Brush Up! 権利の変動篇
正解・解説
各契約の分類に関する問題
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
× | ○ | ○ | ○ |
契約類型の説明に関する次の記述は、民法の規定によれば○か×か。 (管理業務主任者・平成13年・問1) |
1.「委任契約とは、一定の事務を処理することを委託する契約で、原則として報酬の
ある有償、双務契約であるが、特約があれば報酬のない無償、片務契約とする
こともできる。」
【正解:×】 ◆委任契約 委任契約は、原則としては、無償・片務・諾成契約で、当事者の一方が法律行為をすることを相手方に委託し、相手方がこれを承諾することによって効力を生じる契約で、不要式契約です。(法律行為ではない事務の委託は、準委任と言われます。) 委任者は特約があれば、委任者に対して報酬を請求することができ、この場合は、有償・双務・諾成契約になります。(民法642条2項) したがって、本設問では、「原則」と「特約があった場合」の契約の分類が逆になっているため、×になります。 ▼委任は、有償・無償を問わず、受任者は「善良な管理者の注意をもって事務を処理する義務」を負います。 |
2.「請負契約とは、一定の仕事を完成することを約し、相手方が仕事の結果に対して
報酬を支払うことを約することによって成立する契約である。」
【正解:○】 ◆請負契約 請負契約は、当事者の一方がある仕事を完成させることを約束し、相手方がその仕事の完成に対して報酬を与えることを約束することによって成立する有償・双務・諾成契約です。(民法632条) |
3.「諾成契約とは、当事者の意思表示が合致するだけで成立する契約である。」
【正解:○】 ◆諾成契約 諾成契約とは、財産を引き渡したり、契約書を取り交わしたりしなくても、当事者の意思表示が合致するだけで成立する契約です。 |
4.「片務契約とは、一方だけが義務を負い、相手がこれに対応する義務を負わない
契約である。」
【正解:○】 ◆片務契約 片務契約とは、一方だけが給付義務を負い、相手がこれに対応する義務を負わない契約、または、当事者双方の債務が対価的意義をもたない契約です。 cf.贈与・使用貸借・消費貸借・無償の委任・無償の寄託 |
双務契約 | 片務契約 | |
有償契約 | 売買、交換、賃貸借、有償の委任、
請負、雇傭、有償の寄託、組合、和解 |
利息付の消費貸借 |
無償契約 | − | 贈与、使用貸借、無償の委任、
無償の寄託、無利息の消費貸借 |
●契約の分類・区別により明らかになるグループ共通の性質 |
有償契約には、原則として売買の規定が準用される。(売主の担保責任など) ◎分類のヒント ⇒ 無償契約はすべて片務契約になります。 |
双務契約には、同時履行の抗弁権、危険負担の適用があります。 ◎分類のヒント ⇒ 双務契約は常に有償契約になります。 |