Brush Up! 権利の変動篇

不動産の賃貸借・使用貸借の解約のまとめ


□■□ マチガイやすいので注意!! □■□

●民法と借地借家法
 民法  ・一時使用の建物の賃貸借

 ・建物所有を目的としない土地の賃借権・地上権

 ・短期賃貸借 (602条〜603条,旧・395条の経過措置)

 ・土地・建物の使用貸借

 借地借家法による修正

 → 民法+借地借家法

 ・定期建物賃貸借

 ・期間の定めのある建物の賃貸借

 ・期間の定めのない土地・建物の賃貸借
  (建物の賃借人からの解約の申入れは民法で考える)

 ・建物所有を目的とした土地の賃借権・地上権

 ・一時使用の土地の賃貸借

 ・定期借地権

 ・転貸借

□■□ 賃借人の義務 □■□

原状回復義務598条、616条、

目的物の善管注意義務400条

賃貸人の保存行為への受忍義務 606条2項

借賃の支払い義務

□■□ 期間の定めのない賃貸借 □■□

●期間の定めのない賃貸借
 建物   定期賃貸借ではない、「一年未満の賃貸借」も、期間の定めのない賃貸借と
 みなされる。

 (→借地借家法で考えるが、賃借人からの解約申入れは民法で考える。)

 土地  定めがないときは、借地権の存続期間は、自動的に30年になる。

 (→借地借家法で考える。)

□■□ 借地借家法での修正 □■□

◆期間満了による終了の通知・賃貸人からの更新拒絶の通知・解約の申入れ

混同しないようにしましょう!! (混同する人が多いので注意)

 定期建物賃貸借・・・・期間満了による終了の通知

 期間の定めのある建物賃貸借・・・賃貸人からの更新拒絶の通知

 期間の定めのない建物賃貸借〔期間一年未満の建物賃貸借〕・・・解約の申入れ

定期建物賃貸借  期間満了の1年前から6ヵ月前までの間
 期間満了の通知をしなければならない。

 通知期間の間に通知しないと終了を賃借人に
 対抗できない。

 通知期間の経過後に通知した場合は、
 その通知の日から6ヵ月が経過すると終了。

期間の定めのある建物賃貸借  期間満了の1年前から6ヵ月前まで
 の間に
更新拒絶または、条件を変更しなければ
 更新しない旨の通知。
 更新拒絶の通知には、正当事由が必要。

 更新しない旨の通知をしないときは、同一条件で
 更新したものとみなされ、期間の定めのない賃貸借
 になる。

期間の定めのない建物賃貸借

〔期間一年未満の建物賃貸借〕

 正当事由ある解約の申入れをしたとき、
 申入れの日から6ヵ月を経過しないと
 賃貸借契約は終了しない。

◆賃借人からの更新拒絶の通知・解約の申入れ

定期建物賃貸借  解約の申入れから1ヵ月経過すると終了

 (やむを得ない理由により、自己の生活の本拠
 として使用することが困難となったとき)

期間の定めのある建物賃貸借  期間満了の1年前から6ヵ月前まで
 の間に更新拒絶または、条件を変更しなければ
 更新しない旨の通知。

 (借地借家法の26条では、当事者になっていて、
 賃貸人・賃借人とも該当する。しかし、30条により、
 賃借人に有利な特約ならば有効なため、通常は、
 「期間満了の1年前から6ヵ月前まで」という期間
 は、賃借人の場合は特約で短縮されている。)

期間の定めのない建物賃貸借

〔期間一年未満の建物賃貸借〕

 解約の申入れより3月経過すると終了

◆例外的な「解約の申入れ」と「解除」

賃貸人 ・賃貸人の承諾を得ない賃借権の譲渡または転貸による解除(612条2項)

・借賃の遅延〔債務不履行・履行遅滞541条〕、使用目的違反(信頼関係が破壊された場合による解約の申入れし

賃借人 ・賃借人の意思に反する保存行為により賃借の目的が達成できない場合の
解除(607条) 

・賃借人の過失によらない一部滅失により賃借の目的が達成できない場合の
解除(611条)

□■□ 一時使用の賃貸借 □■□

一時使用目的の賃貸借

一時使用のための賃貸借では借地借家法は適用されず,民法の賃貸借の規定で考えることになります。(借地借家法・40条)→平成2年出題

 期間の定めのある一時使用の賃貸借・・・民法604条,黙示の更新619条

 期間の定めのない一時使用の賃貸借・・・民法617条,黙示の更新619条

 民法の
 期間の定めのない賃貸借

 〔期間の定めのない
  一時使用の賃貸借〕

 解約の申入れには正当事由はいらない
 賃貸人・賃借人どちらから解約を申入れても
 3ヵ月の経過により終了する。
 借地借家法の
 期間の定めのない賃貸借
 賃貸人からの解約には正当事由が必要。

 契約が終了する時期は以下のとおり。
 賃貸人からの解約の申入れから6ヵ月の経過
 賃借人からの解約の申入れから3ヵ月の経過

●一時使用のための賃貸借の適用関係
建物の一時使用のための賃貸借  民法が適用される。
土地の一時使用のための賃貸借  民法+借地借家法(一部のみが適用)

□■□ 使用貸借 □■□

使用貸借 (民法597条)

存続期間の定めがあるとき その期間満了時に返還する。
存続期間の定めがないとき 使用収益の目的を定めない 貸主はいつでも返還の請求ができる。
使用収益の目的の定めがある ・目的に従った使用収益の終了時に返還する。

・使用収益をするのに足りる期間を経過したとき、貸主は直ちに返還を請求できる。

■注意

 使用貸借は、要物契約なので、無償で貸し借りすることの合意だけでは成立せず、貸主から借主に実際にものが引き渡されて初めて契約が成立することに注意してください。

 したがって、使用貸借の合意後に、貸主となるはずの人が「やっぱり貸すのはやめる」と断ったとしても、契約が成立していない以上、債務不履行にはなりません。

 これに対して、賃貸借は、諾成契約なので、当事者の合意だけで契約は成立します。


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