Brush Up! 宅建業法

正解と解説

宅地建物取引主任者の資格登録制度に関する問題


【正解】

× × × ×

宅地建物取引主任者に関する次の記述は、○か×か。

1.「取引主任者証の交付を受けていない取引主任者資格登録者が宅地建物取引業法第35条に定める重要事項説明を行い,書面に記名,押印をした場合で,情状が特に重いときは,その者は事務の禁止処分を受けることがある。」(昭和61年・問37改)

【正解:×

◆資格登録者が重要事項説明をしたとき

 取引主任者資格登録者が重要事項説明を行い,書面に記名,押印をした場合で,情状が特に重いときは,その者は登録を消除されます。(68条の2第2項3号)

第68条の2  (登録の消除)

2  第18条第1項の登録を受けている者で取引主任者証の交付を受けていないものが次の各号の一に該当する場合においては、当該登録をしている都道府県知事は、当該登録を消除しなければならない。

一  第18条第1項第1号から第5号の2までの一に該当するに至つたとき。(登録の欠格要件)

二  不正の手段により第18条第1項の登録を受けたとき

三  取引主任者としてすべき事務を行い、情状が特に重いとき

●類題
「宅地建物取引主任者の資格登録を受けている者で,取引主任者証の交付を受けていないものが宅地建物取引業法第35条に規定する重要事項説明を行い,書面に記名押印した場合で,情状が特に重いときは,登録を消除される。」(平成7年・問38)

【正解:

2.「重要事項の説明は,専任でない宅地建物取引主任者が行うこともできるが,これらの事項を記載した書面に記名・押印するのは専任の宅地建物取引主任者でなければならない。」(昭和59年問45)

【正解:×

◆ブラフ(オドシ)の問題

 重要事項説明や35条書面に記名・押印するのは,専任の宅地建物取引主任者でなければいけないという規定はなく,重要事項説明は「専任でない取引主任者」でも,また「パートの取引主任者」でもよい。類似の問題は,この出題の前後にも出題された。

「重要事項説明の説明は,専任の宅地建物取引主任者が行うものとされており,これ以外の者が行ってはならない」(昭和58年問43) ×

が,専任の取引主任者ではなく,午前中だけパートタイムで雇われている取引主任者である場合,宅建業者は,をして説明をさせたとしても,重要事項の説明義務を果たしたことにはならない。」(昭和61年問46) ×

3.「取引主任者は,重要事項の説明をするときは,相手方から請求があった場合に限り,取引主任者証を提示すればよい。」(昭和60年・問41)

【正解:×

◆提示義務

 取引主任者は,重要事項の説明をするときは,相手方から請求がなくても,取引主任者証を提示しなければいけません。(35条3項)

 この提示義務違反は10万円以下の過料に処せられます。(86条)

重要事項の説明以外で,取引の関係者から請求があったときに,取引主任者証を提示する義務が課せられていますが(22条の4),違反したときに10万円以下の過料に処せられるということはありません。

●類題
「宅地建物取引主任者は,重要事項の説明をするときは,相手方の請求がなくても,取引主任者証を提示しなければならないが,この取引主任者証の表面には,取引主任者の勤務先も記載される。」(平成4年・問48)

【正解:×

 取引主任者証には本人の写真が貼付されており,記載されているのは,以下のものです。「取引主任者の勤務先」は,記載事項ではありません。(施行規則14条の11)

・氏名,住所と生年月日
・登録番号と登録年月日
・取引主任者証の交付年月日
・取引主任者証の有効期間満了日

●関連問題
1.「宅地建物取引業者が,取引主任者をして宅地建物取引業法第37条に規定する契約内容を記載した書面を相手方に交付させる場合には,取引主任者は,当該相手方から請求があったときに取引主任者証を提示すれば足りる。」(平成11年・問36)

【正解:

