Brush Up! 権利の変動篇

正解・解説

建物の賃貸借に関する問題1


【正解】

× ×

Aは、自己所有の甲建物を、Bから敷金及び権利金を受領して、Bに賃貸している。

この場合、次のそれぞれの記述は、民法の規定及び判例によれば○か、×か。

1.「Aが、Bの意思に反して甲建物に必要な保存行為をしようとするときであっても、Bはそ

れを拒むことはできないが、その保存行為によりBが賃借した目的を達成できない場合、B

は契約の解除をすることができる。」

【正解:

 賃貸人(A)が賃貸物の保存に必要な行為をするとき、賃借人(B)はそれを拒むことはできません(民法第606条2項)

 しかし、賃貸人が賃借人の意思に反して甲建物の保存行為をしようとするとき、その保存行為により賃借人が、その目的を達成できない場合、賃借人に解除権が与えられ、両者のバランスが図られています(第607条)。

2.「Bが、甲建物に有益費を出したとき、賃貸借の終了時に価格の増加が現存すれば、B

はAに対し、その価格を請求できる。」

【正解:

 賃借人が有益費を出したとき、賃貸借の“終了時”に価格の増加が現存すれば、賃借人(B)は賃貸人(A)に対し、その価額を請求できます(第608条2項、第196条2項)。

<参考>

よく似たものに、“造作(建物に作り付けた物)買取請求権”がありますが、これについては借地借家法に別の定めがありますので、注意してください。

3.「賃貸契約が終了するとき、Bに延滞賃料のある場合、Aは受領した敷金につき先取特

を有するが、当該敷金では延滞賃料に不足するとき、Bは交付した権利金をもってその

不足額につき充当すべきことをAに主張できる。」

【正解:×

 賃貸借契約が終了するとき、延滞賃料のある場合、賃貸人(A)は受領した敷金につき先取特権を有します(第316条)。

 しかし、「権利金」とは、賃料の一括前払い、若しくは賃借権譲渡に対する事前の承諾料と解されるもの(判例)であり、敷金のように契約終了時に残金があれば賃借人に返還されるものではないため、賃料の不足額に充当できる性質のものではありません。

 また、少なくとも賃借人(B)の方から「交付した権利金をもって不足額に充当せよ」などと主張できません。

4.「賃借人Bが差押えや破産の申立てを受けたときには賃貸人Aは直ちに賃貸借契約を

解除できるという特約は無効である。」

【正解:

 判例では、『賃借人が差押えや破産の申立てを受けたときには賃貸人は直ちに賃貸借契約を解除できる』との特約は無効としています。 (最高裁・昭和43.11.21)

5.「Bについて、破産手続開始の決定があったとき、賃借期間が残っている場合で

あっても、正当事由の有無にかかわらず、Aは解約の申し入れをすることができる。」

【正解:×

 旧・621条は破産法の改正により削除されました。このため,賃借人が破産しても賃貸人は解約の申し入れをすることはできません。


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