Brush Up! 宅建業法
正解と解説
成年・専任の宅地建物取引主任者の資格登録制度に関する問題
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
× | ○ | × | × |
5 | 6 | 7 | 8 |
× | × | ○ | × |
宅地建物取引主任者に関する次の記述は、○か×か。 |
1.「専任の取引主任者とは,都道府県知事が行う宅地建物取引主任者資格試験に合格した上,その都道府県知事の登録を受けた者をいう。」(昭和56年・問39) |
【正解:×】 ◆専任の取引主任者 資格試験に合格し,その都道府県知事の登録を受けただけでは取引主任者とは言えず,単に『資格登録者』に過ぎません。 取引主任者とは,主任者証の交付を受けている者(15条1項)なので,これだけで×になります。 専任の取引主任者とは,原則として成年で,その事務所に常時勤務している者でなければならず,他の事務所等と兼任したり,通常の勤務時間内に他の職務と兼職することはできません。 |
●類題 |
「同一の会社の隣接する二つの事務所の専任の取引主任者は,同一の者が兼任することができる。」(昭和57年・問38) |
【正解:×】 |
2.「宅地建物取引業者が法人である場合において,その役員が取引主任者であるときは,その役員が自ら主として宅地建物取引業に従事する事務所については,その役員はその事務所に置かれる成年者である専任の取引主任者とみなされる。」(昭和56年・問39) |
【正解:○】 ◆役員が取引主任者のときは専任とみなす 法人である宅地建物取引業者の役員が取引主任者のときは,その役員が自ら主として宅建業に従事する事務所については,その役員はその事務所等に置かれる成年者である専任の取引主任者とみなされます。(15条2項) ▼ここで言う役員とは,『業務を執行する役員,取締役,これに準じる者』を言い,監査役は含まれないことに注意。 |
●類題 |
「宅地建物取引業者A (甲県知事免許) の役員であり,かつ,当該事務所で宅地建物取引業以外の業務に従事していた取引主任者Dを主として宅地建物取引業の業務に従事させることとした場合,Aは,専任主任者の変更について甲県知事に届出をする必要はない。」(平成8年・問43) |
【正解:×】 これまで宅建業に従事していなかった役員である取引主任者が宅建業に従事する場合は,専任主任者として扱われることになります。 したがって,A (甲県知事免許) は専任主任者の変更について30日以内に甲県知事に届出をする必要があります。(9条) |
3.「事務所に置かれる政令で定める使用人が取引主任者になったときは,その者は,その事務所に置かれる専任の取引主任者とみなされる。」(平成5年・問37) |
【正解:×】 ◆監査役・政令に定める使用人は専任の取引主任者とはみなされない 単なる『政令に定める使用人』は,その事務所に置かれる専任の取引主任者とはみなされません。 ただし,この『政令に定める使用人』が宅建業者である法人の役員になっている場合は,専任の取引主任者とみなされます。 ▼取引主任者の資格登録を受ける前に,宅建業法違反により免許を取り消された宅地建物取引業の「政令に定める使用人」であっただけのときは,取引主任者の資格登録を受けることができます。(平成4年・問36) |
●施行令・2条の2 |
第2条の2 (法第4条第1項第2号 等の政令で定める使用人)
法第4条第1項第2号 及び第3号 、第5条第1項第7号及び第8号、第8条第2項第3号及び第4号、第65条第2項第7号及び第8号並びに第66条第1項第3号及び第4号の政令で定める使用人は、宅地建物取引業者の使用人で、宅地建物取引業に関し第1条の2に規定する事務所の代表者であるものとする。 |
●類題 |
「宅地建物取引業を営む株式会社にあっては,当該会社の監査役を専任の取引主任者として置くことができる。」(平成2年・問35) |
【正解:×】 監査役は,業務の執行役ではないので,専任の取引主任者にはなれない。 ▼業者の免許申請のときに監査役の欠格事由はチェックされるのでご注意を。 |
4.「宅地建物取引業に係る営業に関して成年者と同一の行為能力を有しない未成年者は,専任の取引主任者にはなれないが,専任でない取引主任者となることはできる。」(平成5年・問37) |
【正解:×】ヒッカカル人多し!! ◆営業に関して成年者と同一の行為能力を有しない未婚の未成年者は,登録ソノモノができないので誤り。 営業に関して成年者と同一の行為能力を有する未婚の未成年者は,原則として,専任の取引主任者にはなれないが,専任でない取引主任者となることはできる。 ただし,例外として,営業に関して成年者と同一の行為能力を有する未婚の未成年者が自らが業者か役員のときは,自ら主として業務に従事する事務所等に置かれる専任の取引主任者とみなされるので,専任の取引主任者になることができる。
△・・・営業に関して成年者と同一の行為能力を有しない未婚の未成年者は,その法定代理人が欠格事由でなければ免許を受けることはできる。 □・・・営業に関して成年者と同一の行為能力を有する未婚の未成年者は,自らが業者か役員のときは,専任の取引主任者になることができる。 |
●対比問題 |
1.「宅地建物取引業者である法人Aの事務所において,宅地建物取引業に係る営業に関して成年者と同一の行為能力を有する20才未満の者 (婚姻はしていない。) である取引主任者Eは,宅地建物取引業者Aの役員であるときを除き,専任主任者となることはできない。」(平成8年・問43) |
【正解:○】 |
2.「宅地建物取引業に係る営業に関して成年者と同一の行為能力を有する20才未満の者 (婚姻はしていない。) が取引主任者になった場合において,自ら宅地建物取引業者であるか,宅地建物取引業者である法人の役員であるときは,自ら主として業務に従事する事務所等において専任の取引主任者とみなされる。」 |
