Brush Up! 権利の変動篇
不動産登記法の過去問アーカイブス 平成3年・問16 改正対応
不動産登記に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。(平成3年・問16) |
1.「不動産登記法の規定により登記所に備える地図は,すべて一筆の土地ごとに作成され,土地の区画及び地番が明確にされている。」 |
2.「一棟の建物を区分した建物以外の建物の床面積は,壁その他の区画の内側線で囲まれた部分の水平投影面積により算出される。」 |
3.「二つの登記所の管轄区域にまたがって建っている建物の表示の登記の申請は双方の登記所にそれぞれ申請しなければならない。」 |
4.「建物の滅失の登記は,登記官の職権によってすることができる。」 |
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
× | × | × | ○ |
1.「不動産登記法の規定により登記所に備える地図は,すべて一筆の土地ごとに作成され、土地の区画及び地番が明確にされている。」 |
【正解:×】 ◆法14条地図(地図・建物所在図) 登記所に備える地図は,<すべて一筆の土地ごとに作成されるのではない>ので,誤り。 ―*―−―*―−―*―−―*―− 登記所には,土地および建物の所在・位置・区画を明らかにするために地図・建物所在図を備えることになっています。(法14条)
▼地図に準じる図面 登記所に法14条地図が備えられるまでの間,これに代えて「地図に準じる図面」を備えるものとされています。(不動産登記法・14条4項,登記規則10条5項,準則13条,平成5年7月30日民三通達) 登記所には,地図に準じる図面として,以下のものがあり,閲覧に供されます。〔註・法14条地図になっていないもの〕 ・公図 (旧・土地台帳附属地図) ・地籍図 (国土調査法) ・土地の所在図 |
●地図等 |
(地図等) 第14条 登記所には、地図及び建物所在図を備え付けるものとする。 2 前項の地図は、一筆又は二筆以上の土地ごとに作成し、各土地の区画を明確にし、地番を表示するものとする。 3 第一項の建物所在図は、一個又は二個以上の建物ごとに作成し、各建物の位置及び家屋番号を表示するものとする。 4 第一項の規定にかかわらず、登記所には、同項の規定により地図が備え付けられるまでの間、これに代えて、地図に準ずる図面を備え付けることができる。 5 前項の地図に準ずる図面は、一筆又は二筆以上の土地ごとに土地の位置、形状及び地番を表示するものとする。 6 第一項の地図及び建物所在図並びに第四項の地図に準ずる図面は、電磁的記録に記録することができる。 |
2.「一棟の建物を区分した建物以外の建物の床面積は,壁その他の区画の内側線で囲まれた部分の水平投影面積により算出される。」 |
【正解:×】 ◆床面積の算出方法 <一棟の建物を区分した建物以外の建物>の床面積は,中心線で囲まれた部分で算出するので誤り。 ―*―−―*―−―*―−―*―− 建物の登記記録の表題部では,区分建物以外の建物の床面積は,各階ごとに(地階も含むことに注意),壁その他の区画の中心線で囲まれた部分の水平投影面積により,平方メートルを単位として定め,1平方メートルの百分の一未満の端数は切り捨てます。〔壁芯で計算〕(登記規則・115条) ▼区分建物(専有部分)での床面積の算出方法 一棟の建物を区分した建物(専有部分)の床面積は,壁その他の区画の内側線で囲まれた部分の水平投影面積により算出されます(登記規則・115条)。 |
3.「二つの登記所の管轄区域にまたがって建っている建物の表題登記の申請は双方の登記所にそれぞれ申請しなければならない。」 |
【正解:×】 ◆管轄区域がまたがっている場合の申請 不動産が二つの登記所の管轄区域にまたがる場合は,法務大臣・法務局又は地方法務局の長が管轄を指定した登記所に申請します(不動産登記法・6条2項)。 不動産が二つの登記所の管轄区域にまたがっていて管轄指定がなされていない場合の建物の表題登記の申請は,いずれか一つの登記所にすることができます(不動産登記法・6条3項)。 どちらにも申請しなければいけないというのではありません。 ▼A登記所に登記されている建物について増築や附属建物の新築がされ,当該建物がB登記所の管轄区域にまたがることになった場合でも,管轄登記所はA登記所のままで変わりません(準則・5条前段)。 |
●類題 |
1.「二つの登記所の管轄区域にまたがって新築された建物の表題登記の申請は,床面積の占める割合の多い部分の存在する土地を管轄する登記所にしなければならない。」(土地家屋調査士・昭和63年) |
【正解:×】
妙に説得力のある表現だが,×。下記は同工異曲の問題例。 数個の登記所の管轄区域にまたがって建築された建物の表題登記は,建物の主要な部分が存する土地を管轄する登記所に申請しなければならない。(土地家屋調査士・昭和50年) |
2.「建物が二つの登記所の管轄区域にまたがって建築されたが,管轄登記所の指定がなされていない場合における建物の表示の登記の申請は,いずれの登記所にもすることができる。」(土地家屋調査士・平成9年) |
【正解:○】 |
●登記所 |
(登記所) 第6条 登記の事務は、不動産の所在地を管轄する法務局若しくは地方法務局若しくはこれらの支局又はこれらの出張所(以下単に「登記所」という。)がつかさどる。 2 不動産が二以上の登記所の管轄区域にまたがる場合は、法務省令で定めるところにより、法務大臣又は法務局若しくは地方法務局の長が、当該不動産に関する登記の事務をつかさどる登記所を指定する。 3 前項に規定する場合において、同項の指定がされるまでの間、登記の申請は、当該二以上の登記所のうち、一の登記所にすることができる。 (事務の委任) (事務の停止) |
4.「建物の滅失の登記は,登記官の職権によってすることができる。」 |
【正解:○】 ◆建物の滅失の登記は登記官の職権によってすることもできる 建物の滅失の登記は表示に関する登記であり,表示に関する登記は登記官の職権によってすることができます。(不動産登記法・28条,規則・96条,準則144条) |
●登記所 |
(建物の滅失の登記の申請) 第57条 建物が滅失したときは、表題部所有者又は所有権の登記名義人(共用部分である旨の登記又は団地共用部分である旨の登記がある建物の場合にあっては、所有者)は、その滅失の日から一月以内に、当該建物の滅失の登記を申請しなければならない。 (職権による表示に関する登記) |