Brush Up! 権利の変動篇
正解・解説
相続に関する問題3
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
○ | × | × | × |
居住用建物を所有するAが死亡した場合の相続に関する次のそれぞれの記述は、民法の規定によれば○か、×か。 |
1.「Aに,配偶者B,Bとの婚姻前に縁組した養子C,Bとの間の実子D (Aの死亡より前に死亡),Dの実子E及びFがいる場合,BとCとEとFが相続人となり,EとFの法定相続分はいずれも1/8となる。」 |
【正解:○】 A―――――B 配偶者(B)は、常に相続人となることができ、この場合は子がいるので、相続財産の1/2となり、残りの1/2を養子Cと実子Dで半分ずつ(養子も実子も相続分は同じ)、つまり相続財産の1/4ずつ相続することになります。 しかし、Dはすでに死亡しているので、Dの子EとFが、Dが相続するはずであった相続財産の1/4を代襲して半分ずつ、つまり1/8ずつ相続することになります(民法第900条、第901条)。 <参考> 「非嫡出子(認知された婚外子)」の場合の相続分は“民法の規定”によれば実子または養子の「半分」ですが、『相続分は同じ』とする判例もあります。試験では、特別な指示がない限り、“民法の規定”にしたがって解答してください。 |
●嫡出子と非嫡出子の相続分の公式 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
嫡出子 m人、非嫡出子 n人がいる場合の、 嫡出子・非嫡出子の1人が相続する法定相続分率は、以下の公式で計算します。 (1) 被相続人の配偶者がいる場合 相続人 : 妻、嫡出子 m人、非嫡出子 n人
(2) 被相続人の配偶者がいない場合 相続人 : 嫡出子 m人、非嫡出子 n人
(1),(2)とも、m = 0, または n = 0 のような特殊な場合でも成り立つ。 |
2.「Aに,配偶者B,母G,兄Hがいる場合,Hは相続人とならず,BとGが相続人となり,Gの法定相続分は 1/4となる。」 |
【正解:×】 配偶者間に子がないとき、 父―――――G(母)
A(被相続人)の親(「直系尊属」という。親がいなくても祖父母が存命ならば、祖父母が相続。)は「第2順位」として法定相続することができます。子が第1順位ですが、Aには子がいないので、第2順位のAの母親Gが相続します。配偶者は、死亡・廃除・欠格条項がなければ常に相続人となります。 この場合の相続分は、配偶者が“2/3”、尊属が“1/3”となります(第900条2項)。 |
3.「Aに法律上の相続人がない場合で,10年以上Aと同居して生計を同じくし,Aの療養看護に努めた内縁の妻 I がいるとき,I は,承継の意思表示をすれば当該建物を取得する。」 |
【正解:×】特別縁故者への財産分与制度 承継の意思表示だけでは相続できません。家庭裁判所に財産分与の請求をする必要があります。 相続人がいない場合は原則として国庫に帰属します。(959条)しかし,民法では,この規定だけでは適当ではないと考え,内縁の配偶者や実質的に相続人と同じ地位にある者など特別縁故者がいればその人たち〔法人でもよい〕に財産分与する制度を設けました。 特別縁故者は,以下のものが規定されています。 |
4.「Aに,その死亡前1年以内に離婚した元配偶者 J と,J との間の未成年の実子Kがいる場合,J とKが相続人となり,J とKの法定相続分はいずれも1/2 となる。」 |
【正解:×】 A――――― J (Aの死亡1年前に離婚) 離婚した元配偶者 J は、Aとは今となってはアカの他人であり、したがって J はAの相続財産に関する権利(離婚慰謝料などとは別次元の権利)は何もなく、他に相続人及び条件がなければ、この場合の相続財産は、実子Kのみが全部相続します(第887条)。 |