Brush Up! 権利の変動篇
正解・解説
賃貸借に関する問題 BASE-1
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 |
○ | ○ | ○ | × | ○ | ○ |
民法の賃貸借に関する次の記述は、民法の規定によれば○か、×か。 |
1.「建物の賃貸借において、期間満了前に当該建物が第三者の放火により全部滅失
したときは、当該賃貸借は終了する。」(H2-12-1)、類題・昭和55-14-2
【正解:○】 建物が火災により滅失 → 賃貸借の終了 両当事者に帰責性がなく、賃貸借の目的物が滅失し、使用収益させるべき賃貸人の債務が履行不能になった場合は、契約の期間満了前であっても、賃貸借契約は終了するものと解されています。(賃貸人の帰責事由による滅失、通説では、賃借人の帰責事由による滅失も契約は終了し、損害賠償の問題になると言われています。) 【類題】H2-12-1 |
●類題 |
1.「AがBからB所有の建物を賃借して居住している。当該建物が水害により滅失してしまった場合、AB間の借家契約は契約期間中であっても終了する。」(昭和53年) |
【正解:○】 |
2.「AがBからB所有の建物を賃借して居住している場合、その建物が地震により、半壊
したため、建物の残りの部分しか使用することができなくなったときでも、Aは建物が修繕
されるまでの賃料の支払いを全部拒むということはできない。」
【正解:○】 賃借人の過失によらず、賃借物の一部が滅失した場合、賃借人は滅失した部分の割合に応じて賃料の減額を請求することができます。本設問のような場合でも、賃借人の減額請求をした上で初めて賃料が減額されます。(民法611条1項) このため、『建物が修繕されるまでの賃料の支払いを全部拒む』ということはできません。 ▼ただし、一部の滅失とはいえ、賃借目的が達し得ないときには、賃借人は解除することができます。(民法611条2項) |
3.「建物および宅地の借賃は、毎月末に支払うことを要する。」(昭和56-11-3)
【正解:○】 民法614条では、 ・建物および宅地は毎月末に ・その他の土地は毎年末に 支払うことを要するとしています。原則として『賃料後払い』とされています。 しかし、この規定は任意規定とされており、特約によって別段の定めをすることもできます。 |
4.「不動産の賃借権は、債権であるので登記をすることができない。」(昭和56-11-4)
【正解:×】 時折、宅建の試験に現れる『点くれ問題』。 不動産の賃借権は債権ですが、地上権・永小作権などの物権と同様に登記をすることが認められており、第三者への対抗要件になっています。(民法605条) ▼賃借権の登記に代わる対抗要件として,建物の賃貸借では『引渡し』(借地借家法31条1項),建物所有を目的とした土地の賃貸借では『借地上の建物の登記(保存登記・表示登記など)』(借地借家法10条)が特別法で認められています。 |
5.「AがBの所有する建物を賃借した場合、証書作成費用、印紙代等の賃貸借契約に
要する費用はAとBが平分して負担する。」(昭和58-9-4)
【正解:○】 特約がなければ、賃貸借契約に関する費用は当事者双方が平等に負担することになっています。(民法559条)これは、売買契約でその売買に関する費用(通説では、不動産売買での登記費用は含みませんが)は当事者双方が平等に負担することになっているのを準用したものです。(民法558条) |
6.「AはBの所有する建物を賃借している。当該建物の一部が、隣家の火事により類焼
して滅失したときは、Aは、滅失した部分の割合に応じて借賃の減額を請求できる。」
(昭和58-9-3)
【正解:○】 民法611条の1項ソノママの問題文で、○になります。 【民法611条】 1.賃借物の一部が賃借人の過失に因らずして滅失したるときは賃借人はその滅失したる部分の割合に応じて借賃の減額を請求することを得。 2.前項の場合において残存する部分のみにては賃借人が賃借を為したる目的を達成することあたわざるときは賃借人は契約の解除を為すことを得。 |