Brush Up! 権利の変動篇
正解・解説
相続の過去問アーカイブス 平成14年・問12 相続放棄・限定承認
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
○ | ○ | ○ | × |
相続の承認及び放棄に関する次の記述のうち,民法の規定によれば,誤っているものはどれか。 |
1.「相続の放棄をする場合,その旨を家庭裁判所に申述しなければならない。」
【正解:○】 ◆相続放棄の手続 相続の開始によって相続人には三つの選択肢があります。相続放棄・限定承認・単純承認、このうちのどれをとるかは相続人の自由です。
相続の放棄をしようとする者は、その旨を家庭裁判所において申述しなければならず(938条)、その受理審判によって相続放棄の効力が生じます。 相続放棄をするとはじめから相続人にならなかったものとみなし(939条)、代襲相続もできなくなります。 このように、相続放棄は相続人のカウントに重大な影響が出るため、詐欺や強迫・制限能力による場合を除いて、一度受理された相続放棄は取消すことができません。(919条1項、最高裁・昭和37.5.29) |
相続の承認 | 単純承認 | 債務と相続財産を無条件・無制限に引き継ぐ。
相続人は相続分のほかに相続人固有の財産を出してでも |
限定承認 | 債務のうち相続財産を超える部分の弁済義務は 引き継がない。 相続人は、相続によって得た財産の限度で被相続人の債務 マイナスの財産>プラスの財産・・・不足分を支払う必要がない マイナスの財産<プラスの財産・・・残りがあれば引き継ぐ。 |
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相続の放棄 | 債務や相続財産の一切を引き継がない。 | |
▼相続人は、相続の承認や放棄をするまでの間、その固有財産におけるのと同一 |
2.「相続人が数人あるときは,限定承認は,共同相続人の全員が共同してのみこれを
することができる。」
【正解:○】 ◆限定承認
限定承認は、自己のために相続の開始があったことを知ったときから3ヵ月以内に、相続の放棄をした者を除く共同相続人全員が共同して(923条)、財産目録を調製して家庭裁判所に提出し、その旨の申述をして行わなければいけません。(924条) ▼詐欺や強迫・行為能力の制限による場合を除いて、相続の承認や放棄は一度受理されると取消すことができません。(919条1項、最高裁・昭和37.5.29) |
3.「相続人が,自己のために相続の開始があったことを知った時から3ヵ月(家庭裁判
所が期間の伸長をした場合は当該期間)以内に,限定承認又は放棄をしなかったと
きは,単純承認をしたものとみなされる。」
【正解:○】 ◆熟慮期間内に相続放棄も限定承認もしないときは、単純承認したことになる ・・・法定単純承認 相続人が,自己のために相続の開始があったことを知った時から3ヵ月(家庭裁判所が期間の伸長をした場合は当該期間。熟慮期間といわれます。)以内に、限定承認又は相続放棄をしなかったときは、単純承認をしたものとみなされます。(921条2号)
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4.「被相続人の子が,相続の開始後に相続放棄をした場合,その者の子がこれを代襲
して相続人となる。」
【正解:×】 ◆相続放棄のときは、代襲相続できない 被相続人 相続放棄は代襲原因にならないので、相続放棄をした者の子は代襲相続人にはなれません。
▼代襲相続 被相続人の死亡以前に、相続人となるはずの「子」・「兄弟姉妹」が相続権を失ったとき(死亡・廃除・欠格事由)に、その者(被代襲者)の直系卑属(相続人となるはずの者が兄弟姉妹のときはその子に限る)がその者に代わって相続すること。(ただし、代襲相続人は被相続人の直系卑属でなければならないことに注意。) |