Brush Up! 権利の変動篇
正解・解説
相殺に関する問題3 昭和58年・問8
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
× | × | × | ○ |
AはBに対して土地を2,000万円で売却し,その代金債権を有している。一方,BはAに対して同じく2,000万円の貸金債権を有している。この両債権の相殺に関する次のそれぞれの記述は,民法の規定によれば,正しいものはどれか。(昭和58年・問8) |
●言外の前提
AB間に相殺禁止の特約があると、相殺の意思表示をすることはできないので、相殺禁止の特約はないものとして問題を解くことになります。 |
1.「AがBに対して相殺の意思表示をするときは,たとえば,『この意思表示は10日後
に効力を生じるものとする』という期限を付すことができる。」
【正解:×】 ◆相殺に条件や期限はつけられない 相殺の意思表示には、条件や期限をつけることはできません。(506条1項) |
●参考問題 |
1.「相殺の意思表示に期限をつけることはできるが,条件をつけることはできない。」 |
【正解:×】 |
2.「AがBに対して相殺の意思表示をしたときは,相殺の効果は,その意思表示がBに
到達した時から将来に向かってのみ生じ,それ以前には遡及しない。」(類:昭和62)
【正解:×】 ◆相殺の遡及効 相殺は、当事者の一方からその相手方に相殺の意思表示によってなし、この意思表示は双方の債務に相殺適状が生じた時に遡って効力を生じます。(506条2項) 本設問では、『相殺の意思表示がBに到達したときから将来に向かって』とあるので×になります。 |
3.「Bは東京で2,000万円の土地代金を支払い,Aは大阪で2,000万円の借金を
返済することになっているときは,相殺をすることはできない。」(類:昭和62)
【正解:×】 ◆履行地が異なっていても相殺することはできる 相殺は、双方の債務の履行地が異なっていてもすることができます。ただし、相殺をする当事者は、その相手方が履行地で履行を受けないことによって被る損害を賠償しなければなりません。(507条) |
4.「Aの代金債権について消滅時効が完成した後であっても,それ以前にBの貸金
債権と相殺し得る状態にあったときは,Aはなお相殺することができる。」
【正解:○】昭和58年・問8・肢4,62年・問10・肢2,平成7年・問8・肢1,16年・問8・肢3 ◆相殺適状になった後に消滅時効が完成しても相殺できる Aの代金債権について ―――●―――――――●―――――――――――― Aの債権が時効で消滅しても、その消滅以前に両者の債権が相殺適状になっていたときは、Aは時効消滅した債権を自働債権として相殺を主張できます。(508条) |