Brush Up! 権利の変動篇
正解・解説
相続の過去問アーカイブス 昭和50年 相続人の範囲(胎児の相続分)
甲の配偶者Aが甲の子Bを懐胎しているうちに甲が死亡し,間もなくBが生まれた。甲の親族で,ほかに生存しているのは,甲の弟のC,だけである。甲の遺産に関する法定相続分について,正しいのはどれか。 1.「A 1/2,B 1/2,C 0」改 2.「A 3/4,B 0,C 1/4」改 3.「A 1/3,B 1/3,C 1/3」 4.「A 1/2,B 0,C 1/2」 |
註 昭和55年の法改正により肢1,肢2を改めました。
【解説】 故人 ◇法定相続分
胎児は権利能力を持たないのが原則ですが,民法では,例外的に胎児が権利能力を持つ場合が三つあります。 ・不法行為に基づく損害賠償請求権(721条) 胎児が将来生まれてきた場合に,胎児であったときに起きていた法律関係からの利益を民法では保護しようとしているわけです。
本問題では甲の死亡時に胎児であったBが生まれているので弟Cの相続権はありません。被相続人の兄弟姉妹は,被相続人の子や直系尊属がいる場合には,相続人になりません。 本問題では,甲の妻Aの法定相続分が1/2,甲の死亡時に胎児であった子Bの法定相続分が1/2になります。 【正解:1】
▼さて,本問題では胎児Bが無事に生まれてきましたが,もしBが死んで生まれてきたときは甲−Aの夫婦間には子がいなかったことになるので,甲の配偶者Aの相続分が3/4,甲の弟Cの相続分が1/4ということになります。 |