Brush Up! 権利の変動篇

正解・解説

各契約の終了に関する問題 1


【正解】

×

契約の終了に関する次の記述は、民法の規定によれば○か×か。(行政書士・平成5年)

1.「使用貸借契約は、借主が死亡すれば終了する。」

【正解:

◆使用貸借契約 

 使用貸借は人間関係と信頼関係に基づく無償の貸借契約です。借主が死んだ場合は、特約のない限り使用貸借は終了します。(民法599条)

 借主が死んだ場合は、借主の相続人は借主の立場を引き継ぐことはできません。

 しかし、貸主が死んだ場合、貸主の相続人が貸主の立場を引き継ぐことになります。

       貸主  借主
 死亡  契約は終了しない

 貸主の相続人は
 貸主になる。

 契約終了 

 借主の相続人は
 借主にはなれない。 

2.「賃貸借契約は、賃借人が賃貸人の承諾なしに賃借権を譲渡すれば終了する。」

【正解:×

◆賃貸借契約での賃借権の無断譲渡は、解除事由 

 賃借人が賃借権を譲渡するには、賃貸人の承諾が必要です。

 賃借人が賃貸人の承諾なしに賃借権を譲渡すれば、契約解除を求める解除事由にはなりますが、かといつて、『賃貸人の承諾なしに賃借権を譲渡』することにより自動的に、賃貸借契約が終了するわけではありません。(民法612条2項)

3.「請負契約において、注文者について破産手続開始の決定があったときは、請負人は契約を解除できる。」

【正解:

◆請負契約-注文者の破産

 注文者について「破産手続開始の決定」があったときは、「請負人」または「注文者の破産管財人」は、請負契約の解除をすることができます。(民法642条1項)

4.「委任契約は、受任者が後見開始の審判を受ければ終了する。」

【正解:

◆委任契約の終了事由 

 委任契約は、委任者または受任者の死亡・破産、受任者が後見開始の審判を受けたことによって終了します。(民法653条)

       委任者  受任者
 死亡  終了  終了
 破産手続開始の決定  終了  終了
 後見開始の審判  終了しない  終了   

 委任者が後見開始の審判を受けた場合は、委任者を保護する必要があるため、終了しません。 


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