Brush Up! 権利の変動編

正解・解説

共有に関する基本問題2  平成4年・問12


【正解】

×

3人の土地の共有(持分均一)に関する次の記述のうち,民法の規定及び判例
によれば,誤っているものはどれか。(平成4年・問12)

1.「の反対にかかわらず,及びが同意して管理行為を行った場合は,

その費用の分担を拒むことができる。」

【正解:×

◆管理費用の負担

共有物の「管理」に関する事項は、各共有者の“持分価格”の過半数の同意によって

決定されます(民法第252条)。また各共有者はその“持分に応じて”管理費用を負担

する義務も負います(第253条)

 したがって、A・B・C3人の持分が均一であるため、3人のうち、BとCの同意があって管理行為が行われれば、Aは、たとえ反対であっても管理費用の分担を拒むことはできません

  持分価格の比 A : (B+C) = 1 : 2

<ツケタシ−老婆心>
 本設問の設定では、A・B・C3人の持分は 1 : 1: 1 ですが、もしも、A・B・C3人の持分が3 : 1 : 1 のときにはアタマ割(人数)ではB+Cのほうが多くても、持分価格の比では、  持分価格の比 A : (B+C) = 3 : 2
となってしまうため、2/5のB+Cが同意していても、3/5(過半数)のが反対すれば、管理行為はによって決定されます。

●共有物の保存・管理・変更
 保存行為  共有物の現状を維持する行為  単独でできる
 管理行為  使用方法の協議

 利用行為 (収益を図る)

 改良行為 (経済的価値を増加)

 共有者の持分の価格に従い,

 その過半数で決定する

 変更行為  物理的な変更

 法律的な処分

 全員の同意が必要

2.「が不法に土地を占拠した場合,は,に対し,単独で土地の明渡請求を

することができる。」

【正解:

◆保存行為

不法占拠者から土地を取戻す行為は「保存行為」に該当し、共有物の保存行為は、

他の共有者の同意を得なくても(意見を聞いているうちに損害が拡大するおそれも

あり)共有者の1人が単独でなすこともできます(第252条但書)

3.「が相続人なくして死亡し,特別縁故者に対する財産分与もなされない場合,

の持分は,及びに帰属する。」

【正解:

◆共有者が相続人なくして死亡した場合

 持主のない不動産は国庫に帰属するのが原則です(第239条2項)

 しかし、共有物という特殊な所有関係の場合には、共有者の1人が、その持分を

放棄したり、相続人なしで死亡した時(第255条)、又は法定相続人ではないが、

被相続人と特別な関係にあった者(第958条の3:戸籍に入っていない内縁関係者

などを「特別縁故者」という)などが存在しないとき(第959条)その死亡者の持分を

国庫に帰属させることは、管理に不都合が生じるため、その持分は他の共有者に

帰属させ、共有物が合理的に管理できるよう図られています。

判例では,共有者の一人が相続人なくして死亡した場合、特別縁故者(958条の3)他の共有者の順に受け継がれるとしています。(最高裁・平成元.11.24)

共有者の1人が,その持分を放棄
共有者の1人が,相続人なくして死亡したとき
(ただし,特別縁故者がいない場合)
   その持分は他の共有者に帰属

4.「は,特約がなければ,いつでも土地の分割を請求することができる。」

【正解:

◆分割請求の自由

 共有物であっても、各共有者の持分は所有権に変わりなく、分割禁止の特約

(5年以内なら定めることもできる)がない限り(第256条1項)各共有者は、法令の制限

内においてその持分を自由に使用、収益、処分することができます(第207条)


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