Brush Up! 権利の変動篇

正解・解説

相続の過去問アーカイブス 昭和51年 相続人の範囲・遺留分


【正解】

× × ×

相続に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。

1.「被相続人の配偶者は,特別の事情がある場合を除き,常に相続人となる。」

【正解:

◆配偶者は常に相続人

 被相続人の配偶者は,常に相続人となる。(890条)

 相続人の配偶者は、死亡したり、相続放棄したり、欠格事由に該当したり、廃除されない限り、常に相続人となります。ほかにも相続人となるべき者があるときは、その者と同順位になり、900条により法定相続分が決まります。(890条、887条、889条)

 【第1順位】 子  → 【第2順位】 直系尊属 → 【第3順位】兄弟姉妹(887,889条)

 配偶者は、これらの者と同順位で、常に相続人になる。(890条)

 子は、嫡出子・非嫡出子を問わず第1順位。

 直系尊属は、被相続人に子またはその代襲相続者がいると、相続人にはならない。

 兄弟姉妹は、子・直系尊属がいると、相続人にはならない。

 要注意 : 兄弟姉妹には、遺留分はない

法定相続分 900条

 子と配偶者  配偶者1/2  子 1/2
 配偶者と直系尊属  配偶者2/3  直系尊属1/3
 配偶者と兄弟姉妹  配偶者3/4  兄弟姉妹1/4
 備考 ・子、直系尊属、兄弟姉妹が数人あるときは、
各自の相続分は相等しいものとする。

・非嫡出子は、嫡出子の相続分の1/2

2.「被相続人のオジ又はオバは,他に相続人となる者がいないときは,法律上

当然に相続人となる。」

【正解:×

◆兄弟姉妹(代襲相続のときの甥・姪)を除く傍系血族は,相続人にはなれない

 オジ(伯父・叔父)、オバ(伯母・叔母)、いとこは、傍系血族ですが、傍系血族は、兄弟姉妹(または、代襲相続のときの甥・姪)を除き、相続人にはなれません。

代襲相続

 被相続人の死亡以前に、相続人となるはずの「子」・「兄弟姉妹」が相続権を失ったとき(死亡・廃除・欠格事由)に、その者(被代襲者)の直系卑属(相続人となるはずの者が兄弟姉妹のときはその子に限る)がその者に代わって相続すること。(ただし、代襲相続人は被相続人の直系卑属でなければならないことに注意。)

3.「遺言によって,相続財産のすべてが第三者に贈与された場合でも被相続人の

兄弟姉妹は,遺留分として所定の額の相続をする。」

【正解:×

◆兄弟姉妹には,遺留分はない。

 兄弟姉妹を除いて相続人には遺留分が認められています。(1028条)

遺留分 1028条

 直系尊属のみが相続人のとき  被相続人の財産の 1/3
 それ以外  被相続人の財産の 1/2
●参考問題
1.「被相続人が財産のすべてを第三者に遺贈し,相続人が兄弟姉妹だけの場合,その遺留分は4分の1である。」(司法試験・昭和46年・問12)
【正解:×

4.「被相続人が死亡前5年以内に行われた財産贈与は,相続開始後三ヵ月以内に

相続人の同意がなければ無効である。」

【正解:×

 「生前の財産贈与について、相続人の同意がなければ無効」

 →このような規定はありません。


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