Brush Up! 権利の変動篇

不動産登記の過去問アーカイブス 登記簿・地図 昭和59年・問16 改正対応


不動産登記に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。ただし,登記簿がコンピュータ化されていないブック庁(不動産登記法附則第3条第1項の指定を受けていない登記所)については考えないものとする。(昭和59年・問16)

1.「登記記録は,一筆の土地又は一個の建物ごとに作成されるが,区分建物の登記では,各区分建物ごとに登記記録が作成されることはない。」

2.「地図は,すべて一筆の土地ごとに作成され,土地の区画及び地番が明確にされている。」

3.「一登記記録は,表題部及び権利部に区分して作成され,さらに権利部は甲区・乙区に区分し,登記官は,権利に関する登記をするときは,権利部の相当区に登記事項を記録した順序を示す番号を記録しなければならない。」

4.「甲区には所有権及び抵当権に関する事項が,乙区にはそれ以外の権利に関する事項がそれぞれ記録される。」

区分建物 建物の区分所有等に関する法律第2条第1項に規定する区分所有権
           の目的である建物をいう。

【正解】

× × ×

1.「登記記録は,一筆の土地又は一個の建物ごとに作成されるが,区分建物の登記では,各区分建物ごとに登記記録が作成されることはない。」

【正解:×

◆区分建物の登記記録

 登記記録は一筆の土地または一個の建物ごとに作成されます(不動産登記法・2条5号)。つまり,1つの不動産(土地・建物)について,1つの登記記録が作成されるわけです。⇒ そうでなければ,不動産番号を割り振ることができません。

 区分建物〔マンション等のように,外観は一棟の建物であっても,構造上・利用上の独立性を備えている各部分が区分所有権の対象になっているものがある。このように,一棟の建物の中の各部屋のことを,不動産登記法上,区分建物と呼ぶ。〕の登記では,各区分建物ごとに登記記録が作成される(登記規則・4条3項,別表三・区分建物である建物の登記記録)ので,本肢は,誤りです。

登記簿 (不動産登記法・2条9号)

 登記記録が記録される帳簿であって、磁気ディスク(これに準ずる方法により一定の事項を確実に記録することができる物を含む。以下同じ。)をもって調製するものをいう。

登記記録 (不動産登記法・2条5号)

 表示に関する登記又は権利に関する登記について、一筆の土地又は一個の建物ごとに第12条の規定により作成される電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。)をいう。

区分建物 (不動産登記法・2条22号)

 一棟の建物の構造上区分された部分で独立して住居、店舗、事務所又は倉庫その他建物としての用途に供することができるものであって、建物の区分所有等に関する法律 (昭和37年法律第69号。以下「区分所有法」という。)第2条第3項に規定する専有部分であるもの(区分所有法第4条第2項 の規定により共用部分〔規約共用部分〕とされたものを含む。)をいう。

区分建物の登記事項証明書 (不動産登記令・197条2項3号,別記9号)

 表題部(一棟の建物全体についての表示に関する事項,当該区分建物についての表示に関する事項),権利部(甲区・乙区)

■備考・マンション等でのこのほかの登記事項証明書 (登記規則・196条1項5号・6号)

一棟建物全部事項証明書 <一棟の建物に属するすべての区分建物である建物の登記記録に記録されている事項の全部>を記載事項とする。
一棟建物現在事項証明書 <一棟の建物に属するすべての区分建物である建物の登記記録に記録されている事項のうち現に効力を有するもの>を記載事項とする。

2.「地図は,すべて一筆の土地ごとに作成され,土地の区画及び地番が明確にされている。」(類・平成3-16-2)

【正解:×

◆地図は1筆又は数筆の土地毎に作製

 登記所に備える地図は一筆又は二筆以上の土地ごとに(地番区域又はその適宜の一部ごとに)作成し,各土地の区画を明確にし,地番を表示するものとされています。本肢では『すべて一筆の土地ごとに作成となっているので×です。

■不動産登記法・第14条 (地図等)

第14条  登記所には、地図及び建物所在図を備え付けるものとする。

2  前項の地図は、一筆又は二筆以上の土地ごとに作成し、各土地の区画を明確にし、地番を表示するものとする。

3  第一項の建物所在図は、一個又は二個以上の建物ごとに作成し、各建物の位置及び家屋番号を表示するものとする。

4  第一項の規定にかかわらず、登記所には、同項の規定により地図が備え付けられるまでの間、これに代えて、地図に準ずる図面を備え付けることができる。

5  前項の地図に準ずる図面は、一筆又は二筆以上の土地ごとに土地の位置、形状及び地番を表示するものとする。

6  第一項の地図及び建物所在図並びに第四項の地図に準ずる図面は、電磁的記録に記録することができる。

(法務省令への委任)
第15条  この章に定めるもののほか、登記簿及び登記記録並びに地図、建物所在図及び地図に準ずる図面の記録方法その他の登記の事務に関し必要な事項は、法務省令で定める。

■不動産登記法・第35条 (地番)

 登記所は、法務省令で定めるところにより、地番を付すべき区域(第39条第2項及び第41条第2号において「地番区域」という。)を定め、一筆の土地ごとに地番を付さなければならない。

■登記令・2条2号 土地所在図
 一筆の土地の所在を明らかにする図面であって、法務省令で定めるところにより作成されるものをいう。

■登記規則・第10条 
1 地図は、地番区域又はその適宜の一部ごとに、正確な測量及び調査の成果に基づき作成するものとする。

3.「一登記記録は,表題部及び権利部に区分して作成され,さらに権利部は甲区・乙区に区分し,登記官は,権利に関する登記をするときは,権利部の相当区に登記事項を記録した順序を示す番号を記録しなければならない。」

【正解:

◆登記記録の編成

 正しい記述です。

第12条 〔登記記録の作成〕

1 登記記録は、表題部及び権利部に区分して作成する。

(登記記録の編成)
登記規則第4条
 
4  権利部は、甲区及び乙区に区分し、甲区には所有権に関する登記の登記事項を記録するものとし、乙区には所有権以外の権利に関する登記の登記事項を記録するものとする。

(権利部の登記)
第146条
 登記官は、権利部の相当区に権利に関する登記をする場合には、法令に別段の定めがある場合を除き、権利に関する登記の登記事項のうち、登記の目的、申請の受付の年月日及び受付番号並びに登記原因及びその日付のほか、新たに登記すべきものを記録しなければならない。

(順位番号等)
第147条
 登記官は、権利に関する登記をするときは、権利部の相当区に登記事項を記録した順序を示す番号を記録しなければならない。

2  登記官は、同順位である二以上の権利に関する登記をするときは、順位番号に当該登記を識別するための符号を付さなければならない。

3  令第2条第8号 の順位事項は、順位番号及び前項の符号とする。

(付記登記の順位番号)
第148条
 付記登記の順位番号を記録するときは、主登記の順位番号に付記何号を付加する方法により記録するものとする。

4.「甲区には所有権及び抵当権に関する事項が,乙区にはそれ以外の権利に関する事項がそれぞれ記録される。」

【正解:×

◆相当区事項欄

 本肢では,

   甲区には所有権及び抵当権に関する事項

   乙区にはそれ以外の権利に関する事項

 となっているので×です。

(登記記録の編成)
登記規則第4条
 
4  権利部は、甲区及び乙区に区分し、甲区には所有権に関する登記の登記事項を記録するものとし、乙区には所有権以外の権利に関する登記の登記事項を記録するものとする。


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