【正解:○】自ら宅地建物取引業者であるか,宅地建物取引業者である法人の役員が取引主任者証の交付を受けた場合は,自ら主として業務に従事する事務所等について専任の取引主任者とみなされる。 |
3.「宅地建物取引業に係る営業に関して成年者と同一の行為能力を有する20才未満の者 (婚姻はしていない。) が取引主任者になった場合において,宅地建物取引業者の政令で定める使用人であるときは,自ら主として業務に従事する事務所等について専任の取引主任者とみなされる。」 |
【正解:×】法人の役員ではなく,単なる『政令に定める使用人』である場合は,取引主任者証の交付を受けても,その事務所に置かれる専任の取引主任者とはみなされません。 |
5.「未成年 (未婚) であるDは,法定代理人から宅地建物取引業の営業に関し許可を得て登録を受けることはできるが,宅地建物取引業者がその事務所等に置かなければならない成年者である専任の取引主任者とみなされることはない。」(平成12年・問33) |
【正解:×】 ◆例外−自ら業者or役員の場合 営業に関して成年者と同一の行為能力を有する未婚の未成年者は,自らが業者か役員のときは,専任の取引主任者になることができる。 |
●類題 |
「宅地建物取引業者は,20才未満の者であっても,婚姻をした者については,その者を専任の取引主任者として置くことができる。」(平成2年・問35) |
【正解:○】 ◆例外−既婚の場合 20才未満の者であっても,婚姻をした者のときは,専任の取引主任者になることができる。 |
6.「本店で宅地建物取引業を行わない場合,その本店には専任の取引主任者を設置する必要はない。」(昭和57年・問38) |
【正解:×】 ◆宅地建物取引業を行わない本店の専任の主任者数 本店で宅地建物取引業を行わない場合でも,その法人の代表者・宅建業担当の役員・宅建業の会計担当などは,宅建業に従事する者の範囲に入っています。 従事者数に応じた『5人に1人の専任の取引主任者』を設置しなければいけません。 |
7.「宅地建物取引業者Aの従業員で,役員または政令で定める使用人ではないが,専任の取引主任者であるDが,刑法第246条(詐欺)の罪により懲役の刑に処せられたとき,このことを理由としてAの免許が取り消されることはない。」(平成10年・問31・肢3) |
【正解:○】 ◆専任の取引主任者が禁錮以上の刑罰を受けても欠格要件・免許取消事由にはならない 「役員」でも「政令で定める使用人」でもない,『専任の取引主任者』が,禁錮以上の刑に処せられても,このことを理由として宅建業の免許が取り消されることはありません。(5条1項7号) ※取引主任者の事務に関して詐欺を行ったとすれば,下記の対比問題のように,
宅建業者の責めに帰すべき理由があることになり,
その宅建業者に免許取消し処分がなされることも考えられますが,
そのことについては問題文に書いてないので,取引主任者の事務に関して詐欺を行ったと考えるべきではありません。 |
●対比問題 |
「宅地建物取引業者Aの取締役かつ取引主任者であるEが,取引主任者の事務に関し1年間の事務禁止処分を受けた場合で,Aの責めに帰すべき理由があるとき,情状のいかんにかかわらず,このことを理由にしてAの免許が取り消されることはない。」(平成10年・問31・肢4) |
【正解:×】 役員でなくても,取引主任者が事務禁止処分等を受けた場合に,<宅建業者の責めに帰すべき理由があるとき>は,宅建業者は,免許権者より必要な指示,業務停止処分,情状によっては免許取り消し処分を受けることがあります。(65条1項4号,2項1号,4項1号,66条1項9号,68条2項など) |
●ポイント |
取引主任者が指示処分,事務禁止処分,登録消除処分のどれかを受けたときに,
宅建業者の責めに帰すべき理由があるとき,
宅建業者は,指示処分,業務停止処分,免許取消し処分のどれかを受けることがある。
しかし,取引主任者が免許の欠格要件に該当することになったとしても,
その取引主任者がその宅建業者の役員,政令で定める使用人でなければ,
また,その宅建業者の業務に関するものでない限り,
(つまり,その宅建業者の責めに帰すべき理由がないとき)
その宅建業者に処分をすることはできない。
→ 宅建業者の業務に関係ないことで,
取引主任者に刑罰が下されても,
宅建業者が処分によってその責任を問われることはない。
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8.「宅地建物取引業者は,その事務所に備える従業者名簿に,従業者が取引主任者であるか否かの別を記載しなかった場合,業務停止の処分を受けることがあるが,罰金の刑に処せられることはない。」(平成12年・問31) (類題・平成2年問38) |
【正解:×】 ◆取引主任者の記載 宅地建物取引業者は,その事務所に備える従業者名簿に,従業者が取引主任者であるか否かの別を記載しなかったり虚偽の記載をした場合,業務停止の処分や50万円以下の罰金に処せられることがあります。(83条1項3号の2) |
●専任の取引主任者が法定数に満たなくなったとき |
宅地建物取引業者は,専任の取引主任者が5人に1人の法定数を満たさなくなったときは,2週間以内に是正措置をとらなければならない。(15条3項)
この措置をとらなかったときは業務停止処分を受け,100万円以下の罰金に処せられます。(65条2項,82条2号) |
●専任の取引主任者に変更があったとき |
宅地建物取引業者は,専任の取引主任者の氏名,役員の氏名,政令で定める使用人の氏名に変更があったときには,国土交通省令の定めるところにより,30日以内に免許を受けた国土交通大臣または都道府県知事に届け出なければならない。(9条) |