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正解と解説

宅地建物取引主任者の資格登録制度に関する問題


【正解】

× ×

宅地建物取引主任者資格登録(以下「登録」という。)に関する次の記述は、○か×か。

1.「登録の申請は,宅地建物取引主任者資格試験を行った都道府県知事 (指定試験機関に試験事務を行わせたときは,その試験事務を行わせた都道府県知事) に対して,行わなければならない。」(昭和63年・問37)

【正解:

◆合格した試験地の都道府県知事にのみ登録申請することができる

 宅地建物取引主任者資格試験に合格した者で,2年以上の実務経験を有するものは,合格した試験地の都道府県知事に登録申請をすることができます。(18条1項)

 試験に合格した者で、宅地若しくは建物の取引に関し国土交通省令で定める期間以上の実務の経験を有するもの又は国土交通大臣がその実務の経験を有するものと同等以上の能力を有すると認めたものは、国土交通省令の定めるところにより、当該試験を行つた都道府県知事の登録を受けることができる。(18条1項)

2.「二以上の都道府県において宅地建物取引主任者資格試験に合格した者は,当該試験を行った都道府県知事全ての登録を重複して受けることができる。」(新作問題)

【正解:×

◆複数の試験地で合格しても,登録できるのは一つだけ

 宅建の試験を複数年受験して,複数の試験地で合格した人は,合格した都道府県のどれか一つの知事からのみ登録を受けることができます。(施行規則14条)

 宅建試験は,過去に合格して,主任者の交付を受けている者でも受験し合格することができますが,登録することができるのはただ一つの都道府県です。

 したがって,すでに一の都道府県知事から登録を受けている場合は,ほかの都道府県知事から重複して登録を受けることはできません。

施行規則14条 (登録を受けることのできる都道府県)

 二以上の都道府県において宅地建物取引主任者資格試験に合格した者は,当該試験を行った都道府県知事のいずれか一の都道府県知事の登録のみを受けることができる。

3.「宅地建物取引主任者資格試験に合格した者で,宅地建物の取引に関し2年以上の実務の経験を有しないものは,合格した日から5年を経過する日までに国土交通大臣の登録を受けたもの(登録実務講習)を修了しなければ,登録を受けることはできない。」(平成7年・問38)

【正解:×

◆登録実務講習は合格後,いつでも受講できる

 宅地建物取引主任者資格試験に合格した者で,宅地建物の取引に関し2年以上の実務の経験を有しないもの国土交通大臣の登録を受けたも(登録実務講習)を修了しなければ,登録を受けることはできません。(18条1項)

 しかし,この登録実務講習の受講する時期については明確な規定はなく,合格後何年経っていても受講することができます。

●対比問題
「取引主任者の業務を行うため,取引主任者証の申請をしようとする者は,その交付の申請前に宅地建物の取引に関する実務経験が2年以上あれば,都道府県知事の指定する講習を受講する必要はない。」

【正解:×

 登録申請のための『国土交通大臣の登録を受けたもの(登録実務講習)』と,主任者証交付申請のための『都道府県知事の指定する法定講習』を混同している人をヒッカケル問題です。

4.「宅地建物取引主任者資格試験の受験者は,不正の手段によって試験を受け,合格の決定を取り消された場合,3年間試験の受験を禁止されることがある。」(平成元年・問49)

【正解:

◆不正合格・不正受験未遂での受験禁止は3年以内

 都道府県知事,またはその委任を受けた指定試験機関は,不正の手段によつて試験を受け,又は受けようとした者に対しては,合格の決定を取り消し,又はその試験を受けることを禁止することができます。(17条1項,2項)

 都道府県知事は,合格の取り消しや受験禁止の処分を受けた者に対し,情状により三年以内の期間を定めて試験を受けることができないものとすることができます。(17条3項)

 したがって,『合格の決定を取り消された場合,3年間試験の受験を禁止される』ことがあります。

合格の決定の取り消しは,取引主任者の資格登録の有無には関係ありません。資格登録をすでに受けていても,『不正の手段によって試験を受けて合格した』のならば,合格の取り消しの対象になります。〔→合格の取り消し資格登録の消除を受けることになる。法68条の2・第1項・2号〕

第17条(合格の取消し等) 

1 都道府県知事は,不正の手段によつて試験を受け,又は受けようとした者に対しては,合格の決定を取り消し,又はその試験を受けることを禁止することができる。

2 指定試験機関は,前項に規定する委任都道府県知事の職権を行うことができる。

3 都道府県知事は,前2項の規定による処分を受けた者に対し,情状により,3年以内の期間を定めて試験を受けることができないものとすることができる。

5.「が宅地建物取引主任者資格試験に不正な手段で合格した場合,がその後取引主任者として業務に従事していても,その事実が発覚したときは,はその登録を消除されることがある。」(平成5年・問38)

【正解:

資格試験に不正な手段で合格 − 登録消除

 資格試験に不正な手段で合格した場合は,登録して主任者証の交付を受けていても(68条の2・第1項・2号,3号),登録のみで主任者証の交付を受けていなくても(68条の2第2項2号),都道府県知事はその者の登録を消除しなければなりません

 この場合は,登録の消除の処分の日から5年間は登録できません。(18条第1項6号)

本肢では,<登録を消除されることがある。>となっているにもかかわらず,出題当時は○の設定でした。このような問題もあるということで収録しました。

第18条  (登録)
1 試験に合格した者で、宅地若しくは建物の取引に関し国土交通省令で定める期間以上の実務の経験を有するもの又は国土交通大臣がその実務の経験を有するものと同等以上の能力を有すると認めたものは、国土交通省令の定めるところにより、当該試験を行つた都道府県知事の登録を受けることができる。ただし、次の各号のいずれかに該当する者については、この限りでない。

六  第68条の2第1項第2号から第4号まで又は同条第2項第2号若しくは第3号のいずれかに該当することにより登録の消除の処分を受け、その処分の日から五年を経過しない者

七  第68条の2第1項第2号から第4号まで又は同条第2項第2号若しくは第3号のいずれかに該当するとして登録の消除の処分の聴聞の期日及び場所が公示された日から当該処分をする日又は当該処分をしないことを決定する日までの間に登録の消除の申請をした者(登録の消除の申請について相当の理由がある者を除く。)で当該登録が消除された日から五年を経過しないもの

第68条の2  (登録の消除)
1 都道府県知事は、その登録を受けている取引主任者が次の各号の一に該当する場合においては、当該登録を消除しなければならない

一  第18条第1項第1号から第5号の2までの一に該当するに至つたとき。

二  不正の手段により第18条第1項の登録を受けたとき

三  不正の手段により取引主任者証の交付を受けたとき

四  前条第1項各号の一に該当し情状が特に重いとき、又は同条第2項若しくは第4項の規定による事務の禁止の処分に違反したとき。

2  第18条第1項の登録を受けている者で取引主任者証の交付を受けていないものが次の各号の一に該当する場合においては、当該登録をしている都道府県知事は、当該登録を消除しなければならない。

一  第18条第1項第1号から第5号の2までの一に該当するに至つたとき。

二  不正の手段により第18条第1項の登録を受けたとき

三  取引主任者としてすべき事務を行い、情状が特に重いとき。

●類題
「取引主任者Bが不正の手段により宅地建物取引主任者資格試験を受験したとして,その合格を取り消され,登録を消除されたときは,Bは,その翌日重要事項説明をする約束があっても,その業務を行うことはできない。」(平成6年・問49)

【正解:

 登録を消除された場合は,重要事項説明をすることはできません。


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