 取引主任者は,重要事項説明をするときには,取引の関係者の請求がなくても取引主任者証を提示しなければなりませんが,重要事項の説明のとき以外は,取引の関係者から請求があった場合に限り取引主任者証を提示すればよく(22条の4),37条書面の交付のときも取引の関係者から請求があった場合に提示すればよいので本肢問はです。

37条書面の記名押印は取引主任者がしなければいけませんが,交付は宅建業者の義務であり,宅建業者は取引の相手方・代理を依頼した者・媒介では各当事者に対して交付しなければなりません。37条書面は,取引主任者をして交付させなければいけないということはなく,取引主任者以外の従業員を通して交付させても構いません。

2.「宅地建物取引主任者は,取引主任者証を他人に貸与してはならず,これに違反したときは,事務の禁止の処分を受けることがあるが,情状が特に重くても,登録を消除されることはない。」(平成6年・問37)

【正解:×

 取引主任者証を他人に貸与して,その他人がその名義を使用して取引主任者である旨の表示をすれば,貸与した取引主任者は,指示処分または事務禁止処分を受け,情状が特に重ければ,登録を消除されることがあります。(68条1項2号・2項,68条の2第1項4号)

4.「その者が甲県知事から宅地建物取引主任者の資格登録を受けている取引主任者であって,甲県知事から事務の禁止の処分を受け,当該事務の禁止の期間中に登録の消除の申請をして消除された場合,その者は,当該事務の禁止の期間が満了すれば,再度登録を受けることができる。」(平成3年・問35)

【正解:

◆事務の禁止の期間中自主的な消除申請によって消除されたときは,禁止の期間が満了すれば,再度登録を受けることができる。

 知事より強制的に登録を消除されたときは,消除された日から5年間は再登録することはできませんが,自主的に消除を申請して消除されたときは,その事務禁止の期間が終了すれば再度登録を受けることができます。(18条1項8号)

●類題
「取引主任者Bが,取引主任者として行う事務に関して不正な行為をし,平成15年5月1日から6月間の事務の禁止の処分を受け,同年6月1日に登録の消除の申請をして消除された場合,Bは,同年12月1日以降でなければ登録を受けることができない。」(平成9年・問32)

【正解:×】事務禁止の期間に自主的に消除を申請して消除されたときは,事務禁止の期間が満了した時点,本設問では11月1日以降は再登録の申請が可能になります。

5.「取引主任者が,登録を受けている都道府県知事から事務禁止の処分を受け,その禁止の期間中にからの申請に基づくことなく登録を消除された場合は,事務禁止の期間が満了するまでの間はは,新たな登録を受けることができない。」(平成12年・問33)

【正解:×

◆事務の禁止の期間中自主的な消除申請によらずに消除されたときは,禁止の期間が満了しても,消除されてから5年間は再登録を受けることはできない

 自主的な消除の申請によらずに知事から消除されたときは,事務の禁止の期間が満了しても,登録の申請はできません。

 (自主的な消除の申請によらずに)知事から消除の処分を受けると消除された日から5年間は再登録することができないからです。(18条1項6号)

設問4と設問5はワンセットで覚えておきましょう。

6.「取引主任者が,不正の手段により登録を受けたとして登録の消除の処分に係る聴聞の期日及び場所が公示された日から当該処分についての決定がされる日までの間に,相当の理由なく登録の消除を申請した場合,は,当該登録が消除された日から年を経過しなければ,新たな登録を受けることができない。」(平成12年・問33)

【正解:

◆登録消除の処分に係る聴聞の期日・場所が公示後に自主的に登録消除を申請

 登録の消除の処分に係る聴聞の期日及び場所が公示された日から当該処分についての決定がされる日〔処分をするかしないか決定する日〕までの間に,相当の理由なく登録の消除を申請した場合当該登録が消除された日から5年を経過しなければ,新たな登録を受けることができません。(18条1項7号)


Brush Up! 宅地建物取引主任者制度のトップに戻る

宅建業法編のトップに戻る