「催告は、6カ月以内に裁判上の請求等をしなければ、時効中断の効力を生じない。」

【正解:

前問の解説を参照してください。

例えば、時効により権利を失う者が、時効の完成3日前に、このことに気づいたとしまし

ょう。とりあえず催告だけをしておけば、6カ月は時効が完成しませんので、その間に

弁護士等の手配をして、正式な裁判等の申し立てをしましょう、と理解してください。

4.「裁判上の請求をすれば、その訴えが却下されても、時効の中断の効力は生じる。」

【正解:×

訴えの却下とは、訴えが認められないということ(門前払い)で、中断の効力は生じませ

訴えの取下げの場合も同様です。

5.「中断した時効は、その中断事由の終了したときより、新たに時効の進行が始まる。」

【正解:

時効が中断するとそれまでに経過した時効期間は無意味となり再びゼロから出発

します。(157条1項)


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